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団信 年収1500万でも油断しない!高収入層が知るべき住宅ローンと保障設計

高収入とはいえ、住宅ローンを組むとき「団信 年収1500万」が気になる方は多いでしょう。万一の際に家族へ自宅を残せる団体信用生命保険(団信)は心強い半面、保障内容や金利上乗せの仕組みを誤解すると、せっかくの高年収でも返済計画が崩れる恐れがあります。本記事では、団信の基本から年収一五〇〇万円層ならではの融資上限、保険料負担、税金・相続対策まで解説します。読み終える頃には、自分に合った保障を選びつつ、資産形成を加速する具体策が見えてくるはずです。

団信の基本と高収入層が直面する課題

団信の基本と高収入層が直面する課題のイメージ

まず押さえておきたいのは、団信が住宅ローン残高と連動する生命保険である点です。借り手が死亡または高度障害になったとき、保険金で残債が完済され、遺族はローン返済から解放されます。銀行によっては金利に年〇・一%程度を上乗せする「金利上乗せ型」と、保険料を別途支払う「外付け型」があります。

年収一五〇〇万円クラスは借入額も大きくなりがちで、残高が多いほど保険金額も膨らみます。そのため、途中解約ができない団信に入りながら、並行して資産運用を進めるバランスが難題となります。また、会社員であっても役員報酬比率が高いと、健康状態よりも「勤務先の継続性」を問われやすい点は見落とせません。

一般に健康告知は過去三年以内の病歴が審査対象ですが、保険料の逓減がない商品では長期的なコスト負担が大きくなります。つまり、高収入だからこそ「最長三五年もの長期契約をいかにコスト効率よく維持するか」が鍵になるわけです。

融資上限と返済比率のリアル

融資上限と返済比率のリアルのイメージ

ポイントは、銀行が年収一五〇〇万円でも無制限に貸すわけではないことです。多くの都市銀行では返済比率を三五%前後に抑える方針があり、ボーナス払いを含めた年間返済額は五二五万円程度が上限になります。住宅金融支援機構の二〇二五年度統計でも、同水準の世帯が実際に借りた平均額は八〇〇〇万円前後に集中しています。

また、フラット三五は返済比率の基準が少し緩いものの、団信は外付け型が主流です。金利一・二%、三五年返済で八〇〇〇万円を借りる場合、元利均等返済額は月二三万円台、年間総額約二七六万円です。ここにがん保障付き団信を加えると金利が〇・二%上がり、総返済額は三五年で二〇〇万円近く増える試算になります。

一方で、自己資金三割を入れると返済比率は二五%程度に下がり、団信の金利上乗せも精神的負担も抑えられます。実は、審査において自己資金比率一五%超が「堅実な借り手」と評価されやすく、優遇金利を引き出しやすい事実も見逃せません。

保障内容と保険料負担の最適化

重要なのは、保障範囲を広げるほど費用が増す一方で、重複保険の落とし穴があることです。たとえば、勤務先で死亡保障が五〇〇〇万円ついている場合、ローン残高との重複分は掛け過ぎになります。日本銀行の二〇二五年四月調査によると、高収入層の三二%が「死亡保障が合計一億円超」となり、保険料負担が収入の一〇%近くに達しているとの結果もあります。

そこで、ローン開始から子どもの独立までの期間を区切り、がん特約や就業不能保障を「定期型」で上乗せする方法が有効です。返済額がピークの二十年間だけ保障を厚くし、その後は見直すことで総コストを三割程度削減できます。

さらに、金利上乗せ型団信は繰上返済をしても保険料が下がらない点が弱点です。外付け型を選び、ローン残高が減るたびに保険料も下がる設計にすると、返済ペースが速い高収入層には合理的になります。

高収入層が選ぶ団信カスタマイズ戦略

まず、高額所得者に人気なのが「収入保障型特約」です。万一の際、毎月定額を遺族に支払う形式で、生活費の補完を目的とします。団信でローン残高を消すだけでは現金収入が途切れるため、教育費や老後資金を守れない恐れがあるからです。

次に、医療技術の進歩を踏まえ「三大疾病保障」にも注目が集まります。がん・心筋梗塞・脳卒中で所定の要件を満たすと残債がゼロになる仕組みは、長期休職リスクを吸収します。ただし、診断給付金が下りない設計もあるため、保険金額と給付条件を吟味しましょう。

また、二〇二五年度から都市銀行の一部で導入された「認知症保障付き団信」は、高齢化リスクを考慮した新商品です。公的介護保険の要介護度二以上で残債が完済されるため、六〇歳以降も働く計画のある人に有用です。高収入ゆえに長期借入を選ぶ場合、老後リスクを具体的にカバーできます。

住宅ローン減税・相続への影響と最終調整

実は、年収一五〇〇万円層でも二〇二五年度住宅ローン減税は利用できますが、合計所得金額が三〇〇〇万円を超えると適用外になります。国土交通省資料によれば、長期優良住宅やZEH水準省エネ住宅なら控除期間十三年、控除率〇・七%が上限です。控除額の合計が最大で四五五万円になる試算もあり、団信上乗せ分のコストを十分相殺できます。

また、団信で残債が消えても不動産自体は相続財産に含まれます。評価額が高い都心マンションの場合、相続税の課税対象となるケースが増えています。生前に家族信託を活用し、現金化しやすい金融資産と分散保有することで、相続税の納税資金を確保しやすくなります。

一方で、債務が残らないため「債務控除」を使えず、相続税評価が上がる点には注意が必要です。あえてフラット三五の外付け団信にして、繰上返済を計画的に進め、相続時点で債務を一部残す戦略もあります。税理士と連携し、団信設計と相続プランを同時に見直す姿勢が欠かせません。

まとめ

ここまで見たように、「団信 年収1500万」という条件でも、保障コストと借入上限のバランスを誤ると資産形成が停滞します。重要なのは、返済比率三五%を一つの目安にしつつ、自己資金を厚めに入れて優遇金利を引き出し、外付け団信や定期特約で保障を柔軟に組むことです。住宅ローン減税や相続対策を踏まえ、ローン契約時から十年後、三十年後までシミュレーションを重ねましょう。そうすれば、高収入という強みを活かしつつ、家族と資産を守る最適な住宅ローン戦略を描けます。

参考文献・出典

  • 国土交通省 住宅局「2025年度 住宅ローン減税に関するFAQ」 – https://www.mlit.go.jp
  • 住宅金融支援機構「2025年度 フラット35利用者調査」 – https://www.flat35.com
  • 金融庁「金融モニタリングレポート2025」 – https://www.fsa.go.jp
  • 日本銀行「家計の金融行動に関する世論調査 2025年版」 – https://www.boj.or.jp
  • 国税庁「相続税・贈与税の申告事績(令和6年度)」 – https://www.nta.go.jp

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