不動産投資を始めたいけれど、どの地域を選べばいいのか迷う方は多いはずです。首都圏は価格が高く敷居が高い一方、地方都市は情報が少なく判断が難しいという声も聞きます。そこで今回は、九州の要所として注目される熊本を取り上げ、他地域との比較を通じて投資判断のヒントをお届けします。本記事を読めば、利回り、空室リスク、将来性を含めた総合的な視点で熊本市場を評価できるようになります。自身の投資スタイルに合うかどうかを見極める材料としてご活用ください。なお、2025年10月時点の最新制度を踏まえて解説するので安心して読み進めてください。
熊本市場の現状を押さえる

まず押さえておきたいのは、熊本市を中心とした人口と経済の動向です。それらを把握することで、比較 熊本が投資先としてどれほど魅力的かが見えてきます。
熊本県の人口は2024年末時点で約174万人とわずかな減少傾向にありますが、県庁所在地である熊本市はここ5年ほぼ横ばいを維持しています。国土交通省の住宅・土地統計調査によると、熊本市の持ち家率は62%で全国平均より低めです。つまり、賃貸需要が一定程度見込める構造が続いていると言えます。
さらに、台湾TSMCの半導体工場が2024年末に稼働を開始し、関連企業の進出も進んでいます。熊本県の発表では、直接雇用と派遣を含めて1万2000人規模の新たな雇用が生まれる見込みです。工場周辺の菊陽町では新築アパートの建築ラッシュが続き、物件価格指数は2022年比で12%上昇しました。
一方で、熊本市中心部の坪単価は福岡市の約7割にとどまります。つまり、同じ自己資金でより広い物件や好立地を狙える点が、投資家にとって大きなメリットです。比較 熊本を考える際は、人口横ばいかつ新産業で需要が底支えされる点をポジティブに評価できます。
利回りで比較 熊本物件の魅力
ポイントは、購入価格が抑えられるのに対し家賃相場が安定しているため、実質利回りが高くなりやすいことです。
熊本市中央区のワンルームマンション(築10年・25㎡)は平均800万円前後で取引されています。家賃相場が月4.3万円とすると、表面利回りは6.4%です。これを福岡市中央区の同等物件と比較すると、購入価格は約1100万円、家賃は月5.0万円で表面利回りは5.5%にとどまります。つまり、比較 熊本で利回りを重視する投資家にとって有利な条件が整っているわけです。
利回りをさらに高めたい場合、築20年超のファミリータイプも選択肢になります。熊本市東区では、70㎡の区分マンションが1300万円程度で手に入り、月10万円ほどで貸し出せるケースがあります。管理費と修繕積立金を差し引いた実質利回りでも8%前後を確保できる例が報告されています。ただし、築古物件は大規模修繕費が膨らみやすい点に注意が必要です。
金融機関の融資姿勢も見逃せません。地元の肥後銀行と熊本銀行は、地域活性化を目的として県内物件への投資ローンを積極的に取り扱っています。2025年10月時点での標準金利は変動1.8%程度で、首都圏の地銀より0.2〜0.3ポイント低い水準です。この差が長期的なキャッシュフローを押し上げる効果をもたらします。
空室リスクを他県と比較 熊本の強みと注意点
実は、地方都市の投資で最も不安視されるのが空室リスクです。比較 熊本の強みと弱みを知ることで、より精度の高いシミュレーションが可能になります。
熊本市の平均空室率は、総務省の住宅・土地統計調査では12.3%と報告されています。これは福岡市の11.1%よりやや高いものの、北九州市の14.8%や鹿児島市の15.2%より低い水準です。要因として、大学が集積する黒髪・京町エリアの単身需要と、半導体工場関連の転勤者需要が重なっている点が挙げられます。
一方で、郊外の宇土市や八代市は人口減少が続き、空室率が20%を超える地区も存在します。家賃が下がりやすく、長期の入居が見込めないため、初心者は市内電車沿線かJR豊肥本線の駅近に絞るほうが無難と言えます。さらに、豪雨や地震リスクにも備える必要があります。熊本地震(2016年)の経験から、ハザードマップを必ず確認し、免震・制震構造の物件を選ぶことで入居者の安心感を高められます。
