不動産投資を始めたいものの、物件価格の高騰や融資条件の厳格化に頭を抱えていませんか。実は、東京都府中市には相場より安く購入できる競売物件が一定数存在し、上手に活用すれば高利回りの収益物件へと化ける可能性があります。本記事では、競売の基礎から府中市特有の市場動向、2025年度時点で利用できる制度までを丁寧に解説します。読み終えるころには「収益物件 府中 競売物件」の検索結果を見ただけでは分からない実践的な判断軸を手に入れられるでしょう。
府中市の不動産市場は今どうなっているか

ポイントは、人口動態と再開発の2軸で市場を読むことです。総務省の住民基本台帳人口移動報告では、府中市の2024年時点の転入超過数は多摩地域で3位につけ、若年層の流入が続いています。また、JR南武線駅前の再開発が進み、シェアオフィスや学生向け賃貸の需要が増加しました。このように実需が底堅いため、空室率は東京都全体の平均を下回る6%前後にとどまっています。
一方で、地価公示価格は2020年から2025年にかけて年間1〜2%の緩やかな上昇にとどまり、都心三区よりも価格変動が少ない点が魅力です。つまり、価格の割に家賃が安定しやすい構造があるため、利回り確保が比較的容易です。将来的な課題は新築供給の増加による賃料競争ですが、供給が集中する駅遠エリアを避けることでリスクを抑えられます。
このように、府中市は賃貸需要が堅調で価格変動も緩やかな珍しいエリアです。だからこそ競売で割安に取得できれば、キャッシュフローが改善しやすいといえます。
競売物件の基礎知識と注意点

まず押さえておきたいのは、競売物件が「裁判所を通じて強制的に売却される不動産」だという点です。通常の仲介取引と違い、売主と直接交渉できないため、内見が制限されることがあります。また、落札後は「占有者の明渡し」を買受人が行う必要があり、時間と費用が読みにくい点が最大のリスクです。
一方で、競売物件は市場価格より1〜3割安く取得できるケースが珍しくありません。国土交通省の「不動産価格指数」に照らしても、2023年度の競売落札価格は周辺実勢価格の平均78%というデータが示されています。安さの裏には瑕疵や修繕費が隠れているため、代金納付前に物件明細書・評価書を熟読し、必要なら建築士に追加調査を依頼することが重要です。
さらに、競売には「期間入札」と「特別売却」の2形態があります。特別売却は入札後に売れ残った物件を先着順で買える制度で、急いで現金化したい裁判所側の事情から、相場よりさらに安くなることがあります。ただし、資料が古いまま公開されるため、現地調査を怠ると想定外の修繕費で収支が崩れるおそれがあります。
収益物件として競売物件を選ぶ際の評価軸
重要なのは「利回り」「立地」「出口戦略」の三点を同時に検証することです。まず、競売資料の賃料想定は過去の登記情報を基にしているため、現行家賃と乖離している場合があります。SUUMOやアットホームで最新の成約賃料を確認し、表面利回りが8%以上、実質利回りが6%を超えるかを試算しましょう。
次に、立地評価では駅距離と周辺再開発計画を重視します。府中市の場合、京王線府中駅から徒歩10分圏は学生とシングル層の需要が安定しており、空室期間が平均1カ月未満です。一方、多摩川沿いのバス便エリアは家賃下落リスクが大きいため、割安でも要注意となります。つまり、購入価格の安さより稼働率の高さを優先することで、長期的なキャッシュフローが安定します。
最後に、出口戦略として3年後・10年後に再販できるかを想定しておくと安心です。東京都の「住宅着工統計」によれば、府中市の新築供給は2024年から2025年にかけて微増傾向にあります。築古物件でも、室内設備を更新し管理体制を整えれば、実需層への売却価格が上振れする例があります。結論として、競売で手に入れた割安感に加え、将来の需要変化を読んだリノベ計画こそが、安定収益への近道と言えます。
府中で競売物件を取得する具体的ステップ
まず、東京地方裁判所立川支部の閲覧室かBIT(不動産競売物件情報サイト)で物件検索を行います。府中市だけでも常時10件前後が公開されており、公告から入札締切まで平均6週間と短期間です。この間に現地調査と融資審査を同時並行で進めることが成功のカギとなります。
次に、現地調査では外観のひび割れ、共用部の劣化、ゴミ置き場の管理状況をチェックしましょう。内部に立ち入れない場合は、水道メーターが回っているかを確認し、占有状況を推察する方法が有効です。また、近隣の管理会社に空室率や家賃相場をヒアリングし、収支シミュレーションを精緻化します。
融資については、都市銀行よりもノンバンク系や地元信用金庫のほうが競売物件に柔軟です。自己資金2割程度とリフォーム費用の見積書を準備すると、金利2%台・期間20年前後の条件が引き出せることがあります。落札後は代金納付期限(通常は開札から約6週間)までに資金を揃え、同時に明渡し交渉やリフォーム発注を進めることで、家賃収入のスタートを早められます。
2025年度の制度と税制を賢く使う
実は2025年度から、固定資産税の「住宅用地の特例」に関する評価見直しが行われ、200平方メートル以下の住宅用地は課税標準が従来の6分の1に据え置かれています。府中市内のワンルームマンションはほぼ適用範囲に収まるため、所有コストを抑えやすい点は見逃せません。また、国土交通省が実施する「既存住宅購入瑕疵保険」も継続しており、リフォーム後に加入すれば最大50万円の保険料控除が利用できます。
さらに、東京都の「空き家利活用促進事業(2025年度)」では、空室を抱える賃貸物件を一定の仕様で改修すると、工事費の3分の1(上限100万円)の補助が受けられます。競売で取得した築古アパートをフルリノベする際に適用すれば、実質利回りを1ポイント程度引き上げる効果が期待できます。ただし、申請は着工前に行う必要があり、施工業者も都の登録事業者に限られるため、スケジュール管理が欠かせません。
加えて、個人投資家がインボイス制度への対応を迫られる中で、管理会社に免税事業者が多い府中市では請求書の取り扱いが流動的です。消費税還付を視野に入れる場合、課税事業者を選定するか、法人化して仕入税額控除を受けるかを決めておくと、手残りを大きく左右します。
まとめ
府中市は人口流入と再開発によって賃貸需要が底堅く、競売市場に割安な物件が現れやすい稀有なエリアです。競売特有のリスクを調査と資金計画でカバーし、利回り・立地・出口戦略を同時に検証すれば、安定したキャッシュフローを得られます。さらに、2025年度の固定資産税特例や都の補助制度を活用することで、所有コストを抑え利回りを底上げできます。まずはBITで物件を検索し、現地調査と融資相談を今日から始めてみましょう。
参考文献・出典
- 総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」https://www.stat.go.jp/
- 国土交通省「不動産価格指数」https://www.mlit.go.jp/
- 東京地方裁判所立川支部「競売物件公告情報」https://www.courts.go.jp/
- 東京都「空き家利活用促進事業 2025年度版」https://www.metro.tokyo.lg.jp/
- 国土交通省「既存住宅購入瑕疵保険制度」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/
- 国土交通省「住宅着工統計」https://www.mlit.go.jp/toukeijouhou/