不動産投資に興味はあるけれど、自己資金が少なくても大丈夫なのか、古い物件は本当に収益を生むのか、といった疑問は多くの初心者が抱える悩みです。実は築年数が古い物件でも、リフォームや運営方法を工夫すれば安定した家賃収入を得られるケースが増えています。本記事では「収益物件 総まとめ 築古物件 セミリタイア」をキーワードに、投資の基礎から制度活用までを詳しく解説します。読み終えた頃には、築古物件を活用してセミリタイアを目指す具体的なロードマップが描けるはずです。
収益物件の基礎を押さえる

まず押さえておきたいのは、収益物件という言葉が「賃貸収入を目的に所有する不動産」を指す点です。戸建て、区分マンション、一棟アパートなど種類は多彩ですが、共通して重視されるのがキャッシュフローです。家賃収入からローン返済や管理費を差し引き、手元に残る現金が毎月プラスになる仕組みを作ることが投資成功の前提になります。
国土交通省の不動産価格指数では、2025年時点でも都心部の新築価格は高止まりが続いています。対照的に築20年以上の中古物件は価格が横ばいか下落傾向にあり、利回りは新築より2〜3ポイント高いデータが示されています。つまり、限られた自己資金でも収益性を確保しやすい選択肢が築古物件だと言えます。
さらに、家賃水準は物件の築年数より立地や管理状態に左右される傾向が強いことも総務省の住宅・土地統計調査から明らかです。築古物件でも駅近や生活利便性の高いエリアなら、賃料の下落を小さく抑えられます。重要なのは表面利回りだけでなく、空室率や修繕費も考慮した実質利回りを冷静に計算することです。
築古物件の魅力とリスクを読み解く

ポイントは、低価格で仕入れられる築古物件には二つのメリットがあることです。初期投資を抑えつつ高利回りが期待できる点と、リフォームによる価値向上余地が大きい点です。例えば築30年の木造アパートを一棟2,000万円で取得し、300万円の外装リニューアルを施したケースでは、家賃が平均1万円アップし、投資利回りが年間3ポイント改善した事例があります。
一方で、築古物件は修繕リスクや法的制約も見逃せません。1981年以前に建築確認を受けた“旧耐震”物件では、耐震補強に数百万円かかる場合があります。また、給排水管や屋根などの隠れた瑕疵(かし)が後から発覚すると追加コストが発生します。購入前にインスペクション(建物診断)を依頼し、修繕計画と費用を把握するのが鉄則です。
瑕疵担保保険(現・住宅瑕疵保険)を活用すれば、主要構造部分の欠陥に対する一定の補償を受けられます。2025年度も利用可能で、加入物件は金融機関からの評価が高まり、融資条件が有利になることがあります。つまり保険料を支払っても、長期的にはリスク削減と資金調達コストの低減が期待できるわけです。
セミリタイアを目指す資金戦略
実はセミリタイアを成功させる鍵は、複数物件を段階的に増やす資金計画にあります。まず自己資金として物件価格の20%程度を用意し、残りを金融機関からの融資で賄います。日本政策金融公庫の2025年度「生活衛生貸付」では、耐用年数超の築古アパートでも最長15年、金利1.9%台で借りられるケースがあります。金利が固定されるため、長期のキャッシュフロー予測が立てやすくなります。
家賃収入から返済、管理費、固定資産税を引いた手残りが月10万円を超えると、生活費の一部を賄えるため、労働時間を減らす「セミ」リタイアの第一歩が踏み出せます。そして物件を2〜3棟に増やし、合計の手残りが月30万円を安定して超えれば、フルタイム勤務を退いても生活が維持できる水準に近づきます。
ただし、楽観的なシミュレーションは禁物です。空室率20%、家賃下落5%、金利上昇1%というシナリオでも黒字を維持できるかを確認します。日本銀行の統計によると、2024年末からの利上げ局面で変動金利は平均0.3ポイント上昇しました。2025年も追加利上げの可能性が指摘されているため、固定金利や長期プライムレートを視野に入れた資金調達が安心です。
実例で学ぶ築古物件投資のステップ
重要なのは、机上の理論だけでなく実践事例から学ぶことです。例えば地方中核都市の築28年RCマンションの一室を900万円で購入し、内装を60万円で刷新した投資家Aさんは、年間家賃収入84万円を得ています。ローン返済と管理費を引いても手残りは約48万円となり、表面利回りは9%、実質利回りは5.3%です。取得から3年で修繕積立も進み、売却査定は1,050万円と資産価値も上昇しました。
一方、都内近郊で築35年木造戸建てを格安で取得したBさんは、シロアリ被害を見落として修繕費が予想の2倍に膨らみました。投資額は家賃で回収できる見込みですが、回収期間は12年まで伸びたと言います。この失敗例が示すのは、インスペクションと専門家の意見を軽視すると、利回りが一気に低下するリスクです。
成功者の共通点は、必ず複数の管理会社にヒアリングし、募集家賃と想定空室率を現場目線でチェックする姿勢にあります。また、金融機関との関係を継続的に築き、追加融資に備えて財務資料を整えるなど、運営面の地道な努力が功を奏しています。言い換えると、築古物件投資は計画と検証を繰り返すPDCAが成果を左右するのです。
2025年度に利用できる制度と税制優遇
まず押さえておきたいのは、築古物件投資でも活用可能な減価償却と税制優遇です。木造住宅の法定耐用年数は22年ですが、築22年を超えると「残存耐用年数=22年×20%」の計算が適用でき、実務上は4年で償却が可能になります。減価償却費を多く計上できるため、所得税の圧縮につながり、フリーランスへの転身後も手取りを最大化しやすくなります。
2025年度の国交省「賃貸住宅省エネ改修支援事業」は、既存の賃貸物件で断熱性能を向上させる工事に補助率1/3、上限120万円を支給します。期間は2026年3月申請分までと定められています。省エネ改修によって入居者満足度が高まり、家賃維持や空室率低下が期待できるため、築古物件オーナーとの相性が良い制度です。
また、地方自治体が独自に実施する「空き家活用補助金」も見逃せません。東京都世田谷区の例では、空き家を賃貸住宅へ転用する際に改修費の1/2、上限200万円を助成しています。ただし自治体によって対象条件や募集時期が異なるため、投資エリアを選ぶ際には必ず最新情報を確認しましょう。
最後に、住宅瑕疵保険料やインスペクション費用は経費計上が可能です。税理士に相談しつつ、適切に経費処理することでキャッシュフローを安定させ、セミリタイア後の生活費を確保しましょう。
まとめ
築古物件は価格が手頃で利回りが高い一方、修繕リスクや法的制約を理解しなければ失敗を招きます。本記事で紹介したように、インスペクションでリスクを見極め、減価償却や補助金を活用してキャッシュフローを最大化する姿勢が成功の鍵です。まずは自己資金の準備と資金計画を立て、低価格の区分マンションや戸建てから経験を積むことを推奨します。実践と学習を重ね、月30万円の手残りを目指して物件を増やしていけば、セミリタイアという目標が現実味を帯びてくるはずです。
参考文献・出典
- 国土交通省 不動産価格指数 – https://www.mlit.go.jp/common/001680559.pdf
- 総務省 住宅・土地統計調査 2023年結果 – https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/
- 日本政策金融公庫 2025年度生活衛生貸付のご案内 – https://www.jfc.go.jp/
- 日本銀行 金融経済統計月報 2025年9月号 – https://www.boj.or.jp/
- 東京都世田谷区 空き家活用補助金 2025年度要綱 – https://www.city.setagaya.lg.jp/