不動産の税金

年収700万で始めるアパート経営のメリットと補助金活用術

アパート経営に興味はあるものの、自分の年収で本当に運営できるのか、空室リスクやローン返済の重圧に耐えられるのかと悩む人は多いでしょう。特に年収700万円前後の会社員は、家庭の生活費と投資資金をどう両立させるかが大きな課題になります。本記事では、年収700万を一つの現実的なラインと想定し、アパート経営のメリットとデメリットを整理しながら、2025年度に利用できる補助金や最新データを交えて具体策を解説します。読み終えたときには、自己資金の目安からキャッシュフロー改善の手順までを把握でき、次の行動につながるはずです。

年収700万円でアパート経営は現実的か

年収700万円でアパート経営は現実的かのイメージ

重要なのは、金融機関の融資姿勢と自己資金のバランスを客観的に把握することです。都市銀行のアパートローンは年収の10倍程度までが目安とされるため、年収700万円なら融資枠は概算で7,000万円前後になります。ただし自己資金2割を用意できるかどうかで条件は大きく変わります。

まず自己資金について考えます。物件価格5,000万円なら頭金1,000万円、諸費用約300万円、予備費200万円、合計1,500万円程度が理想です。家計から一括で捻出できない場合は、株式や投資信託の解約、退職金前借りなどを検討しがちですが、生活防衛資金を削り過ぎると本末転倒になります。つまり投資と生活の線引きをはっきりさせることが第一歩です。

一方、金融機関の審査では勤続年数や業種も重視されます。年収700万でも転職直後や歩合給が多い場合は評価が下がりやすく、逆に公務員やインフラ系企業に勤めていれば金利が優遇されるケースがあります。また、団体信用生命保険の加入条件に健康状態が影響する点も忘れないでください。

アパート経営のメリットを深掘り

アパート経営のメリットを深掘りのイメージ

まず押さえておきたいのは、レバレッジ効果です。自己資金の数倍から十数倍の不動産を保有できるため、家賃収入と資産形成を同時に狙えます。国土交通省住宅統計によれば、2025年8月の全国平均空室率は21.2%で前年から0.3ポイント改善しました。空室リスクは依然高いものの、エリアと物件選びが適切ならば安定収益は十分可能です。

次にインフレ耐性です。不動産は物価上昇局面で価値が目減りしにくく、借入金も実質的に目減りします。たとえばインフレ率2%、借入金利1.5%なら、実質金利はマイナス0.5%となり、借入による負担が相対的に軽くなります。将来の年金不安に備える資産として、不動産の現物保有は心理的な安心感を与えてくれるでしょう。

さらに、所得税・住民税の節税効果も見逃せません。減価償却やローン利息、修繕費を経費計上すれば、給与所得との差し引きで課税所得が圧縮されます。特に年収700万円層は課税所得が高めのため、節税のインパクトが大きく、家計全体のキャッシュフローを押し上げる要因になります。

知っておきたいデメリットとリスク管理

実は、メリットの裏側にはデメリットも存在します。代表的なのが空室リスクです。全国平均で21.2%という数字は、空室がほぼ5戸に1戸ある計算になり、立地やターゲットを誤れば家賃収入が想定を下回ります。十年先の人口動態を自治体の統計で確認し、借り手が減りにくいエリアを選ぶことが最重要です。

また、修繕費の突発的な発生も避けられません。築15年の木造アパートで給排水管を一式交換すると、1棟あたり200万円以上かかる例が珍しくありません。長期修繕計画を立て、毎月家賃収入の10%程度を修繕積立として確保すると、資金ショックを緩和できます。

そして金利上昇リスクです。現在の変動金利は1%台前半が主流ですが、日本銀行が政策を変更すれば数年で2~3%台に上がる可能性もあります。返済比率が家賃収入の50%を超えるとキャッシュフローが急速に悪化するため、繰上げ返済や長期固定金利への切替えを視野に入れてください。

2025年度の補助金を活用する方法

ポイントは、2025年度に実際に利用できる賃貸住宅向け補助金を上手に組み合わせることです。国が実施する「住宅省エネ2025事業」では、高断熱窓や高効率給湯器を導入した賃貸住宅に対し、1戸あたり最大45万円が補助されます。加えて、環境省の「賃貸住宅ZEH化支援事業」は、一次エネルギー消費量を50%以上削減する計画を満たせば、木造アパートで1戸あたり30万円前後が目安です。

さらに地方自治体の独自制度があります。東京都の「賃貸住宅太陽光設置促進補助」は、太陽光発電システム1kWあたり10万円(上限100万円)を交付し、入居者への電気料金還元で競争力を高められます。自治体によって補助率や対象工事が異なるため、物件所在地の役所に事前確認が必要です。

これらの補助金は、工事契約前の申請が必須であり、着工後の申請は認められません。施工会社が申請代行に慣れているか、過去の採択実績があるかを確かめることで手続きの手間を減らせます。補助金が採択されれば表面利回りが0.5〜1ポイント改善するケースもあり、長期のキャッシュフローに大きな差が生まれます。

キャッシュフロー改善の具体策

まずは家賃設定を市場より5%高く提示し、反響が弱ければ段階的に下げる「攻めの賃料戦略」が有効です。初動で強気に出ることで適正賃料の天井感を把握でき、値下げ余地も残せます。特に築浅の期間は家賃収入がローン返済の生命線になるため、募集スタート時の価格戦略が重要です。

次に支出の削減です。管理会社の手数料は月額賃料の5%が相場ですが、複数物件を預けてボリュームディスカウントを交渉すれば3%台まで下げられる可能性があります。また、清掃や軽微な修繕をオーナー自身が行う「セルフメンテナンス」を導入すれば、年間数十万円のコストカットも見込めます。

最後に、追加投資による付加価値向上です。たとえばIoTスマートロックの設置は1室あたり5万円程度で済み、入居者の利便性が向上して空室期間が短縮します。補助金と合わせて導入すれば実質負担はさらに小さくなり、家賃を維持したまま競争力を強化できます。結論として、収入を伸ばす策と支出を抑える策を同時に実行することが、年収700万の投資家にとって最も効果的なキャッシュフロー改善手法です。

まとめ

ここまで、年収700万円の会社員でも実現可能なアパート経営の全体像を示してきました。立地選びと自己資金を固めたうえで、空室・金利・修繕という三大リスクを管理し、2025年度の補助金を活用すればレバレッジ効果を最大化できます。メリットを享受しながらデメリットを抑える鍵は、数字に基づくシミュレーションと制度のフル活用にあります。まずは物件所在地の自治体窓口と金融機関に相談し、具体的な資金計画を作成することから始めましょう。

参考文献・出典

  • 国土交通省 住宅統計調査 2025年8月速報 – https://www.mlit.go.jp
  • 環境省 賃貸住宅ZEH化支援事業 2025年度要綱 – https://www.env.go.jp
  • 経済産業省 住宅省エネ2025事業 公式サイト – https://www.meti.go.jp
  • 東京都 環境局 太陽光設置促進補助 2025年度案内 – https://www.metro.tokyo.lg.jp
  • 日本銀行 金融システムレポート 2025年7月 – https://www.boj.or.jp

関連記事

TOP