不動産の税金

始め方から学ぶREIT投資──アフターコロナで差をつける

長引く低金利と物価上昇を背景に、預貯金だけでは資産を守り切れないと感じる人が増えています。とくにアフターコロナで生活様式が変化し、投資対象も選別の時代に入りました。そこで注目されるのが、不動産の賃料収入を手軽に得られるREIT(リート)です。本記事では「始め方 REIT アフターコロナ」というテーマで、最新の市場環境から具体的な口座開設手順、税制優遇までを丁寧に解説します。初心者の方でも読み終えるころには、自分に合った一歩を踏み出すイメージが描けるはずです。

アフターコロナでREITに追い風が吹く理由

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まず押さえておきたいのは、REIT市場に資金が戻ってきている背景です。2023年以降、国内オフィス空室率は緩やかな改善を続け、日本不動産研究所の統計では2025年上期に平均5%台まで回復しました。これはテレワーク定着後に企業が「ハブオフィス」を再定義し、立地や機能が優れた物件に需要を集中させた結果といえます。 一方、物流施設REITはEコマース需要の拡大を取り込み、投資口価格の上昇に寄与しました。国土交通省のデータでも、2024年度の物流系REITの運用資産額は前年比12%増と堅調です。つまり、アフターコロナの経済再開と消費行動のオンライン化が、セクターごとに異なる成長ドライバーを生み出しています。 さらに、インフレ局面での不動産賃料は基本的に物価に連動して上昇する性質があります。そのため、REITは株式や債券よりインフレ耐性が高いと考えられています。個別物件を持たなくても、このメリットを享受できる点が個人投資家にとって魅力です。 加えて、J-REITの分配金利回りは2025年9月末時点で平均3.7%と、長期国債利回りを大きく上回ります。インカムゲイン重視の投資家にとって、預金からの資金シフト先として妥当な選択肢になっているのです。

REITの基本構造と仕組みを押さえる

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重要なのは、REITが不動産を直接買うのではなく「投資信託」の形で所有する点です。投資家は投資口を購入し、運用会社が集めた資金でオフィスや商業施設を取得します。そして賃料収入や売却益から経費を引いた利益の90%超を分配する仕組みが法律で義務付けられ、ここに高い分配金利回りの源泉があります。 管理運用は専門家に任せるため、個人はテナント対応や修繕計画に頭を悩ませる必要がありません。実は物件数の多さが分散効果を生み、空室リスクを低減する役割も果たしています。これにより、少額から複数物件へ自動的に分散投資できる点が大きな魅力です。 言い換えると、REITは株式と不動産のハイブリッド商品です。価格は市場で常に変動する一方、裏付資産が現物不動産であるため、長期では賃料収入が価値の下支えとなります。また、証券取引所に上場しているため、株と同じ口座で売買できる流動性の高さも大きな利点です。 このように、REITの基本構造を理解すると「なぜアフターコロナで注目されるのか」が自然と見えてきます。背景を押さえたうえで、次に実際の始め方を確認しましょう。

まず押さえておきたい始め方と口座開設の流れ

ポイントは、証券口座を開き、REIT専用の知識を学びつつ少額からスタートすることです。ネット証券の多くは最短即日で申し込みが完了し、NISA口座との併用も可能です。特に2024年から新制度になった「成長投資枠」は年間240万円まで非課税で利用でき、REIT購入にも適用されます。 口座開設後は、銘柄選びより先に購入タイミングより分散投資の計画を立てることが大切です。例えば毎月一定額を積み立てる「ドルコスト平均法」は、価格変動を平準化し心理的な負担を軽減します。また、投資口価格が下落した局面で追加購入すれば、平均取得単価を合理的に下げられます。 具体的な発注画面では「株式」タブからJ-REITを選び、銘柄コードで検索する方式が一般的です。最小売買単位は1口で、5万円前後から購入できる銘柄も少なくありません。なお、上場インデックスファンド型の「REIT ETF」を活用すれば、1万円以下で市場全体に分散投資する方法もあります。 取引後は分配金と価格推移を定期的にチェックし、ポートフォリオを見直します。始めのうちは運用報告書を読んで、保有物件の稼働率やLTV(負債比率)を確認する習慣をつけると、リスク管理の精度が向上します。

