都内で初めて収益物件を探すと、情報量の多さと価格の高さに圧倒されがちです。高額な投資だからこそ、手順を誤れば数百万円の差が生まれます。本記事では、収益物件 東京 購入手順を五つのステップに整理し、初心者でも安心して進められる具体策と2025年度の最新制度をまとめます。読み終えたときには、物件選定から融資交渉、契約までの流れがクリアになり、自分に合った投資判断ができるようになります。
物件選定で損をしない立地と規模の考え方

まず押さえておきたいのは、立地と規模が将来のキャッシュフローを大きく左右するという事実です。
都市再生特別措置法に基づく国交省データでは、都心三区の人口は2025年時点でも微増を続けています。一方で、23区外の駅徒歩15分超エリアは空室率が前年より2ポイント上昇しました。つまり、空室リスクを抑えるなら駅徒歩10分以内がベースラインになります。価格が高くても、長期的な稼働率がリターンを押し上げるという計算です。
規模についても慎重さが必要です。区分マンションは少額で始めやすい反面、管理方針を自分で変えにくい弱点があります。一棟アパートは自由度が高いものの、融資審査が厳しくなる点がネックです。自己資金と管理時間を考慮し、築15年以内の小規模木造から入るとバランスが取りやすいでしょう。
実は、将来の出口戦略もこの段階で想定しておくと失敗を減らせます。たとえば都心の区分は法人投資家の需要が厚く、売却までの平均期間が四カ月と短い傾向にあります。一方、一棟アパートは六カ月以上かかることも珍しくありません。流動性を意識するだけで、資金拘束リスクを抑えられます。
結論として、人口動態に裏付けられた立地を選び、自己資金と管理能力に合った規模を選ぶ。このシンプルな指針が後のトラブルを最小化します。
融資を引き出すための金融機関攻略法

ポイントは、金融機関ごとの審査基準を理解し、書類でリスクを可視化することです。
日本銀行の貸出統計によると、2025年上半期の不動産業向け融資は前年比4%増でした。しかし地銀は物件評価重視、信金は個人属性重視という違いがあります。自分の強みを当て込みやすい先から当たるのが合理的です。
源泉徴収票三年分、直近の確定申告書、物件の収支計画をセットで準備しましょう。空室率と修繕積立金を盛り込むと、審査担当の信頼を得やすくなります。さらに、固定金利と変動金利の差をシミュレーションに含めると説得力が増します。
政策金融公庫の「住宅・土地金融融資」は2025年度も最大7千万円、年1.0%前後の固定金利が利用可能です。頭金を厚くし公庫と民間を組み合わせれば、総返済額を抑えやすくなります。
最後に、金利交渉は申込時が勝負どころです。同業他社の提示条件を示しつつ、返済比率を30%以下に抑えた計画書を提示すると、0.1%程度下げられる余地があります。
収支シミュレーションとリスク管理の実践
実は、シミュレーションを悲観的に作るほど、購入後のストレスは減ります。
国交省「賃貸住宅市場実態調査」によれば、東京都の平均空室率は2025年4月時点で12.1%です。この数値に3ポイント上乗せした15%を基準に計算すると、景気の波に備えられます。利回りは表面ではなく、経費を差し引いた実質利回りで判断するのが基本です。
実質利回りとは、年間家賃収入から管理費・税金・修繕費を差し引き、購入総額で割ったものを指します。家賃収入600万円、経費130万円、購入総額9千万円なら実質利回りは約5.2%です。東京都心であれば4%以上を目安にすると、インフレ率を上回る可能性が高まります。
金利上昇リスクも見逃せません。0.5%の利上げで残債1億円・25年返済の場合、年間返済額は約50万円増えます。毎月手取り収入の30%を内部留保に回すと、急な赤字を回避しやすくなります。
2025年の保険料改定で東京都の木造物件は火災保険が平均7%値上げ予定です。長期一括払いなら3%程度に抑えられるので、契約更新時に割引率を確認しましょう。
契約から引き渡しまでの具体的な購入手順
基本的に、購入手順は五つのフェーズに分けると理解しやすくなります。
まず、買付証明を提出して優先交渉権を確保します。書面で価格と条件を明示することで、売主側の本気度を引き出せます。続いて仲介会社から重要事項説明書の案が届くので、用途地域や再建築不可の有無を細かく確認します。
次に、金融機関の本審査を通過させます。評価額が指値に届かない場合は自己資金の追加か交渉の打ち直しが必要です。買付けから二週間以内に結論を出せるよう、書類は先回りして用意するのがコツです。
売買契約では手付金を支払い、インフラ瑕疵とシロアリ被害の責任分担を明文化します。賃貸中物件なら敷金の承継方法も契約書に盛り込みましょう。
残代金決済と登記は同日実施が一般的です。司法書士費用は物件価格の0.1%程度ですが、複数見積もりで数万円下げられることもあります。引き渡し後は即座に設備点検を行い、入居者へ通知を送ることで信頼関係を築けます。
2025年度の制度と税制優遇を賢く使うコツ
ポイントは、現行制度をフル活用してキャッシュフローを改善することです。
2025年度も継続する省エネ改修による固定資産税減額措置は、翌年度税額が3分の1減るため効果が大きいです。期間は2025年3月末着工分までなので、改修計画は早めに立てましょう。
東京都独自の「賃貸住宅耐震化助成」は旧耐震物件を補強する場合、工事費の60%(上限1200万円)が補助対象です。古いRC造の利回りを高める際に有効な選択肢となります。
中小企業経営強化税制の即時償却は2025年度も続行します。法人化して給湯器やLED照明を一括償却すれば、節税しながら物件価値を高められます。
インボイス制度への対応も忘れずに。家賃は非課税ですが、修繕や管理委託で仕入税額控除を失わないために適格請求書の登録申請を済ませておきましょう。
まとめ
本記事では、収益物件 東京 購入手順を立地選定、融資、リスク管理、契約実務、制度活用の五つに分けて解説しました。重要なのは、データと制度を味方につけ、保守的なシミュレーションで数字を組むことです。紹介したチェックポイントを一つずつ実践すれば、購入後のキャッシュフローは安定し、長期的な資産形成の土台が固まります。まずは物件情報の精査から始め、金融機関との対話を進めてみてください。
参考文献・出典
- 国土交通省 住宅市場動向調査2025年版 – https://www.mlit.go.jp
- 国土交通省 賃貸住宅市場実態調査2025 – https://www.mlit.go.jp
- 日本銀行 貸出先別貸出金2025年上半期 – https://www.boj.or.jp
- 東京都都市整備局 賃貸住宅耐震化助成 – https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp
- 中小企業庁 中小企業経営強化税制の概要(2025年度) – https://www.chusho.meti.go.jp
- 政策金融公庫 融資統計2025 – https://www.jfc.go.jp