物価は上がるのに給与は伸び悩み、将来の年金にも不安が残る――そんな時代だからこそ「副業で資産を増やしたい」と考える人が増えています。なかでも関心が高いのがマンション投資です。しかし、いざ情報を集め始めると「新築か中古か」「本業と両立できるのか」など、次々に疑問が湧いてきます。本記事では、新築マンション投資を副業として検討する読者に向けて、メリットとリスクを比較しながら、2025年10月時点の市場データと税制を踏まえた戦略を解説します。読み終えるころには、自分にとって最適な選択肢が見えてくるはずです。
新築マンション投資を副業に選ぶ背景

まず押さえておきたいのは、新築マンション投資が副業として注目される理由です。最大の魅力は「管理負担の軽さ」にあります。竣工直後は設備トラブルが少なく、入居者からの問い合わせも限定的です。つまり、平日は本業に集中し、夜や休日に最低限の確認作業を行うだけで運営が可能になります。この点は、築年数が経った物件と比べて大きなアドバンテージです。
さらに、不動産経済研究所の2025年10月データによると、東京23区の新築マンション平均価格は7,580万円で前年比3.2%上昇しました。価格上昇は購入ハードルを上げる一方、資産価値の維持を後押しする要因にもなります。長期的に見れば、初期費用を回収しつつキャピタルゲイン(値上がり益)を得るチャンスがある点も、新築が支持される背景です。
副業に向くもう一つの理由は、物件取得時に受けられる融資条件です。主要都市圏では、金融機関が新築物件に対して融資期間を最長35年まで設定する例が多く、返済負担を月々に平準化できます。本業の安定収入を合わせることで審査も通りやすく、レバレッジ効果(少ない自己資金で大きな資産を持つ仕組み)を享受できるのです。
新築と中古、リスクとリターンの本質

重要なのは、リスクとリターンを単純な「新築 VS 中古」という二項対立で捉えないことです。新築は空室期間が短く、修繕コストも当面は発生しにくい一方、購入価格が高い分だけ利回り(年間家賃収入÷物件価格)は低くなりがちです。仮に家賃月18万円、年間216万円の1LDKを7,580万円で購入すると、表面利回りは約2.85%にとどまります。
一方で中古物件は購入価格が圧縮できるため、同じ家賃設定なら利回りは高く見えます。しかし、築15年を超えると屋上防水や給排水管の更新といった大規模修繕が避けられず、突発的な支出が利益を削ります。国土交通省の「賃貸住宅修繕データベース」によれば、築20年時点で平均200万円規模の修繕費が必要になるケースも報告されています。
空室リスクにも差があります。新築は竣工時のキャンペーンや最新設備を武器に、入居者を早期に確保しやすい反面、家賃設定が強気になりがちです。景気が後退すれば、家賃を下げる余地が小さいため、空室期間が長引く恐れがあります。中古は家賃水準が周辺市場と馴染んでおり、入居付けが計算しやすいものの、築古になるほど競合物件との設備差が広がります。
ポイントは、「表面利回り」ではなく「実質利回り」を追う姿勢です。実質利回りは、年間家賃から管理費・修繕費・空室損・税金を差し引き、購入総額で割って算出します。ここで新築物件が優位に立つケースは少なくありません。副業で限られた時間しか使えない投資家ほど、安定運用を優先する傾向が強く、その際に新築マンションは有力な選択肢となるのです。
本業と両立する運営術
実は、不動産投資そのものより「運営のしかた」が副業成功のカギを握ります。まず、管理会社との役割分担を明確にし、緊急対応や家賃回収を委託する体制を整えることが重要です。管理委託手数料は家賃の3%〜5%が目安ですが、本業の時間単価を考えれば十分に回収できるコストといえます。
次に、オンライン化の活用です。管理会社選定では、オーナーアプリで収支報告を確認できるかをチェックしましょう。スマートロックやIoT設備を導入すれば、入居者対応の回数を減らすだけでなく「最新設備が整った物件」として差別化できます。2025年時点でスマートロック1台の設置費用は約5万円まで下がっており、導入障壁は大幅に低下しました。
