不動産の税金

REIT体験談で知るデメリットと克服法

不動産投資に興味はあるけれど、実物を買うのはハードルが高い――そんな悩みを持つ人にとってREIT(リート)は手軽な選択肢に映ります。しかし、ネット上には「思ったほど利益が出ない」「値動きが激しくて不安」という声も散見され、踏み出せないままの方も多いでしょう。本記事では、私自身の運用歴十五年の体験談を交えつつ、REITの代表的なデメリットとその対策をわかりやすく解説します。読み終えるころには、リスクを正しく理解し、自分に合った投資判断ができるはずです。

REITとは何かをおさらい

REITとは何かをおさらいのイメージ

まず押さえておきたいのは、REITが不動産を小口化した金融商品であるという事実です。投資家は証券取引所で受益証券を売買し、運用会社は集めた資金でオフィスや商業施設を取得して賃料収入を得ます。言い換えると、私たちは家賃収入の一部を配当として受け取る仕組みに参加しているのです。

日本取引所グループによると、2025年10月時点で東証に上場するJ-REITは65銘柄、時価総額は約19兆円に達します。市場が成熟する一方で、銘柄選択の幅も広がり、初心者は迷いがちです。また、ETFや投資信託を通じた二重の仕組みも存在するため、手数料構造を理解しにくい面があります。

重要なのは「株式に近い値動きを示す一方で、実物不動産に比べて流動性が高い」という特徴をどう評価するかです。私は立地や築年数を個別に精査せずに済む点を魅力に感じ、資産形成の一部として活用しています。ただ、後述するように流動性の高さは急落リスクの裏返しでもあるため、思わぬデメリットを生むことを忘れてはいけません。

体験談が教える値動きのストレス

体験談が教える値動きのストレスのイメージ

ポイントは、価格変動が想像以上に精神的負担を生む点です。私が2020年に購入した物流系REITは、コロナ禍で大幅に上昇したものの、2022年の金利上昇局面では約20%下落しました。画面上で含み損益が刻々と変わる様子は、実物不動産の長期保有と比べて落ち着かない体験でした。

つまり、REITは「不動産の収益を株式のボラティリティで包んだ商品」と言えます。国土交通省の不動産投資市場リポートによると、直近五年間の東証REIT指数の年率変動率は約12%であり、TOPIXの11%と大差ありません。また、日々の値動きがニュースに連動しやすく、金利や景気見通しのヘッドラインで急落する場面も多いのが特徴です。

私は値動きストレスを軽減するため、購入後はスマホアプリのリアルタイム通知をオフにし、月末にだけ評価額を確認するルールを設けました。また、インカム目的と割り切り、含み損が出ても分配金利回りが6%を維持していれば売却しない方針にしています。運用記録を振り返ると、この単純なルールがブレを防ぎ、長期的な利益を確保する助けになりました。

分配金の減額リスクをどう見るか

実はREITの魅力である高い分配金も、景気や設備投資によって簡単に減額されます。私が保有していたオフィス系銘柄は、2023年に原状回復費用が想定を上回り、分配金を前期比15%カットしました。通知を受け取った瞬間、一時的に株価が10%下落し、含み損も拡大しました。

日本ビルファンド投資法人のような大型銘柄ですら、空室率の上昇や更新賃料の下落で分配金が変動します。東京カンテイのデータによれば、2024年以降オフィス空室率は5%台で高止まりしており、2025年も急回復は見込みにくい状況です。つまり、物件ポートフォリオの質を見極めずに高利回りだけを追うと、想定外の分配減に直面する可能性があります。

私の対策は二つだけです。第一に、投資口価格が下落したときに慌てず買い増しできるよう、分配金の半分を証券口座に残しておくこと。第二に、複数セクターに分散し、オフィス、住宅、物流、ホテルをバランス良く組み合わせることです。結果として分配金が安定し、ポートフォリオ全体の変動幅も抑えられました。

税制面の注意点と2025年度NISAの活用

まず押さえておきたいのは、REITの分配金が「配当所得」として課税される点です。所得税15.315%、住民税5%の計20.315%が源泉徴収され、税引後利回りは額面より低くなります。加えて、特定口座を使わない場合は自分で確定申告が必要になるため、初心者は手間取りがちです。

一方で、2024年に拡充された新しいNISA制度は2025年度も有効で、年間最大360万円までの成長投資枠にREITを組み入れることができます。非課税期間は無期限となったため、長期保有で分配金を受け取る投資家には大きなメリットです。金融庁の資料によると、NISA利用者の約18%がREITを組み込み、分配金の非課税効果を享受しています。

重要なのは、NISA口座であっても損益通算ができない点を理解することです。つまり、課税口座での株式損失とNISA内のREIT利益を相殺できません。そのため、高配当狙いでNISA枠をREITに集中させる場合は、他の資産とのバランスを意識する必要があります。私は年間120万円分をREIT、残りを株式インデックスに振り分け、値動きと分配金の両面でリスクを分散しています。

購入前に押さえたい情報収集術

ポイントは、自分で継続的に情報を追える仕組みを作ることです。REITは四半期ごとに運用報告書を開示し、賃貸事業の状況や修繕計画を説明します。私は重要指標である「一口当たり純資産(NAV)」と「LTV(負債比率)」に注目し、増減の理由をメモに残しています。

また、投資法人の説明会やオンラインセミナーに参加し、運用担当者のコメントを直接確認することで、報告書には現れにくい課題を把握できます。2025年10月時点では、多くの運用会社がアーカイブ動画を無料公開しており、移動時間に視聴できるのも便利です。こうした地道な作業が、ネット掲示板の断片的な体験談に振り回されない土台をつくります。

さらに、私は目標利回りや最大許容含み損を事前に決め、定期的にチェックリストを更新しています。言い換えると、購入の判断軸を数値化し、感情に流されないルールを整備することが最優先なのです。このプロセスを通じて、REIT 体験談 デメリットを単なる怖い話ではなく、学びの材料へと変えられるようになりました。

まとめ

この記事では、REITの代表的なデメリットとして値動きのストレス、分配金減額リスク、税制上の注意点を取り上げました。重要なのは、流動性の高さが裏返しで価格変動の大きさを伴う点を理解し、自分に合った運用ルールを設けることです。分散投資やNISAの非課税枠を活用しながら、定期的な情報収集と目標設定を続ければ、REITは堅実なインカム源となります。迷っている方は、まず少額から市場に触れ、自分のリスク許容度を確かめる一歩を踏み出してみてください。

参考文献・出典

  • 日本取引所グループ – https://www.jpx.co.jp
  • 国土交通省 不動産投資市場リポート – https://www.mlit.go.jp
  • 金融庁 新しいNISAの制度説明 – https://www.fsa.go.jp
  • 一般社団法人投資信託協会 REITデータ – https://www.toushin.or.jp
  • 公益財団法人東京カンテイ 市場レポート – https://www.kantei.ne.jp

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