当直明けに資産運用の書類を開きながら、「時間はないけれど、将来の収入源を確保したい」と感じたことはありませんか。医業は安定している一方、勤務先の方針変更や働き方改革で収入が読みにくい場面も増えています。本記事では、忙しい医師でも取り組みやすいといわれる「新築マンション投資」の基礎から最新の融資・税制情報までを丁寧に解説します。読み終えたとき、物件選びの視点や数字の読み方がクリアになり、最初の一歩を踏み出す準備が整うはずです。
なぜ医師に新築マンション投資が注目されるのか

ポイントは、医師特有の信用力と時間的制約のバランスです。医師は安定した高年収と社会的信頼を背景に、低金利で長期融資を受けやすい傾向があります。つまり自己資金を温存しながら規模拡大を図れるというメリットが生まれます。
一方で、診療や研究で多忙なため、築古物件の大規模修繕や入居者対応に割く時間は限られます。新築マンションは設備保証が長く、入居募集もスムーズで管理会社に任せやすい点が大きな魅力です。また、2025年の首都圏新築マンション平均価格は不動産経済研究所によると7,580万円で、完成後すぐに高い家賃水準が見込める点も資金回収のスピードを後押しします。
さらに、医師のライフプランには住宅ローンや学費など高額支出が重なります。家計全体を守りながら資産形成を進めるには、手間の少ない収益源を持つことが精神的な安全弁になります。このような背景から、新築マンション投資は医師にとって現実的な選択肢として支持を集めているのです。
まず押さえておきたいキャッシュフローの基本

まず押さえておきたいのは、家賃収入から諸経費を引いた「手残り」がプラスになる設計です。表面利回りだけで判断すると、管理費や修繕積立金、固定資産税などで予想外の赤字が生じることがあります。
初期費用では物件価格の10〜15%程度を諸費用として見込みます。融資を利用する場合、元利均等返済であっても金利上昇リスクを織り込んでシミュレーションすることが欠かせません。日本銀行のデータでは、住宅ローン変動金利の平均は2025年7月時点で0.45%ですが、過去の推移をみると1%幅の変動は十分起こり得ます。
運用期には空室率を保守的に10%前後と見積もり、管理手数料や原状回復費を計上します。家賃下落を想定した場合でも、税引き後キャッシュフローが年間50万円以上確保できるかを目安にすると資金繰りが安定します。こうした数値を自ら検証することで、販売会社のシミュレーションへ建設的な質問ができるようになります。
重要なのは物件選定と立地分析
重要なのは、将来的な賃貸需要が続くエリアを選ぶことです。東京23区内でも、駅徒歩10分圏かつ複数路線利用可の立地と、それ以外では入居期間に明確な差が出ます。総務省の転出入データをみると、単身世帯は職住近接を最優先する傾向が年々強まっています。
具体的には、病院や大学キャンパスの集積エリア、再開発が進む副都心、中規模ターミナル駅の徒歩圏などが狙い目です。例えば2025年に竣工した中央線沿線の新築ワンルームでは、平均募集家賃が前年比2.5%上昇し、空室期間も23日短縮しています。これは人口流入と再開発効果が家賃水準を押し上げた典型例です。
一方で、表面的に高利回りに見える郊外物件には注意が必要です。人口減少が進む地域では家賃下落幅が大きく、出口戦略としての売却も難しくなります。投資目的が長期保有なのか、一定期間後に売却してキャピタルゲインを得たいのかを明確にし、それに合致した立地を選ぶことが成功のカギとなります。
2025年度の融資と税制を味方にする方法
実は、融資条件の差が投資利回りを大きく左右します。都市銀行は金利が低い一方、自己資金比率20%以上を求めるケースが多く、地方銀行や信用金庫は自己資金10%程度で柔軟に対応することがあります。複数行へ事前相談し、金利だけでなく融資期間や元本の繰上返済手数料を比較することが重要です。
税制面では、2025年度も住宅ローン控除が一定の要件を満たす賃貸併用住宅で適用可能ですが、純投資用マンションには適用されません。そのため、減価償却費を活用した所得税・住民税の圧縮が節税の中心になります。新築RC造の場合、法定耐用年数47年で直線償却となるため、年間償却費は物件価格の約2%程度です。医師の場合、給与所得と損益通算できるため、年間所得税率33%なら、100万円の赤字計上で約33万円の税負担が軽減される計算になります。
また、2025年度の固定資産税・都市計画税は新築から3年間、税額が1/2に軽減される措置が継続しています。期間終了後の負担増を踏まえた長期試算を作成し、家賃増額や繰上返済で吸収できるかを確認しましょう。制度を正しく理解し、過度な節税目的にならないよう注意が必要です。
忙しい医師が失敗しないための運営体制
まず押さえておきたいのは、信頼できる管理会社選びです。入居者募集力、24時間対応、修繕提案力の3点を基準に、過去の空室率や原状回復コストの実績を確認します。医師の勤務スケジュールでは、細かな入退去対応を自分で行うのは現実的ではありません。
次に、確定申告を代行できる税理士と連携し、年間のキャッシュフローと税務戦略を一元管理します。医療法人に勤務する場合と開業医では所得区分が異なるため、個別のアドバイスが欠かせません。税理士報酬は年間10万円前後が相場ですが、節税効果と時間短縮を考えれば十分に見合うコストです。
最後に、ライフプランの変化を踏まえたポートフォリオ管理が求められます。例えば留学や開業で一時的に収入が減るフェーズでは、手元資金を厚くし、繰上返済を控えるといった調整が必要です。年に一度は管理会社と資産状況をレビューし、家賃改定や保険の見直しを行うことで、長期にわたり安定運用が期待できます。
まとめ
本記事では、医師が新築マンション投資に取り組む際のメリットと注意点を整理しました。信用力を生かした低金利融資、管理の手間が少ない新築物件、そして所得と損益通算できる税制メリットが魅力です。ただし、家賃下落や金利上昇を織り込んだシミュレーション、需要が続く立地選定、信頼できるパートナーの確保が成功には欠かせません。まずは一物件分の詳細試算を作成し、専門家と相談しながら具体的な行動に移してみてください。
参考文献・出典
- 不動産経済研究所 – https://www.fudousankeizai.co.jp
- 国土交通省「住宅着工統計」 – https://www.mlit.go.jp
- 日本銀行「金融経済統計月報」 – https://www.boj.or.jp
- 国税庁「令和6年分 所得税の手引」 – https://www.nta.go.jp
- 総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」 – https://www.stat.go.jp