賃貸経営に興味はあるものの「多額のローンを背負うのは怖い」「管理の手間を考えると踏み出せない」と感じる方は少なくありません。実は、物件を買わずに不動産市場に参加できるREITと、少額から現物投資を体験できるシェアハウスを組み合わせることで、リスクとリターンのバランスを取りながら資産形成を進める方法があります。本記事では、REITとシェアハウスの仕組みを基礎から解説し、2025年10月時点の最新動向を踏まえた資金計画や税制優遇まで丁寧に紹介します。読み終えたとき、あなたは自分に合った「不動産投資の入口」を明確に描けるようになるでしょう。
REITとは何かその魅力

ポイントは、少額で分散投資ができることです。REIT(不動産投資信託)は、投資家から集めた資金で商業ビルや住宅などをまとめて保有し、その賃料収入や売却益を分配します。株式と同じように証券取引所で売買できるため、流動性が高い点も特徴です。
まず東証REIT指数を見てみると、2025年9月末時点で前年比4.2%上昇しています。国土交通省の市場動向調査では、住宅系REITの平均稼働率は96%超と高水準を維持しており、安定収益を支える土台となっています。また、REITは内部留保を最小限に抑え、収益の90%以上を配当に回すことで法人税が軽減される仕組みです。つまり、投資家は税引き前のキャッシュフローを受け取りやすいわけです。
さらに、個別物件を選ぶ手間が不要な点もメリットです。運用はプロの不動産会社が行い、定期的に情報開示されます。価格変動リスクはあるものの、株式より配当利回りが高い傾向にあり、2025年10月現在の平均分配金利回りは4%台後半です。資産の一部をREITに振り向けるだけで、多様な不動産ポートフォリオを保有できるのは魅力と言えます。
シェアハウス投資の基本と最新動向

まず押さえておきたいのは、少額でスタートできる柔軟性です。シェアハウスは一戸建てやマンションの一室を複数人で共有し、個室+共用部から家賃を得る形式です。2017年以降のトラブル報道で一時的に市場は冷え込みましたが、国土交通省の賃貸住宅管理業法改正により運営体制が整備され、2025年は再び注目されています。
入居者メリットは家賃を抑えつつ都心生活を実現できる点です。一方、オーナー側は空室リスクを分散しやすい仕組みを持ちます。例えば1戸当たり月6万円の賃料でも、5部屋を運営すれば総収入は30万円です。1室空いても収入は20%しか下がらず、ワンルームマンションの空室より影響が小さく済みます。
2025年10月時点で、インバウンド再拡大を背景に「国際交流型」や「企業研修型」のシェアハウスが増加しています。東京都住宅政策本部のデータによれば、都内の外国人入居者比率は全体の18%に達し、需要の底上げに寄与しています。また、運営を代行する管理会社が増え、家賃集金やトラブル対応を一括委託できるため、初心者でも参入しやすい環境が整いました。
収益構造を比較して見えるリスクとリターン
実は、REITとシェアハウスはキャッシュフローの性質が異なります。REITは株式同様に価格変動を受けますが、分配金は空室率や賃料水準の変化を平準化して支払われるため、安定度が高いです。対してシェアハウスは現物不動産のため価格変動は限定的ですが、実際の運営成績が収益を左右します。
日本証券業協会の統計では、2024年度のREIT平均トータルリターンは年間7.1%でした。シェアハウスの実質利回りは、運営管理コストを差し引いたうえで8〜12%の事例が多いと報告されています。ただし、修繕や原状回復に想定外の費用が発生すると利回りは簡単に低下します。
一方でリスクも比較しておく必要があります。REITはマーケット全体の金利上昇局面で価格が下落しやすく、短期的な値動きが気になる投資家には向きません。シェアハウスは入居者コミュニティの質によって評判が変わり、長期空室が発生すると大幅な収益悪化につながります。したがって、両者を組み合わせて保有することで、価格変動と運営リスクを相互に補完する効果が期待できます。
資金計画と税制優遇のポイント
重要なのは、手元資金と融資条件を見極めることです。REIT購入は証券口座に入金するだけで済むため、投資額を自由に調整できます。一方でシェアハウス購入は物件価格の20〜30%を自己資金として用意すると、金融機関の審査が通りやすく、金利も有利になります。2025年10月時点の都銀アパートローン平均金利は年2.1%程度です。
税制面では、REITの分配金は「配当所得」として総合課税もしくは申告分離課税を選択できます。給与所得と損益通算するケースでは総合課税を検討し、所得控除の余地があるか確認すると節税につながります。シェアハウスは「不動産所得」に区分され、2025年度も青色申告特別控除最大65万円が適用されます。帳簿付けと複式簿記を行うだけで控除が得られるため、早めに会計ソフトを導入しておくと効率的です。
さらに、シェアハウスの共用部に太陽光発電を設置した場合、「2025年度 住宅省エネ設備投資促進税制」の対象となり、投資額の10%を法人税もしくは所得税で即時控除できます。ただし、太陽光設備の認定や施工業者の条件が細かいため、着工前に税理士へ確認すると安心です。
初心者が踏み出すためのステップ
まずは、情報収集とシミュレーションを徹底することが第一歩です。証券会社のバーチャルトレードを利用してREITの値動きを体感し、分配金スケジュールを確認しましょう。並行して、興味のあるエリアでシェアハウス見学会に参加し、実際の運営コストや入居者の声を聞くとリアルな数字が見えてきます。
次に、資金計画書を作成し、最悪シナリオでも3年間は資金繰りが持つかをチェックしてください。金利上昇2%と空室率25%を設定した厳しいシミュレーションを行うと、リスク耐性が客観的に把握できます。
最後に、小額から行動に移すことが大切です。10万円単位でREITに投資しつつ、シェアハウスは1棟購入ではなく、一室オーナー制度や共同出資型のクラウドファンディングから始める方法もあります。経験値を積んでから規模を拡大すれば、大きな失敗を防げるでしょう。
まとめ
REITはプロ運用による安定した分配金と高い流動性が魅力で、シェアハウスは少額で高利回りを狙える反面、運営次第で収益が大きく変動します。両者を組み合わせることで、価格変動と運営リスクを補完し合い、堅実な不動産ポートフォリオを構築できます。まずは小さな投資から始め、厳しめのシミュレーションで資金計画を練り、2025年度の税制優遇を活用することで、長期的に安定したキャッシュフローを得るチャンスが広がるでしょう。あなたの一歩が将来の資産形成を大きく前進させます。
参考文献・出典
- 国土交通省 不動産投資市場動向調査 2025年版 – https://www.mlit.go.jp/
- 東証REIT指数 月次レポート 2025年9月 – https://www.jpx.co.jp/
- 東京都住宅政策本部 共同住宅居住実態調査 2024 – https://www.metro.tokyo.lg.jp/
- 日本証券業協会 REITリターン年報 2024 – https://www.jsda.or.jp/
- 財務省 税制改正大綱 2025年度 – https://www.mof.go.jp/