不動産投資に興味はあるものの、専門用語が多くて一歩を踏み出せない人は少なくありません。特に「REITって株式とどう違うの?」「シェアハウスはまだ儲かるの?」さらに「税金は何をどこまで考えればいいの?」という疑問が重なると、情報を集めるだけで疲れてしまいます。本記事では、2025年10月時点で押さえておくべき最新データを交えながら、この三つのテーマを基礎から整理します。読み終えるころには、投資判断に必要な全体像が手元にそろい、次の一手を自信をもって選べるようになるでしょう。
REITとは何か

重要なのは、REIT(不動産投資信託)が「小口化された不動産パッケージ」だという点を理解することです。投資家は証券取引所を通じて一口数万円から物件の収益をシェアでき、実物不動産よりも流動性が高いという特色があります。金融庁の2025年6月時点データによると、上場REITの平均分配利回りは3.7%前後で推移しており、長期国債利回りを約2ポイント上回っています。
一方で価格変動リスクは株式市場と連動しやすい特徴を持ちます。例えば2024年の地政学リスク高まりの局面では、東証REIT指数が月間で7%下落しましたが、オフィス系銘柄より住宅系銘柄の下げ幅が小さく防御力を示しました。このように物件タイプごとの分散選択が結果を左右するため、ポートフォリオを構築する際は利回りだけでなく資産構成もチェックすべきです。また現物不動産投資と異なり、管理運営を専門家に完全委託できるため、時間的コストが小さい点が忙しい会社員には大きなメリットになります。
シェアハウス投資の特徴

まず押さえておきたいのは、シェアハウスが「住宅とコミュニティサービスをセットで提供する事業」だという点です。家賃収入に加えて清掃やイベント運営費を家賃に内包できるため、同じ床面積でも単身向けアパートより坪単価が高くなるケースが珍しくありません。国土交通省の2025年版住宅市場動向調査では、20〜39歳単身層のうち約8%が「次に住みたい形態」としてシェアハウスを挙げており、潜在需要は一定水準で継続しています。
しかし、入居者同士のトラブル対応や運営会社の選定失敗が損益分岐を狂わせる事例も多く見受けられます。2018年に発覚したかぼちゃの馬車問題はまだ記憶に新しく、過度なサブリース契約は2025年現在でも金融機関審査を厳しくする要因です。そのため、物件取得の段階で運営ノウハウを持つ会社と共同出資するか、オペレーションを細かく管理できる体制を築くことが必須になります。また、建築基準法上の寄宿舎扱いになる場合は消防設備や共用部面積割合の規定が変わる点も忘れないようにしましょう。
税金の基本と節税ポイント
ポイントは、収益形態ごとに課税区分が異なることを理解し、適切な控除を漏れなく活用することです。REITの分配金は「配当所得」、シェアハウスからの家賃は「不動産所得」として扱われ、それぞれ計算方法が違います。配当所得は原則として20.315%の源泉分離課税ですが、総合課税を選択して配当控除を受けるかどうかを年収水準と照らし合わせて判断する余地があります。一方、不動産所得は必要経費を差し引いたうえで課税されるため、減価償却や修繕費を適正に計上することで実効税率を下げることが可能です。
また、ふるさと納税やiDeCoといった他の節税策と組み合わせる際は、総所得金額の圧縮効果を意識しましょう。例えば年間家賃収入400万円、経費220万円、減価償却80万円のケースでは、不動産所得は100万円にまで圧縮でき、所得税率10%の層なら約10万円の節税インパクトが生まれます。ここで経費計上の根拠資料を明確に残しておくと、税務調査リスクを大幅に抑えられます。なお2025年度税制改正では、青色申告特別控除65万円の適用要件として引き続き電子帳簿保存が必須であるため、クラウド会計ソフトを導入して早めに運用を安定させておくと後々の負担が減ります。
2025年度の制度と補助を押さえる
実は、制度面を正確に把握するだけで投資判断の幅が広がります。2025年度も住宅ローン減税は新築・中古ともに投資用物件には適用されませんが、個人型確定拠出年金(iDeCo)の拠出上限額が月6万8000円に拡大されたことで、所得圧縮によるキャッシュフロー改善手段が増えました。また、環境性能を高めた賃貸住宅に対し地方自治体が独自にリフォーム補助金を設ける動きが全国で拡大しています。東京都の「賃貸住宅エコ改修助成(2025年度)」では、シェアハウスを含む共同住宅の断熱工事費用の三分の一、上限150万円を助成しており、採択率は過去2年平均で約60%です。
さらに、国土交通省が推進する住宅セーフティネット制度に登録した物件は入居者斡旋サポートを無償で受けられるため、空室リスクを下げる選択肢になります。REIT投資家にとっては直接的な補助はありませんが、J-REIT各社が省エネ建材導入で物件価値を向上させる動きが強まっており、中長期的な分配金の安定要因になると期待されています。制度は自治体ごとに条件が異なるため、購入エリアの窓口に事前相談をしておくと申請書類の手間を最小限に抑えられるでしょう。
安定運用に向けた戦略
まず、キャッシュフローの可視化が運用継続のカギです。REITでは分配金の再投資を自動化する「DRIP(配当再投資プログラム)」を利用すれば、複利効果で保有口数を増やせます。日本の証券会社では2024年から順次対応が進み、2025年10月時点で主要5社がサービスを提供しています。年3.7%の分配利回りを再投資した場合、10年間で口数は約45%増えるという試算も公表されています。一方、シェアハウスは空室発生時の損益インパクトが大きいため、入居待ちリストを常に構築し、共用部イベントの頻度を月1回以上に保つなどコミュニティ維持策が収益安定につながります。
結論として、大切なのは「何にどれくらいの時間と手間をかけられるか」を自己分析し、それに合った運用スタイルを選ぶことです。日中の本業が忙しい人は、REIT中心で配当再投資を続けることで市場平均を上回るパフォーマンスを狙えます。逆に地域密着で人脈を生かせる人は、シェアハウスを自主管理して付加価値サービスを拡充することで利回りを押し上げられます。両者を組み合わせることで、景気変動と賃貸市場それぞれのリスクを相殺し、ポートフォリオ全体の安定性を高められる点が最大のメリットと言えるでしょう。
まとめ
ここまで、REITの特徴と価格変動リスク、シェアハウス投資の運営ポイント、そして税金や2025年度制度の最新情報を整理しました。要するに、REITは流動性と手間の少なさが魅力であり、シェアハウスは運営力次第で高利回りが狙える投資対象です。税務区分を把握し、電子帳簿保存や減価償却などの要件を満たせば、実効税率を大きく抑えることができます。最後に、制度や補助は自治体ごとに差があるため、公式情報を確認しながら早めに申請準備を進めましょう。本記事を参考に、あなた自身のライフスタイルとリスク許容度に合った投資プランを描き、次の一歩を踏み出してみてください。
参考文献・出典
- 金融庁 – https://www.fsa.go.jp/
- 国土交通省 住宅市場動向調査2025 – https://www.mlit.go.jp/
- 国税庁 タックスアンサー – https://www.nta.go.jp/
- 東証REIT指数 月次レポート – https://www.jpx.co.jp/
- 東京都 住宅政策本部 賃貸住宅エコ改修助成 – https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/