不動産の税金

品川区で始める収益物件の収支計算ガイド

都心で安定した家賃収入を得たいものの、物件価格が高い品川区で採算が取れるのか不安に感じる人は少なくありません。特に「収益物件 収支計算 品川区」で検索すると、専門用語や複雑な数字が並び、かえって混乱してしまうという声を耳にします。本記事では初心者でも理解しやすいように、収支計算の基本から品川区特有のデータの読み方、さらに2025年度の最新税制まで順を追って解説します。読み終えるころには、自分に合った物件価格と家賃設定を具体的にイメージでき、次の行動に踏み出す自信が持てるはずです。

品川区で収益物件を持つメリットと注意点

品川区で収益物件を持つメリットと注意点のイメージ

重要なのは、品川区の立地特性が収益構造に強く影響する点を理解することです。

まず、区内には大崎・品川・五反田といったJR山手線の主要駅が並びます。国土交通省の地価公示(2025年3月)によると、駅徒歩5分以内の住宅地平均は1平米117万円と、都内平均の約1.6倍です。価格は高いものの、山手線沿線の通勤利便性が強い需要を生み、空室期間が短い傾向があります。つまり、家賃収入のブレが小さい点が最大のメリットです。

一方で初期投資が膨らむため、自己資金と想定利回りのバランスが崩れやすい側面も無視できません。品川駅周辺の区分マンションは表面利回り4%前後が一般的で、郊外の7%台と比べると数字が見劣りします。購入価格に見合う安定性をどう評価するかが収支計算の出発点になります。

また、近年の再開発により賃貸ニーズが細分化している点も特徴です。単身者向け1Kを狙うのか、ファミリー向け2LDKにするのかで必要な投資額と想定家賃が大きく変わります。物件種別ごとの需要を把握し、賃料設定を現実的な範囲に収めることが成功への鍵です。

収支計算の基本ステップと重要指標

収支計算の基本ステップと重要指標のイメージ

ポイントは、家賃収入から費用を引いた「年間手取り」が黒字になるかを具体的に試算することです。

最初に年間家賃収入を算出します。例えば家賃12万円の1Kを満室想定で12か月貸すと、年間144万円です。次に管理費・修繕積立金・固定資産税などのランニングコストを引き、ネットの家賃収入を求めます。品川区の1K区分では管理費と修繕積立金で月1.5万円前後が相場なので、年間18万円が目安になります。

続いてローン返済額を加味します。金利1.4%、35年元利均等、借入額3000万円で計算すると年間返済は約114万円です。ネット家賃126万円(144万円−18万円)から返済114万円を引くと、年間手取りは12万円にとどまります。ここに設備更新や賃貸募集の広告費が乗ると簡単に赤字に転じるため、余裕を持ったシミュレーションが欠かせません。

投資判断には「実質利回り」「キャッシュフロー」「元本返済比率」という三つの指標が便利です。実質利回りはランニングコストを差し引いた数字で、都内の安定運用なら5%がひとつの目安になります。元本返済比率は返済額に占める元本の割合を示し、初期は低い点を理解しておくと長期計画を立てやすくなります。

家賃相場と空室率をデータで読む

まず押さえておきたいのは、公的データを使えば家賃や空室率の見通しを高精度で立てられるという点です。

東京都住宅政策本部の「賃貸住宅市場データ」(2024年度版)によると、品川区1Kの平均募集家賃は12.3万円、成約家賃は11.8万円です。募集と成約の差は4%未満で、需要の高さがうかがえます。空室率は総務省住宅・土地統計調査(2023年速報値)で7.5%、都内平均より1.1ポイント低い水準です。

とはいえ、駅距離と築年数で数字は大きく動きます。五反田駅徒歩10分・築25年の1Kは成約家賃10.2万円、空室率10%とやや高めです。一方、大崎駅徒歩3分・築5年の1Kは成約家賃13.5万円、空室率4%と優秀ですが、購入価格は4000万円を超えます。投資家は家賃と空室リスクをセットで評価し、収支計算に反映させる必要があります。

