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収益物件 名古屋で成功する投資術

名古屋で収益物件を探しているものの、「本当に今買って大丈夫だろうか」「資金計画はどう組めばいいのか」と不安を抱える方は少なくありません。実は、愛知県内で人口が唯一増え続けている名古屋市は、家賃需要が底堅く初心者にも取り組みやすい市場です。本記事では、最新の公的データと現場経験を交えながら、物件選びから運営までの流れを丁寧に解説します。読むことで、リスクを抑えつつ安定収益を得るための具体的な手順がわかり、最初の一歩を自信を持って踏み出せるようになります。

名古屋市場のいまを読み解く

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まず押さえておきたいのは、名古屋市の人口動態と雇用環境です。名古屋市統計年鑑によると、2024年末時点の人口は約234万人で、2015年比で2.3%増加しています。さらに、経済産業省の地域経済分析によれば、自動車関連だけでなくスタートアップ支援事業が活性化し、若年層の移住が続いています。

一方、住宅供給は分譲マンションに偏りがちで、築10年前後の賃貸物件は慢性的に不足しています。国土交通省「住宅着工統計」を見ると、2024年度の名古屋市内賃貸住宅着工戸数は前年比−4.1%でした。つまり、家賃需要は堅調なのに新規供給が伸び悩んでおり、適切な立地と間取りを選べば空室リスクを抑えやすい状況です。

家賃相場について、2025年4月のLIFULL HOME’Sデータでは、ワンルーム平均家賃が6.0万円、2LDKで11.2万円と緩やかな上昇が見られます。特に中区・東区の中心エリアと、地下鉄東山線沿線の人気は高く、空室期間が平均18日と全国平均の25日より短い結果が出ています。また、伏見や丸の内ではオフィス需要が戻りつつあり、法人契約比率が23%まで上昇しました。

このように、人口増加と供給抑制が同時に進む名古屋では、利回りと安定稼働のバランスを取りやすいのが特徴です。次章からは、具体的にどのような物件を選べば良いのかを掘り下げます。

成功する物件選びの視点

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重要なのは、単に高利回りを追うのではなく、将来的な資産価値まで視野に入れることです。名古屋の場合、地下鉄とJRが交差する駅から徒歩10分圏内の築15年以内の物件が、家賃維持率と出口価格の両面で優位に立ちます。日本投資不動産協会の調査でも、名古屋市の駅近RC造築15年物件は、築25年物件に比べ売却時の価格下落幅が年0.8ポイント小さいと示されています。

たとえば、中区錦エリアにある32平米のワンルームRC物件を見てみましょう。購入価格1,600万円、年間家賃収入90万円の場合、表面利回りは5.6%です。数字だけを見ると高利回りとは言えませんが、過去5年間の空室率が3%台で推移しており、実質利回りが安定しています。言い換えると、家賃下落が起きにくい場所では利回りがやや低くてもトータル収益がぶれにくいのです。

一方で、守山区や港区の築古木造アパートは表面利回り10%前後のものが散見されます。しかし、愛知県人口動態調査では両区の20代人口が2020年比で2%以上減少しており、長期的には家賃下落や空室増加のリスクが高まります。つまり、購入時に数字が光って見えても、出口戦略が描けなければ収益物件としては脆弱です。

最後に、耐震性能と共用部メンテナンスの確認を忘れないでください。特に1981年以前の旧耐震基準の物件は、銀行融資が厳しくなるケースが増えています。将来の売却時にも影響するため、築古を選ぶ場合は既存不適格でないか、耐震補強済みかどうかを慎重に確認しましょう。

資金計画と融資の最新事情

ポイントは、自己資金と融資条件のバランスを最適化することです。2025年度の地方銀行の平均金利は、変動で年1.8%、固定10年で年2.3%程度と、コロナ禍直後より0.2ポイント上昇しています。日本銀行「主要金融指標」によると、金利上昇局面では返済比率が35%を超えるとデフォルト率が急上昇するため、返済負担率を家賃収入の30%以内に抑える設計が安全圏です。

まず、自己資金として物件価格の20%を用意すると、審査が通りやすいだけでなく、毎月のキャッシュフローに余裕が生まれます。仮に1,600万円の物件を変動1.8%・25年で借り入れる場合、フルローンなら月返済が6.5万円ですが、自己資金20%を入れると5.2万円に下がり、年間キャッシュフローが16万円改善します。