ポートフォリオ構築とリスク管理のポイント

実は、REIT投資で成否を分けるのは「セクター配分」と「財務健全性」の二つです。セクターとはオフィス、商業、物流、住宅、ホテルなどの分類で、景気や社会構造の変化によりパフォーマンスが異なります。たとえば観光需要の回復に伴い、ホテル系REITは2024年から投資口価格を二桁%押し上げましたが、訪日客の増減で変動も大きい点に注意が必要です。 次に財務健全性は、LTVが50%以内かどうかが一つの目安です。LTVとは総資産に対する有利子負債比率で、数字が高いと金利上昇局面で分配金が圧迫されるリスクがあります。日銀の緩やかな利上げが続く場合でも、LTVが保守的な銘柄はダメージを受けにくいと期待できます。 また、物件所在地の集中度にも目を向けましょう。東京圏に特化したオフィスREITは、空室率改善で恩恵を受けやすいものの、地震リスクを含む地域集中の弱点も抱えます。そこで異なるセクターや地域の銘柄を組み合わせ、トータルで安定した分配金を狙う戦略が有効です。 最後にキャッシュフロー管理です。分配金は年2回が主流で、受取月がずれる銘柄を組み合わせると、年間を通じた収入リズムがなめらかになります。生活費の補填を目的にする場合、2〜3ヶ月ごとに分配金が入るよう設計すると、資金繰りの見通しが立てやすくなるでしょう。

2025年度の制度優遇と税制を活用するコツ

まず、2025年度のNISA制度は現行と同じく「成長投資枠」の年間非課税限度額240万円が維持される見通しです。REITは同枠の対象に含まれますので、分配金と売却益が非課税になるメリットを最大限生かすことができます。ただし非課税保有限度額1800万円の上限があるため、他資産とのバランスを考えた配分が必要です。 加えて、REIT分配金には20.315%の源泉徴収税が課されますが、NISA枠内ならこれがゼロになります。例えば年間分配金が10万円の場合、課税口座では約8万円しか手取りになりませんが、NISAなら満額受け取り可能です。複利効果を考慮すると、長期で大きな差になります。 2025年度の確定申告では「上場株式等の配当控除」はREITに適用されませんが、損益通算は可能です。REITで損失が出た場合、同じ特定口座内の株式益と相殺できるので、課税所得を減らすことができます。こうした税務上の取り扱いを理解しておくと、トータルリターンを最適化しやすくなります。 さらに、ふるさと納税の枠を活用して現金負担を減らしつつ、NISAでREITを購入する「二段活用」も注目されています。可処分所得を最大化し、その分の余剰資金を再投資する循環を作ることで、資産形成のスピードを高める発想です。

まとめ

ここまで、アフターコロナで脚光を浴びるREITの魅力と始め方を解説しました。市況の追い風、仕組みの特徴、少額からの口座開設手順、そして制度優遇を組み合わせることで、初心者でもリスクを抑えながら安定収益を狙えます。記事で触れたセクター分散やLTVのチェックを実践し、まずは少額からマーケットに触れてみましょう。今日行動を起こすことで、将来の資産形成に向けた大きな一歩が踏み出せます。

参考文献・出典

  • 国土交通省 不動産市場動向調査 – https://www.mlit.go.jp
  • 日本不動産研究所 J-REIT市況レポート – https://www.reinet.or.jp
  • 金融庁 NISA制度説明ページ – https://www.fsa.go.jp
  • 日本銀行 金融政策決定会合資料 – https://www.boj.or.jp
  • 東京証券取引所 J-REIT一覧 – https://www.jpx.co.jp

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