副業投資家にとってキャッシュフロー管理も欠かせません。家賃収入が振り込まれたら、返済口座と生活口座を分けた上で、将来の修繕費に備える「積立口座」を設けると安心です。毎月家賃の10%を積み立てれば、20年後にまとまった修繕資金を確保できます。こうした仕組み化が、本業を持つオーナーのストレスを軽減するポイントになります。
2025年度の税制・融資環境を押さえる
まず押さえておきたいのは、2025年度の不動産所得に適用される主な税制優遇です。不動産所得は給与所得と損益通算できるため、初年度に発生する諸費用や減価償却費を計上すれば所得税・住民税が軽減されます。例えば、鉄筋コンクリート造の新築マンション(耐用年数47年)の場合、建物価格の約2%を毎年経費化できる計算になります。副業で得た家賃収入を実質的に手取りベースで増やせる点は、新築投資の魅力です。
融資環境を見ると、日本銀行のマイナス金利政策は2024年に縮小されたものの、2025年10月時点で不動産投資ローンは固定金利2%台を維持しています。金融機関は自己資金10%〜20%を用意する投資家に対し、金利優遇や団体信用生命保険(万一の際、残債がゼロになる保険)の無償付帯を提供するケースが増えました。副業で時間が限られるからこそ、家族のリスクヘッジとして団信を活用する意義は大きいでしょう。
覚えておきたいのは、住宅ローン控除が居住用であるため投資用には適用されない点です。制度名を混同しないよう注意してください。また、2025年度は国交省の「賃貸住宅省エネ改修補助金」が継続していますが、対象は既存住宅の断熱改修であり、新築投資には基本的に該当しません。制度を利用する場合は、物件購入後に自分で住みながら改修するプランなど、用途を厳密に照合する必要があります。
VSの勝ち方:あなたに合う戦略を決める
ポイントは、自分のライフスタイル・資金力・リスク許容度を基準に戦略を組み立てることです。本業が忙しく現金もある程度確保できるなら、新築マンション投資で管理負担を抑え、長期保有による安定収入を狙う選択が合理的です。反対に時間に余裕があり、物件のDIYやリノベーションに興味がある人は、中古物件で利回りを高める方が合っているかもしれません。
さらに、将来の出口戦略も計算に入れる必要があります。新築物件は築10年ほどで売却すれば、まだ外観がきれいな状態で値崩れを抑えやすく、資産の組み替えがスムーズです。中古で高利回りを追った場合は、家賃収入で投資額を5〜7年で回収し、その後も保有し続ける「キャッシュフロー重視型」が王道です。つまり、VS構図は単純な優劣ではなく、自らの目標に照らして選択するプロセスなのです。
最後に、情報収集の姿勢が勝敗を左右します。仲介会社のセミナーやオンライン講座だけに頼らず、公的データや現地調査を組み合わせることで、数字と体感のずれを最小化できます。副業投資家は時間が限られる分だけ、質の高い情報を効率よく集める意識が求められるでしょう。
まとめ
この記事では「マンション投資 新築 副業 VS」というテーマを軸に、新築マンション投資の特性、リスク比較、本業との両立方法、2025年度の税制・融資環境を解説しました。重要なのは、表面利回りに振り回されず、実質利回りと手間をセットで評価する視点です。本業を続けつつ安定収入を得たいなら、新築マンション投資は有力な選択肢になります。一方で、時間やスキルを活かして高利回りを追う戦略も否定できません。自分の目標とライフスタイルに合った道を選び、データに基づく判断で一歩を踏み出しましょう。
参考文献・出典
- 不動産経済研究所 – https://www.fudousankeizai.co.jp
- 国土交通省 賃貸住宅修繕データベース – https://www.mlit.go.jp
- 日本銀行 金融政策決定会合資料 – https://www.boj.or.jp
- 総務省 統計局 家計調査 – https://www.stat.go.jp
- 東京都都市整備局 住宅市場動向報告 – https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp