不動産の税金

収益物件はいらない?後悔しない購入手順

投資仲間から「不動産はもう時代遅れ」「手間がかかるだけ」と言われ、収益物件はいらないのではと迷っていませんか。けれど低金利が長期化する今、現金を眠らせるほうがリスクという声も増えています。本記事では、収益物件が不要だと感じる理由を整理しつつ、実際に買うと決めた場合の手順を専門家目線で解説します。読み終えたとき、保有すべきか見送るべきか、自分の基準で判断できるようになるはずです。

収益物件が「いらない」と感じる理由

収益物件が「いらない」と感じる理由のイメージ

最初に、なぜ多くの人が収益物件を敬遠するのかを整理しておくと判断基準が明確になります。重要なのは感情的な不安ではなく、数字で裏付けされたリスクを把握することです。

一つめの理由は空室リスクです。総務省「2025年住宅・土地統計調査」によると、全国の空室率は13.5%と過去最高を更新しました。数字だけを見ると不安が募りますが、都市部と地方では差が大きく、東京23区の空室率は9.2%にとどまります。つまり物件選定次第でリスクは大きく変わるのです。

次にキャッシュフローの誤算があります。家賃収入からローン返済と固定費を引いた残りが毎月の利益ですが、管理費や修繕積立金が想定より増えると途端に赤字になります。特に築古物件は大規模修繕の時期が近い場合が多く、予備費を見込まない計画は危険です。

最後は流動性の低さです。株や債券に比べ売却に時間がかかるため、急な現金化が難しい点をデメリットと感じる人が多いでしょう。しかし2025年の不動産取引件数は国土交通省によれば前年比7%増と回復基調で、需要が集中するエリアなら適正価格であれば3か月以内の成約も珍しくありません。結局のところ、流動性も立地と価格設定に左右されると理解することが大切です。

まず押さえておきたい市場の見方

まず押さえておきたい市場の見方のイメージ

実は、初心者の多くが物件個別の情報に偏り、マクロの市場動向を軽視しがちです。先に大局を確認しておくと、購入判断の精度が上がります。

人口動態は最も基本的な指標です。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、全国人口は2030年に1億1000万人を下回る見込みですが、札幌・福岡・名古屋など一部の政令指定都市は微増が続くとされています。人口が維持されるエリアなら賃貸需要も底堅く、自ずと家賃も安定します。

次に雇用の質を見ます。総務省「労働力調査」によると、2025年の完全失業率は2.6%と歴史的に低い水準です。雇用が安定していれば家賃滞納リスクが下がり、ローン返済の安全度が高まります。物件周辺にオフィスや大学が集中しているかも確認しましょう。

さらに金融環境です。日本銀行の統計では、2025年の投資用不動産向け平均貸出金利は1.9%で横ばいです。金利上昇局面に備えて、固定金利と変動金利のミックスや繰上返済計画を練ることが有効になります。市場の数字を押さえたうえで個別物件を検討すると、過大な期待や悲観を避けられます。

資金計画と融資のステップ

ポイントは、購入後のキャッシュフローを基準に借入額を逆算することです。表面利回りだけで判断すると後悔するケースが後を絶ちません。

まず自己資金です。金融機関の融資姿勢は物件よりも投資家の属性を重視する傾向にあります。頭金として価格の20%を用意し、別に100万円程度の修繕予備費を確保しておくと審査と運営の両面で安心です。また信用情報に延滞がないか事前にチェックし、携帯料金の遅延も解消しておきましょう。

融資交渉では返済比率が鍵となります。年間家賃収入に対して返済額が50%以下なら金融機関の印象が良く、金利交渉も優位に進みます。シミュレーションを作る際は空室率15%・金利上昇2%のシナリオでもキャッシュフローが黒字か確認してください。厳しい条件で耐えられれば、想定外の経済変動にも対応できます。

さらに2025年度の「住宅ローン控除」は居住用が対象ですが、一棟物件の一部を自己居住とする場合、控除が適用される可能性があります。税理士に相談し、最適なスキームを組むことで実質利回りを高める余地が生まれます。融資と税制を組み合わせる視点が資金計画の肝となります。

物件探しから契約までの実務フロー

購入手順を具体的に示すと、情報収集・現地調査・条件交渉・契約という四つの段階に分けられます。順序を飛ばすとトラブルの原因になるため、一つずつ確実に進めましょう。

情報収集ではポータルサイトだけでなく、地場の管理会社や信頼できる仲介会社に希望条件を伝え、未公開情報を得ることが効果的です。競合が少ない物件のほうが指値交渉の余地が大きく、利回りを高めやすくなります。収益物件 いらない 購入手順というキーワードで検索する人ほど、この未公開情報の重要性を見落としがちです。

現地調査では建物だけでなく周辺環境を確認します。平日の昼と夜、週末の朝に足を運び、騒音や交通量、コンビニまでの距離をチェックしてください。また役所で都市計画図を閲覧し、再開発予定や用途地域の変更リスクを把握すると中長期の資産価値が読みやすくなります。

条件交渉では売り急ぎかどうかの背景を探り、指値の根拠を示すことが大切です。例えば配管交換の経費見積もりを提示し、価格から差し引く形で合意する手法が一般的です。最後に重要事項説明と売買契約を交わす際は、瑕疵担保責任の範囲と期間を必ずチェックし、契約不適合責任の免責条項がないかを確認しましょう。

購入後に差がつく運営のコツ

基本的に、購入後の運営で想定利回りを実現できるかが成功の分水嶺になります。ここからは入居者満足度とコスト管理の両輪がポイントです。

まず入居者募集では写真と募集文の質を高めるだけで、平均空室期間を半分にできると言われます。2025年のレインズデータによると、室内写真が10枚以上載った物件は成約までの期間が平均28日短縮されました。コストをかけずにできる対策なので真っ先に取り組みましょう。

次に定期的な修繕計画です。国土交通省のガイドラインでは、外壁と屋上防水は12年〜15年周期で改修することが推奨されています。長期修繕計画を立て、毎月家賃収入の5%を修繕積立に回すと大規模修繕の支払いに慌てずに済みます。さらにLED照明や節水トイレへの交換は電気・水道代を削減し、入居者の満足度も向上するため費用対効果が高い施策です。

最後に出口戦略です。物件価値を上げるリフォームを行い、キャップレート(還元利回り)の低いタイミングで売却することで、キャピタルゲインを得るチャンスが生まれます。公益財団法人不動産流通推進センターの統計では、築20年前後で設備を最新化した物件は、行わなかった物件に比べ平均売却価格が8%高い結果が出ています。計画的な運営が出口の選択肢を広げるのです。

まとめ

収益物件がいらないかどうかは、空室率や資金計画といった数字をどう解釈するかで答えが変わります。市場動向を踏まえたうえで、自己資金と返済比率を保守的に設定し、現地調査を丁寧に行えば不安の大半は解消できます。購入後は入居者満足と修繕積立を意識し、売却まで見据えた運営を続けることで想定利回りを維持しやすくなります。まずは本記事で紹介した手順をチェックリスト化し、一つずつ行動に移してみましょう。行動こそが不安を自信に変える最短ルートです。

参考文献・出典

  • 総務省統計局 – https://www.stat.go.jp
  • 国土交通省 不動産・建設経済局 – https://www.mlit.go.jp
  • 日本銀行 金融統計 – https://www.boj.or.jp
  • 国立社会保障・人口問題研究所 – https://www.ipss.go.jp
  • 公益財団法人 不動産流通推進センター – https://www.retpc.jp

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