また、名古屋市内に本店を置く信用金庫は、地域活性化融資として築20年以内のRC物件に対し、最大1.6%の優遇金利を設定しています。金融機関ごとに評価ポイントが異なるため、収益物件専門の仲介会社を通して複数行を比較することが欠かせません。

融資審査では家賃査定書の信頼性が重視されます。県外の投資家がオンラインで査定を取得する場合でも、実際に現地の管理会社にヒアリングし、家賃設定に過大な最適化がないか確認してください。さらに、シミュレーションには空室率10%と修繕積立を年家賃の8%織り込むことで、実態に近い数字になります。

運営と管理で差をつける方法

実は、名古屋の入居者が物件を選ぶ際に最も重視するのは「ネット環境の速さ」と「宅配ボックスの有無」です。名古屋市住宅都市局のアンケートでは、20〜39歳の回答者の65%が通信速度1Gbps以上を希望し、54%が宅配ボックスを必須設備と答えました。これらの設備は導入コストが低いわりに入居期間を延ばす効果が高く、投資対効果が大きいといえます。

管理会社選びでは、家賃集金とクレーム対応だけでなく、リーシング力、つまり客付けの速さが重要です。名古屋駅から地下鉄で20分圏内のエリアでは、管理会社間の成約スピードに倍以上の差があることが、当社の管理データで確認できました。賃貸ポータルへの掲載写真やVR内見対応など、マーケティング手法にも注目すると良いでしょう。

空室対策として、家具付きプランも効果的です。短期出張者や医療研究機関の転勤者が増加している昭和区・千種区では、家具付きにすることで家賃を月1万円上乗せできた事例があります。かつ、入れ替え時の原状回復費が抑えられるためキャッシュフローにも寄与します。

修繕計画では、外壁と屋上防水を12〜15年周期で実施すると、金融機関の物件評価が維持しやすくなります。費用を平準化するために長期修繕計画書を作成し、家賃収入から毎月積立を行う仕組みを作っておくと、想定外の持ち出しを回避できます。

2025年度の制度活用と税戦略

まず押さえておきたいのは「住宅ローン減税2025年度版」の利用可能性です。自己居住用ではなくても、賃貸併用住宅で床面積が40平米以上あれば、投資家本人の居住部分に限り控除対象となります。条件を満たせば、年末ローン残高の0.7%が最大10年間控除されるため、キャッシュフロー改善に直結します。

一方で、名古屋市が2025年度も継続する「既存建築物耐震化補助」は、賃貸住宅にも活用できます。1981年以前の物件を耐震補強する場合、工事費の3分の1(上限200万円)が助成されるため、築古RCを割安で取得し、補強後に家賃を維持する戦略が現実的になります。

税務面では、青色申告特別控除65万円を最大限に生かすため、クラウド会計ソフトと連動した管理会社の入金データ取り込みが便利です。名古屋税理士会によると、電子帳簿保存法の要件を満たすと控除適用がスムーズになり、加えて消費税課税事業者選択届出を戦略的に提出することで、設備投資時の仕入控除も視野に入ります。

さらに、法人設立も選択肢です。表面利回り6%前後のRC物件を個人で保有すると、課税所得が900万円を超える段階で税率が33%に跳ね上がりますが、愛知県内の中小法人の実効税率は約23%にとどまります。家族を役員にして給与分散を行えば、手取りキャッシュが増えるだけでなく、相続対策にもつながります。

まとめ

本記事では、名古屋市の人口動態と賃貸需要を踏まえた市場分析から、物件選び、融資、運営、制度活用までを総合的に解説しました。高利回りに見える築古物件でも、将来の売却や修繕費を考慮しなければ安定収益は得られません。一方で、駅近RCや設備投資を適切に行った物件なら、空室リスクを抑えながら着実なキャッシュフローが期待できます。まずは自己資金の範囲と返済比率を整理し、現地視察と複数融資の比較から始めてください。名古屋の堅調な賃貸需要を味方につけ、長期的な資産形成を目指しましょう。

参考文献・出典

  • 名古屋市統計年鑑 2025年版 – https://www.city.nagoya.jp/
  • 国土交通省 住宅着工統計 2025年3月公表 – https://www.mlit.go.jp/
  • 日本銀行 主要金融指標 2025年7月 – https://www.boj.or.jp/
  • 経済産業省 地域経済分析システムRESAS 2025年更新 – https://resas.go.jp/
  • LIFULL HOME’S 賃貸マーケットレポート 2025年4月号 – https://www.homes.co.jp/

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