不動産の税金

中古リノベのデメリット300万円の真実

不動産投資を始めようとすると、買い付け価格ばかりが気になります。しかし実際に所有してから「想定外の300万円が予定を狂わせた」という声は後を絶ちません。資金繰りが一気に苦しくなると、せっかくの投資計画自体が立ち行かなくなります。本記事では、この“デメリット 300万円”が生まれる仕組みを解き明かし、回避するための具体策をお伝えします。初心者でも理解しやすいよう、数字の根拠や2025年度の最新制度まで丁寧に解説するので、最後まで読むことで安心して一歩を踏み出せるはずです。

300万円はどこに消えるのか

300万円はどこに消えるのかのイメージ

重要なのは、購入直後に発生しやすい隠れコストを把握することです。国土交通省の住宅市場動向調査では、中古物件購入後の平均リフォーム費用は265万円と報告されています。つまり平均的な事例でも、諸経費と合わせれば“デメリット 300万円”が現実味を帯びるわけです。

まず仲介手数料や登記費用などの初期諸費用で物件価格の6〜8%が必要になります。例えば2,500万円の区分マンションなら約180万円前後が目安です。次にリフォーム費を抑えようとDIYを選んでも、資材価格の高騰で予定額を軽く上回るケースが増えています。また築25年以上の物件では給排水管の交換工事が必須になることが多く、配管更新だけで100万円を超えることも珍しくありません。

さらに、入居者募集前の空室期間中はローン返済だけが先行します。都内ワンルームで家賃8万円を見込んでいた場合、2カ月空室なら16万円が機会損失となり、諸費用と合算するとあっという間に300万円規模に達します。つまり「リフォーム・諸費用・機会損失」の三つが重なり、予算に穴を開ける構造をまず認識すべきです。

金利上昇がもたらす影のコスト

金利上昇がもたらす影のコストのイメージ

ポイントは、金利が1%上がるだけで30年間の返済総額が数百万円単位で膨らむ事実です。日本銀行の2025年10月金融政策決定会合では長期金利誘導目標が0.5%から1.0%へ引き上げられ、市場金利は緩やかに上昇しています。変動金利型ローンを利用していると、5年後の返済額増加で“デメリット 300万円”が追い打ちをかける恐れがあります。

言い換えると、購入時に低金利でも将来のリスクを見込んだシミュレーションが必須です。金融機関が提示する返済予定表はあくまで現行金利ベースなので、2%上昇シナリオで耐えられるか検証してください。たとえば借入3,000万円・残期間25年・金利1.2%→3.2%へ上昇した場合、総返済額は約370万円増えます。これは「デメリット 300万円」の内訳に組み込んでおくべき影響額です。

一方で、2025年度は一部地銀や信用金庫が長期固定のキャンペーンを展開しています。借入額の50%を固定に振り分ける“ハイブリッド型”を利用すると、金利上昇リスクを半減させる効果が期待できます。固定部分の金利は高めでも、変動上昇局面で総返済額を平準化できる点が大きな防波堤になります。

節税効果と損益通算の落とし穴

まず押さえておきたいのは、減価償却による節税は“課税の繰り延べ”に過ぎないということです。国税庁の通達によれば、木造なら22年、鉄筋コンクリートなら47年が法定耐用年数です。残存年数が短い中古物件では多額の償却費を計上できるため、初年度は所得税を圧縮できても、将来的に利益が出にくくなり売却益が丸ごと課税される可能性があります。

また損益通算を前提に赤字経営を続けると、家賃下落や修繕費の上振れでキャッシュフローが枯渇します。実際、総務省家計調査を参照すると、築30年以上の賃貸住宅の平均修繕費は年間30万円を超え、10年で300万円を要する計算です。“デメリット 300万円”は税効果で一時的に隠れても、現金支出として遅れて表面化します。

そこで、耐用年数が長い物件やリフォームで価値向上を図れる物件を選ぶことが得策です。さらに青色申告特別控除65万円を利用し、実質的なキャッシュフロー改善と税負担軽減を両立させることで、後年の税務負担に備えられます。

2025年度リフォーム補助金の活用術

実は、国の補助金を使えばリフォーム費の一部を抑えられます。2025年度は「既存住宅省エネ高度化支援事業」が継続しており、一定の断熱性能を満たす工事に対して上限120万円が交付されます。たとえば窓の断熱改修や高効率給湯器の導入が該当し、対象経費の1/2以内という条件です。

補助金を獲得するコツは、着手前に登録施工業者を通じて申請し、交付決定後に着工する流れを守ることです。筆者の顧客でも、65㎡の区分マンションで断熱窓とエコキュートを導入し、実費200万円のうち110万円を補助金で賄いました。結果として、自己負担は約90万円に圧縮でき、当初想定していた“デメリット 300万円”を大幅に削減できました。

なお、本事業は予算上限に達し次第受付終了となるため、物件取得のタイミングと申請スケジュールを逆算することが肝心です。さらに地方自治体のリフォーム助成金と併用できる場合もあるので、地元の住宅課へ事前相談しておくと資金計画にゆとりが生まれます。

リスクヘッジの具体策と心構え

ポイントは、想定外を“想定内”に変える準備です。まず自己資金は物件価格の20%に加え、別枠で300万円の緊急予備を確保してください。この金額は家賃4〜6カ月分の空室と大型修繕を同時にカバーできる水準です。

次に管理会社選びです。公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の調査では、管理会社変更後に平均空室期間が1.8カ月短縮したというデータがあります。適切なリーシング力を持つ会社と組めば、機会損失による“デメリット 300万円”を未然に防ぎやすくなります。また、家賃保証付きサブリースは安心感がある一方、手取りが減りやすいので、収支シミュレーションを念入りに行いましょう。

最後に出口戦略です。2025年10月時点での東日本レインズ成約データでは、築20年以上の区分マンションでも都心5区は年平均2.8%の価格上昇を維持しています。出口で値上がり益が見込めるエリアを選べば、想定外コストを吸収しやすくなります。つまり購入前に売却価格を逆算し、「3年後に+5%で売却できれば総コストがいくらまで許容できるか」を基準に判断することが、長期的な安心につながるのです。

まとめ

ここまで見てきたように、“デメリット 300万円”はリフォーム費、金利上昇、税務リスク、空室損失が重なって生まれます。しかし予備資金の確保や補助金活用、固定金利の組み合わせ、出口戦略の明確化で多くを回避できます。重要なのは、悲観的シナリオで先に試算し、その上でプラス要素を積み上げていく姿勢です。行動の第一歩として、物件検討と同時に資金計画シートを作り、想定外の300万円を“見える化”してみましょう。

参考文献・出典

  • 国土交通省 住宅市場動向調査2024年度版 – https://www.mlit.go.jp
  • 日本銀行 金融政策決定会合資料2025年10月 – https://www.boj.or.jp
  • 総務省 家計調査年報2024 – https://www.stat.go.jp
  • 国税庁 法定耐用年数表 – https://www.nta.go.jp
  • 公益財団法人日本賃貸住宅管理協会 空室期間調査2025 – https://www.jpm.jp

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