自治体も空室対策に動いています。熊本市は2025年度から、空き家の賃貸活用を促進する「住まい再生プロジェクト」を拡充しました。耐震補強工事費の3分の1(上限100万円)を補助する制度で、オーナーはリフォーム費用を抑えながら物件価値を高められます。
インフラ整備と2030年以降の需要見通し
重要なのは、現状の数字だけでなく将来の需要を読むことです。比較 熊本ではインフラ整備による潜在成長力が評価ポイントになります。
2026年春には九州新幹線西九州ルートの延伸に伴い、熊本駅の乗降客数は国土交通省試算で1日1万人増加すると見込まれています。駅前再開発ではホテル・商業施設に加え、300戸規模のタワーマンションが計画中です。これにより、駅周辺の賃料は今後5年で10%程度の上昇が期待されています。
また、熊本市は国の「デジタル田園都市国家構想交付金(2025年度)」を用いて、5Gと光ファイバーの整備を進めています。テレワーク層の流入が進むと、中心部だけでなく合志市や菊陽町の戸建てニーズも高まるでしょう。働き方の多様化が進めば、ファミリー向け戸建ての賃貸や借上社宅の需要も広がります。
一方、2030年以降は市内でも人口減少が始まると推計されています。だからこそ、駅近や大学近接など「移動・教育・雇用」がセットで揃う立地にフォーカスすることが重要です。比較 熊本で成功する投資家は、短期の利回りだけでなく、賃貸需要を維持しやすいマイクロロケーションを見極めています。
2025年度の税制優遇と補助金 活用のポイント
まず押さえておきたいのは、2025年度に有効な税制優遇を活用すると投資効率が高まるという点です。
個人投資家が新築住宅を取得した場合、住宅ローン控除の適用期間は最長13年間となります。控除額は年末借入残高の0.7%で、合計控除上限は455万円です。登録免許税も新築住宅なら本則2.0%が1.5%に軽減されるため、取得時コストを抑えられます。
中古物件でも「耐震基準適合証明書」を取得すれば、登録免許税と不動産取得税の軽減措置が受けられます。熊本は地震の記憶が新しいため、耐震補強済みをアピールすると入居付けがしやすく、結果として高稼働率につながります。2025年度の国土交通省補助事業では、旧耐震基準のマンションを耐震改修する際、工事費の23%(上限200万円)が補助対象です。
最後に、環境性能を高めるとさらなる優遇が受けられます。ZEH-M(ゼッチ・マンション)を取得した場合、固定資産税が新築から3年間1/2に減額される措置が2026年度末まで延長されました。省エネ性能が高い物件は光熱費を抑えられるため、入居者満足度が向上し空室リスクも下がるメリットがあります。
まとめ
熊本の不動産市場は、人口横ばいと新産業の追い風で賃貸需要が底堅く、物件価格が首都圏より抑えられていることから高利回りを狙いやすい特徴があります。駅近や大学周辺を中心に選定すれば空室率を低く抑えやすく、インフラ整備によって長期的な賃料上昇も期待できます。さらに、2025年度の税制優遇や補助金を活用すれば取得コストを下げ、キャッシュフローを改善できます。まずは自分の投資目的とリスク許容度を明確にし、比較 熊本のデータを丁寧に調べながら物件視察を重ねてみてください。着実な情報収集と数字に基づく判断が、地方投資成功への近道となります。
参考文献・出典
- 国土交通省 不動産価格指数 – https://www.mlit.go.jp
- 熊本県 人口動態調査2024 – https://www.pref.kumamoto.jp
- 総務省統計局 住宅・土地統計調査 – https://www.stat.go.jp
- 財務省 令和7年度税制改正大綱 – https://www.mof.go.jp
- 内閣府 デジタル田園都市国家構想交付金 2025 – https://www.cas.go.jp
- JR九州 熊本駅周辺開発プレスリリース2025 – https://www.jrkyushu.co.jp