参考までに、3か月以上の長期空室が発生すると平均6万円の広告費が発生するという不動産仲介大手の社内統計(2025年6月)もあります。家賃下落と募集コストのダブルパンチを防ぐため、購入前に類似物件の入居状況を徹底的に調べることが求められます。

資金計画と2025年度税制優遇の活用法

実は、収支を改善する最大のレバーは「資金計画」にあります。借入条件と税制を味方に付けるだけで、手取りが大きく変わります。

2025年度も引き続き、住宅ローン控除と同様のスキームである「賃貸住宅特定取得控除」が適用可能です。新築賃貸住宅を個人名義で取得し、省エネ性能等の基準を満たす場合、所得税から最長10年間控除を受けられます。控除率は年0.7%、控除限度額は上限4000万円の借入残高が対象です。品川区の築浅1Kを新築購入するケースでは、年間28万円の税額控除が見込め、キャッシュフロー改善に直結します。

融資面では、都市銀行が2025年4月に導入した「プレミアムエリア不動産ローン」が注目されています。都心5区の居住用区分を対象に、金利1.1%〜1.3%で最長40年の借入が可能です。従来のアパートローンより0.2ポイント低く、返済比率を抑えられるため、資産形成のスピードを高められます。

さらに、法人化による税率コントロールも検討に値します。課税所得が900万円を超える個人投資家は、法人実効税率約30%を下回るケースが多く、長期的には手取りが増える可能性があります。ただし設立費用や毎期の顧問料が発生するため、物件数が増えるタイミングで慎重に判断することが肝心です。

リスク管理と出口戦略を考える

ポイントは、購入時から「手放すときの値段」を意識しておくことです。

品川区の中古マンション価格指数(東日本不動産流通機構、2025年7月)は過去10年で26%上昇していますが、築30年超の物件は横ばいで推移しています。築古の安い物件に飛びつくと、将来売却価格が伸びず、最終的な利回りが下がるリスクがあります。

リスクを抑える具体策として、修繕積立金の残高と長期修繕計画の内容を必ず確認しましょう。積立不足のマンションでは臨時徴収が発生し、年間キャッシュフローが一気に悪化することがあります。また、地震リスクを示すハザードマップで液状化想定区域に該当しないかも要チェックです。

出口戦略としては、家賃設定を周辺相場より5%高く保てるうちに売却する「高稼働売却」が王道です。売却時に仲介手数料3%+6万円がかかりますが、フル稼働実績を示せれば買い手は金融機関の融資を得やすく、価格交渉を有利に進められます。将来的な賃料下落の前に利益確定する判断が、長期の資産形成を後押しします。

まとめ

本記事では、品川区で収益物件を購入する際の収支計算手順とデータの読み方、さらに2025年度の税制や融資商品を活用した資金計画まで解説しました。家賃や空室率の実績をもとに実質利回りを算出し、ローン返済と税控除を組み合わせてキャッシュフローを最大化する考え方が重要です。ここで紹介した指標とチェックポイントを用い、試算結果が黒字でも余裕を持てる水準かを最後に確認してみてください。そして行動に移すときは、信頼できる管理会社と金融機関をパートナーに選び、数字と現場の両面から投資判断を行いましょう。

参考文献・出典

  • 国土交通省 地価公示(2025年) – https://www.mlit.go.jp/
  • 東京都住宅政策本部 賃貸住宅市場データ(2024年度) – https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/
  • 総務省 住宅・土地統計調査(2023年速報) – https://www.stat.go.jp/
  • 東日本不動産流通機構 マンション価格指数(2025年7月) – https://www.reins.or.jp/
  • 国税庁 賃貸住宅特定取得控除の手引き(2025年度) – https://www.nta.go.jp/

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