不動産投資に興味はあるけれど、物件を持つのはハードルが高い――そう感じる方が増えています。そこで注目されるのが「REIT(リート)」と呼ばれる不動産投資信託です。しかし、分配金や譲渡益にかかる税金、さらに仙台在住者ならではの地方税の扱いまで考えると、何から手を付ければよいか迷うのが本音でしょう。本記事では、REITの基本から2025年度の税制、仙台で投資を行う際のポイントまでを具体例を交えながら解説します。読み終えた頃には、自分に合った節税戦略を描けるようになりますので、ぜひ最後までお付き合いください。
REITの仕組みと仙台市場の特徴

まず押さえておきたいのは、REITが複数の不動産に投資することで、少額から分散効果を得られる金融商品だという点です。日本の上場REIT(J-REIT)は2025年10月時点で65銘柄に増え、オフィス、住居、物流施設など多彩なアセットクラスを取り込んでいます。東京市場が中心とはいえ、仙台駅周辺の賃料上昇や物流ハブ開発を背景に、東北エリアの物件を組み入れる銘柄も着実に増えました。
ポイントは、仙台という地方中核都市が「人口が緩やかに増える政令指定都市」であることです。国勢調査によると、2020〜2025年の仙台市人口は年平均0.3%の微増となり、オフィス需要や賃貸住宅需要を下支えしています。つまり、地元に強い物件を保有するREITを選ぶことで、地域経済の成長を取り込みやすくなるわけです。
一方で、REITは株式と同様に市場価格が日々変動します。仙台を含む地方物件の収益が下振れすると、分配金だけでなく基準価格も影響を受ける可能性があります。そのため、地元に愛着があってもポートフォリオ全体のバランスを常に確認する姿勢が欠かせません。
分配金にかかる税金の基本

重要なのは、REITの分配金が「配当所得」として課税される点です。2025年度も上場株式等と同じく、所得税15.315%と住民税5%を合わせた20.315%が源泉徴収されます。つまり、受け取った分配金から自動的に税金が差し引かれ、手取りが振り込まれる仕組みになっているわけです。
また、確定申告をすることで「配当控除」や「損益通算」を利用できる場合があります。特定口座(源泉徴収あり)を利用しているなら申告不要ですが、医療費控除などで確定申告を行う人は、同時にREIT所得も申告分離課税に振り替えるか総合課税に合算するかを選べます。配当控除は総合課税でしか使えないため、税率が低い人ほど有利になることが多いです。
一方で、損益通算の観点では申告分離課税が便利です。同じ年に他の株式や投資信託で損失が出た場合、REITの配当や譲渡益と相殺できるため、結果として課税所得を圧縮できます。どちらを選ぶかは年収や他の投資成績によって変わるので、シミュレーションの上で決めるようにしましょう。
売却益に対する課税と長期保有のメリット
実は、REITを売却して得た利益も「譲渡所得」として20.315%の申告分離課税が適用されます。分配金とは異なり、特定口座を使っていれば売却時に自動で源泉徴収されるため、確定申告不要で完結する点は同じです。ただし、利益だけでなく損失も計算されるので、損失が出た年は忘れずに「損失繰越控除」を検討してください。
まず押さえておきたいのは、この損失繰越控除が3年間有効だという事実です。2025年にREITを売却して50万円の損失が出た場合、2028年までの3年間に得る分配金や株式譲渡益と相殺できます。つまり、短期で損を確定させても、その後の利益と相殺できれば税負担を平準化できるわけです。
さらに、長期保有は分配金の「複利効果」を高めます。REITの多くは年2回分配で、分配金利回りは平均3.5%前後です。仙台エリアに強い物流系REITであれば4%台の銘柄もあり、分配金を再投資し続けることで資産形成を加速できます。税引き後でも、年率2.8%程度のリターンが期待できる計算になり、長期で保有するほど税金の影響を抑えて総リターンを伸ばしやすくなります。
仙台在住投資家が知っておきたい地方税のポイント
一方で、仙台市民として見逃せないのが地方税の取り扱いです。住民税5%の内訳は、宮城県民税が4%、仙台市民税が1%という構成になっています。2025年度もこの割合は変わりませんが、ふるさと納税を活用すると翌年の住民税が減額されるため、結果としてREIT課税の実効負担を抑えられます。
ただし、ふるさと納税には控除上限があり、給与所得やその他の所得と合算して計算します。REITの分配金を総合課税にした場合、課税所得が増えてしまい上限額も上がりますが、その分自己負担2,000円の枠が広がるので、合理的に活用すれば地方税負担を最小限にできます。逆に分離課税を選ぶと住民税計算に含まれず、ふるさと納税の上限が下がる点に注意が必要です。
また、仙台市では「みやぎ税務出張所」が定期的に無料税務相談を開催しています。REIT取引の損益通算や確定申告の手続きを専門家に確認できる貴重な機会です。税制は毎年微調整されるため、最新版の情報を得る場として積極的に利用すると安心できます。
新NISAとiDeCoでREITを活用する方法(2025年度)
まず、2024年に刷新された新NISAは2025年度も「成長投資枠240万円」「つみたて投資枠120万円」の年間上限が続き、生涯非課税枠は1,800万円です。REITは成長投資枠で購入でき、分配金も売却益も非課税となるため、税負担を大幅にカットできます。仙台在住の会社員が上限まで活用すれば、20.315%の税金を完全に回避できるメリットは大きいでしょう。
一方、iDeCo(個人型確定拠出年金)も2025年度の上限が月2万3,000円(会社員の場合)で据え置かれています。REITインデックスファンドを選べば掛金全額が所得控除の対象となり、実質的な手取り増効果が見込めます。60歳まで引き出せない制約はありますが、長期投資との相性は抜群です。
ただし、非課税口座で購入したREITは損益通算ができません。新NISAやiDeCoで保有する分は「非課税だが損失を他と相殺できない」点を理解し、課税口座とのバランスを取ることが重要です。特に高配当系REITは非課税メリットが大きい一方、値動きの大きいホテル系REITなどは課税口座で損益通算を意識した方が柔軟に対応できます。
まとめ
この記事では、REITの仕組みから2025年度の税率、仙台在住者が押さえるべき地方税のポイントまでを解説しました。ポイントは、①分配金も譲渡益も20.315%が基本、②確定申告の選択で税負担が変わる、③ふるさと納税や新NISAなどの制度を組み合わせることで実効税率を下げられる、という三点です。まずは自分の年収と投資額をもとにシミュレーションを行い、特定口座・NISA・iDeCoをどう配分するか設計してみてください。税制を味方につければ、仙台からでも堅実に資産を増やす道が開けます。今日から一歩踏み出し、将来の安心を手に入れましょう。
参考文献・出典
- 国税庁 – https://www.nta.go.jp
- 金融庁「NISA特設ウェブサイト」 – https://www.fsa.go.jp/policy/nisa
- 日本取引所グループ「J-REIT情報」 – https://www.jpx.co.jp
- 仙台市統計データポータル – https://www.city.sendai.jp/toukei
- 総務省統計局「国勢調査2025年結果速報」 – https://www.stat.go.jp