不動産投資で築いたマンションをいざ売却しようとしても、「本当に1億円で売れるのか」「税金で手取りが減るのでは」と不安になる方は多いはずです。特に令和の市場は価格高騰と金利上昇の波が交錯し、一歩間違えると利幅が縮んでしまいます。本記事では、最新の2025年10月時点のデータをもとに、1億円での売却を現実にするための戦略を具体的に解説します。読み終えた頃には、売却価格の上げ方から税金対策まで一連の流れが整理でき、実行に移す自信が備わるでしょう。
売却価格1億円を実現するゴール設定

重要なのは、最初に「1億円」という数字が市場で妥当かを確認し、達成までの工程表を描くことです。国土交通省の不動産価格指数によると、2025年上期の区分マンション価格は全国平均で前年比2.8%上昇しましたが、地域差は依然大きいままです。
まず物件の現在価値を査定し、周辺の成約事例と比較する作業から始めます。不動産仲介3社以上にヒアリングすると成約想定価格の分布が把握でき、楽観・悲観両面のシナリオを描けます。次に売却までの希望期間を決め、相場より5%高く出して反応を見る「テストマーケティング」を実施します。反響が低ければ2週間ごとに価格調整し、最長90日で売り切る計画を立てると機会損失を防げます。
結論として、1億円という目標は「立地が強い都心・駅近」「築20年以内」「平均利回り4%前後」という条件がそろえば十分射程に入ります。逆に郊外で築30年超なら、高値狙いより先にリフォームや貸し替えによる価値向上を考えるほうが得策です。
需要トレンドを読む立地と築年数の見極め方

ポイントは、売却時点での需要の強さをデータと肌感覚の双方で捉えることです。不動産経済研究所の調査では、2025年10月の23区新築マンション平均価格が7,580万円に達し、投資家は「中古でも駅徒歩5分、築15年以内なら1億円でも買う」というスタンスに変わりつつあります。
一方で、人口動態を見ると総務省の推計で東京23区は2030年まで微増が続く見込みですが、千葉・埼玉の一部エリアは2027年から減少局面に入ります。この差は空室リスクや修繕積立金の上昇リスクとして価格に反映されるため、売却エリアを選ぶ際に極めて重要です。
また築年数は買い手がローンを組めるかどうかに直結します。金融機関は「築年数+融資年数≤47年」を目安に審査するため、築25年が超えると融資期間が20年を切り、月々返済が重くなります。結果として買い手の層が限定され、価格交渉で弱くなる可能性が高まります。
つまり1億円売却を狙うなら、築15年前後でまだ融資期間の余地が大きい段階がベストタイミングです。すでに築25年を超えている場合には、利回り改善や長期修繕計画の開示など、買い手の安心材料を徹底的に用意することが欠かせません。
高値売却を後押しするリノベーション戦略
まず押さえておきたいのは、リノベーション費用をかけすぎると投資回収が難しくなる点です。日本レジデンス協会の2025年調査では、500万円以上を投じた改装でも売却価格上昇幅は平均350万円にとどまりました。
しかし、キッチンや浴室の水回りを中心に150万円以内で機能性を底上げしたケースでは、売却価格が平均300万円上乗せされています。買い手が感じる「修繕不要で即入居できる安心感」が価格に反映されやすいため、費用対効果が高いのです。
さらにインテリアコーディネートをプロに依頼し、内見時の第一印象を向上させると成約スピードが加速します。視覚情報は購入判断の約6割を占めると言われ、照明や家具の配置を工夫するだけで想定より1週間早く申し込みが入る例も珍しくありません。
とはいえ大規模修繕が近いと判断された場合、売り急ぎは禁物です。管理組合の修繕積立金総額や長期修繕計画書を買い手に提示し、将来の負担が軽いことを説明できれば、フルリノベより安いコストで同等の価格上昇が見込めます。
税金・費用を最小化する2025年度の制度活用
実は、売却益を最大化するには税金と諸費用のコントロールが不可欠です。2025年度の税制では、所有期間5年超のマンションを売却すると長期譲渡所得となり、税率が約20%に軽減される点が大きなメリットになります。
さらに所得税・住民税の合計で課税されるため、同じ年に別の大きな収入があると税率が上がるリスクがあります。そこで年内に売却契約を締結するか、翌年にずらすかをシミュレーションし、課税所得を分散させる戦略が有効です。
経費面では仲介手数料、登記費用、司法書士報酬のほか、印紙税もかかります。合計で売却価格の3〜4%が目安ですが、最近は仲介手数料を「成功報酬型」で1.5%まで抑える専門会社も増えています。複数社を競合させ、条件を比較するひと手間が手取り額を押し上げます。
なお、2025年度も投資用不動産には「居住用財産の3,000万円特別控除」は適用されない点に注意が必要です。節税を狙って名義を変えるなどの手法は税務署に否認されやすく、専門家の確認を怠ると追徴課税を招く恐れがあります。
1億円で出口を迎える投資シミュレーション
まず、表面利回り4.2%・年間家賃420万円の都心マンションを購入価格7,500万円で保有し、8年間運用して売却を迎える想定を立てます。家賃下落を年0.5%、空室率5%で見積もると、累計キャッシュフローは約3,000万円に達します。
2025年時点での残債が4,000万円、売却価格1億円、諸費用350万円とすると、手取りは約5,650万円です。投下資本に対する内部収益率(IRR)は年10%以上となり、多くの金融機関が提示するREIT平均利回り3%を大きく上回ります。
一方で、金利が1%上昇し空室率が10%に悪化した場合でも、手取りは約4,600万円でIRRは年7%台を維持できます。これは購入時点で「売却出口」を想定し、融資年数と残債の減り方をシミュレーションしてきた成果です。
最終的に、1億円売却を視野に入れたマンション投資では「購入→運用→出口」の全期間で数字をモニタリングする姿勢こそがリスクを抑え、期待利回りを実現する鍵になります。
まとめ
ここまで、マンション投資 売却 1億円 令和版で成果を上げる手順を、市場分析からリノベ、税務まで一気通貫で解説しました。要は、適切なタイミングで需要が強い立地を選び、無駄のない改装と制度活用で手取りを伸ばすことが成功の方程式です。売却をゴールと逆算したシミュレーションを重ね、複数の専門家と連携すれば、1億円は現実的な数字に変わります。ぜひ本記事を指針に、次の一手を具体的に行動へ移してください。
参考文献・出典
- 国土交通省 不動産価格指数 https://www.mlit.go.jp/
- 不動産経済研究所 新築マンション市場動向 https://www.fudousankeizai.co.jp/
- 国税庁 令和7年分 土地建物等の譲渡所得の課税のしかた https://www.nta.go.jp/
- 日本銀行 貸出平均金利統計 https://www.boj.or.jp/
- 総務省 統計局 人口推計 2025年版 https://www.stat.go.jp/