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ビルで高収益!収益物件の探し方完全ガイド

空室率の上昇や金利の先行き不透明感など、不動産市場には悩ましい材料が並びます。それでも都心や主要地方都市では、堅調なオフィス需要と店舗需要を背景に“高収益を生むビル投資”へ挑戦する個人投資家が増えています。もっとも「収益物件 探し方 ビル 高収益」で検索したものの、立地選定から資金計画まで情報が散在していて判断できないという声も多いでしょう。本記事では、15年以上ビル投資に携わってきた経験を基に、物件発掘の手順、数字の読み解き方、2025年度の最新制度までをやさしく解説します。読み終える頃には、ご自身に合った投資戦略を描けるようになるはずです。

高収益ビル投資の全体像をつかむ

高収益ビル投資の全体像をつかむのイメージ

まず押さえておきたいのは、ビル投資の収益構造です。家賃収入から運営コストと借入返済を差し引いたキャッシュフローが黒字で継続するかが成否を分けます。住宅と比べてテナント入替え時の改装費や広告費が大きいため、初期利回りだけでは判断できません。実は国土交通省の「不動産証券化実態調査(2025年版)」でも、平均実質利回り(NOI利回り)は表面利回りより1.2〜1.5ポイント低いと報告されています。つまり“高収益”を得るには、物件購入前にコストを詳細に見積もり、純収益(NOI)を高める策を講じることが前提になるのです。

次に覚えておきたいのがリスク分散です。複数フロアを持つビルは、住居一棟よりテナント構成を工夫しやすく、飲食・オフィス・サービス業など業態を分ければ、景気変動の影響を抑えられます。一方で、用途に応じた設備基準を満たす義務があり、消防法や建築基準法の適合調査が欠かせません。高収益の裏には専門的な管理負担があると理解し、購入後の運営体制まで視野に入れることが、失敗を避ける第一歩になります。

立地選定で失敗しないための視点

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ポイントは、テナントが途切れにくいエリアを見極めることです。最新の国勢調査(総務省、2025年速報値)によると、20〜49歳人口は全国的には微減傾向ですが、政令市中心部ではむしろ微増しています。若い就業人口が集まる地域はオフィス需要だけでなく、飲食やサービス店舗も動きが活発です。

一方で、賃料水準が高い都心コアエリアは取得価格も跳ね上がります。このため、私は駅徒歩5〜8分圏の“準中心部”を狙う戦略を推奨しています。東京都心でいえば神田や茅場町、関西なら本町南側など、賃料と地価のバランスが取れたエリアです。つまり、取得価格を抑えつつ賃料下落リスクを限定できる点が魅力なのです。

また地方都市を検討する場合、人口20万人以上の中核市で、再開発プロジェクトが具体化している地区を重視しましょう。国土交通省の都市再構築戦略(2024〜2030)では、仙台市、広島市、高松市などでオフィス床の需要が中期的にプラスと予測されています。再開発エリアに隣接する既築ビルは、賃料上昇の波を早期に受け、高収益化しやすいというわけです。

物件調査と収支シミュレーションの実践

重要なのは、表面利回りに惑わされず、純収益を冷静に試算することです。まず家賃収入から共用部電気代や清掃費などの運営費を差し引き、さらに空室損失を設定してNOIを計算します。一般的な中規模ビル(延床1000㎡前後)なら運営費率は25〜30%を見込むのが安全圏です。

次に借入条件を入れてキャッシュフローを確認します。2025年10月時点、都市銀行のビル投資向け金利は固定1.9〜2.4%が主流で、最長25年まで組めます。金利上昇リスクを考慮し、返済比率(DSCR)が1.3倍を切らないかチェックしましょう。金融庁「地域金融機関の融資動向(2025年上期)」でも、この指標が審査の主要項目であると明記されています。

最後に出口戦略を数字で示します。保有5年目に売却すると仮定し、想定キャップレートを2.5ポイント上乗せして価格を逆算します。例えば、購入価格5億円、NOI3000万円、5年後キャップレート6.5%なら売却想定額は4億615万円となり、元本返済残高と比較してキャピタルゲインを確保できるか判断します。こうした厳しめのシミュレーションを通じて、初めて“高収益”の裏付けが取れるのです。

2025年度の融資・税制を味方につける

まず、融資については日本政策金融公庫の「中小企業事業 企業活力強化資金」を活用すると、耐震補強や省エネ改修を行うビル購入時に金利優遇(基準金利−0.6%)が適用されます。適用上限は2億円、返済期間は最長20年で、2025年度も継続中です。金利負担を抑えたい個人オーナーにはありがたい制度でしょう。

税制面では、2025年度も「中小企業経営強化税制」の即時償却措置が延長されています。耐震・省エネ評価基準を満たすビル設備に投資した場合、取得価額の100%を初年度に損金算入できます。言い換えると、キャッシュアウトは変わらないのに課税所得を圧縮できるため、実質的な投資回収期間を短縮できるわけです。

さらに、登録免許税の軽減措置(不動産取得時の所有権移転登記)が2026年3月まで延長されており、オフィス・商業ビルも対象です。税率は本来2.0%のところ1.5%に下がるため、5億円の物件なら25万円の節税効果があります。こうした制度を組み合わせれば、投下資本の回収スピードを高めつつCFを厚くできる点が、2025年の投資環境の特徴です。

ビル運営でキャッシュフローを伸ばすコツ

実は購入後の運営改善こそ、高収益への近道です。まずテナントミックスを定期的に見直し、フロア単位で区画分割や用途変更を行うと、賃料単価を底上げできます。特に1階部分は飲食・物販向け、上階はサービス小規模オフィスに分けると平均坪単価が10〜15%向上した事例が多いです。

次に、共用部のLED化や空調更新によってランニングコストを削減します。環境省の「省エネビル実証事業(2024年度報告)」では、総合的な省エネ改修でエネルギー使用量を30%削減できた平均値が示されました。その分だけNOIが伸び、利回りが最大1ポイント改善する効果があります。

また、入居契約にインセンティブを取り入れるのも有効です。更新料を設定する代わりにフリーレント(賃料免除期間)を短縮するなど、キャッシュインを前倒しにすると運転資金に余裕が生まれます。管理会社との連携を密にし、テナントの声を定期ヒアリングすることで退去予兆を早期に把握でき、空室ロスを抑えられます。まさに購入時点から出口まで一貫した運営計画が、高収益達成を左右するのです。

まとめ

ここまで、ビル投資で高収益を実現するための「収益物件 探し方 ビル 高収益」の要点を解説してきました。立地では準中心部や再開発隣接地を狙い、物件選定ではNOIとDSCRを中心にシビアな試算を行うことが肝心です。さらに、2025年度の優遇融資や税制を活用し、購入後はテナントミックスと省エネ改修でキャッシュフローを伸ばします。結論として、数字と制度の両面から計画を立て、購入後の運営まで主体的に取り組む投資家こそ、ブレない高収益を手にできるでしょう。まずは気になるエリアの賃料水準と空室率をチェックし、スモールスタートでも一歩踏み出してみてください。

参考文献・出典

  • 国土交通省 不動産証券化実態調査(2025年版) – https://www.mlit.go.jp
  • 総務省 国勢調査 2025年速報値 – https://www.stat.go.jp
  • 金融庁 地域金融機関の融資動向(2025年上期) – https://www.fsa.go.jp
  • 環境省 省エネビル実証事業 2024年度報告 – https://www.env.go.jp
  • 日本政策金融公庫 中小企業事業 企業活力強化資金(2025年度) – https://www.jfc.go.jp

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