年収がそれほど高くないと感じると、投資は遠い世界の話に思えます。しかし実際には年収300万でも不動産投資は可能で、むしろ堅実な計画が求められる点でメリットもあります。本記事では「始め方 年収300万」というキーワードを軸に、少額からでも着実に一棟目を取得し、長期で収益を伸ばす方法を解説します。資金計画、融資制度、リスク管理まで最新の2025年10月時点の情報を盛り込みますので、最後まで読めば行動への具体的なイメージがつかめるはずです。
不動産投資を始める前に知るべき現実

まず押さえておきたいのは、不動産投資はローンを活用する金融ビジネスだという事実です。家賃収入だけに目を向けると、返済や税金で手残りが減る現実を見落としやすくなります。
一つ目のポイントはキャッシュフローの見方です。国土交通省の「賃貸住宅市場検討会」資料によると、首都圏ワンルームの平均家賃は8万円前後ですが、管理費や修繕積立金を差し引くと手取りは6万円強に下がります。さらにローン返済が4万円かかれば、毎月2万円が純利益となります。この金額が想定より少ないと感じるかどうかが、投資判断の分岐点です。
次に空室リスクも無視できません。住宅金融支援機構の統計では、築20年超の区分マンション平均空室率は約12%です。つまり年間で1カ月半程度は家賃が入らない前提でシミュレーションする必要があります。
最後に、投資規模の過大化に注意しましょう。少額で始めるからこそ、数年後の乗り換えや売却を選びやすくなります。最初の一歩は小さく踏み出し、経験値を貯める意識が成功への近道です。
年収300万でも可能な資金計画

重要なのは、年収に合わせた自己資金と融資比率のバランスです。金融機関は返済負担率を年収の35%以内に抑える傾向があるため、月々の返済上限は約9万円と考えると現実的です。
まず自己資金として物件価格の20%を用意すると、融資審査が通りやすくなります。たとえば1000万円の中古ワンルームなら自己資金200万円、諸費用100万円、合計300万円が必要です。毎月5万円ずつ2年で貯めれば達成可能な数字で、ボーナスを併用すればさらに短縮できます。
一方で、地方金融機関や信用金庫は、頭金10%でも相談に乗るケースがあります。2025年10月現在、変動金利は1.8%前後、固定金利は2.5%前後が一般的です。金利差が0.7%でも30年返済なら総支払額が数百万円変わるため、複数行で比較する価値があります。
さらに、自己資金を強化するために「少額投資非課税制度(NISA)」で運用している人は利益分を頭金に充当する選択肢もあります。つまり、投資の種銭づくりは不動産以外の金融商品も活用し、トータルプランで考えることが大切です。
小規模物件とサブリースの活用法
ポイントは、規模よりも管理のしやすさを優先することです。年収300万では複数戸を同時に持つより、まず区分マンションや小規模アパート一室に絞る方が安全です。
小規模物件の利点は、修繕費や固定資産税が抑えられる点です。総務省の「住宅・土地統計調査」によれば、延床面積30㎡以下の区分所有者の平均修繕費は年間4万円台に過ぎません。規模が小さいぶん、突発的な支出でも家計へのダメージが限定的です。
一方で、自己管理が難しいと感じる場合はサブリース契約も選択肢になります。サブリースとは管理会社が一括借り上げし、一定の家賃を保証する仕組みです。利回りは10%程度下がるものの、空室リスクと入居対応を委託できるメリットがあります。ただし、解約条件や家賃改定条項を必ず確認し、シミュレーションに反映させましょう。
実際に私がサポートした年収320万の会社員は、2019年に800万円の区分マンションを購入し、2024年に売却して130万円の譲渡益を得ました。小規模でも長期的な家賃収入と売却益の両方を狙えることを示す好例です。
2025年度の融資制度と税制優遇
実は、2025年度も個人投資家が活用できる公的支援が存在します。代表的なのが「住宅ローン減税(賃貸併用住宅分)」と「不動産取得税の軽減措置」です。
まず住宅ローン減税は、居住部分が床面積の50%以上を占める賃貸併用住宅に限り、控除対象借入限度額が2000万円、控除率0.7%で最長10年間適用されます。自宅兼投資という形式を選べば、税控除で年間14万円、10年で最大140万円の節税効果が見込めます。
次に不動産取得税の軽減措置は、2026年3月31日まで延長が決定しており、一定の新築住宅や築後20年以内の耐震基準適合住宅に適用されます。課税標準から1200万円を控除できるため、取得時の費用負担を数十万円単位で抑えられます。
金融面では、政策金融公庫の「生活衛生改善貸付」のほか、地方自治体の空き家活用ローン利子補給制度が使える地域もあります。利用条件や上限額は自治体ごとに異なるため、購入予定地の市区町村に事前確認することが欠かせません。
リスク管理と出口戦略
基本的に、不動産投資は長期保有で安定収入を得るビジネスですが、出口戦略を描くことでリスクを限定できます。
まず、築年数が進むにつれて修繕費が増える点を念頭に置きましょう。国土交通省「建築物リフォーム・リニューアル調査」では、築25年を超えると外壁・屋上改修費が平均140万円に跳ね上がると報告されています。蓄えが不足するとキャッシュフローが一気に悪化するため、毎月家賃収入の10%を修繕積立に回す習慣を推奨します。
次に、出口を「売却」か「相続」かで分けて考えます。売却を想定する場合、最寄り駅から徒歩10分以内の流動性が高い物件を選ぶと、将来の売買価格が下がりにくい傾向があります。相続を見据えるなら、相続税評価額が建物と土地で分かれる点を利用し、建物比率が高い中古木造アパートが節税に有利となるケースもあります。
最後に保険の活用です。地震保険や家賃保証保険は支出を増やしますが、大規模災害や入居者トラブル時の損失を限定できます。つまり、保険料をコストと見るかリスクヘッジと見るかで、投資の安定性が大きく変わります。
まとめ
本記事では「始め方 年収300万」という視点から、不動産投資の現実、資金計画、小規模物件の選び方、2025年度の制度活用、リスク管理までを解説しました。年収が高くなくても、自己資金の計画と金融機関選びを工夫すれば投資の門は開かれます。重要なのは、小さく始めて経験を積み、制度を適切に利用しながらキャッシュフローを守ることです。今日できる行動として、まずは家計の見直しと金融機関の金利比較から始めてみてください。堅実な一歩が、将来の大きな資産形成につながります。
参考文献・出典
- 国土交通省 賃貸住宅市場検討会資料 – https://www.mlit.go.jp
- 総務省 住宅・土地統計調査 – https://www.stat.go.jp
- 住宅金融支援機構 2025年度金利動向 – https://www.jhf.go.jp
- 国税庁 住宅ローン減税の概要(2025年度版) – https://www.nta.go.jp
- 政策金融公庫 融資制度一覧 – https://www.jfc.go.jp