一棟・収益物件

築古アパートのノンバンク融資完全ガイド

築年数が経過したアパートは高利回りで狙える一方、銀行融資のハードルが高いという難点があります。木造アパートの法定耐用年数は22年ですから、築25年を超える物件では残存耐用年数がゼロと判断され、都市銀行や地方銀行では融資が受けられないケースが珍しくありません。そこで選択肢として浮上するのがノンバンク融資です。

ノンバンクとは預金業務を行わず、貸金業として不動産担保ローンを専門に扱う会社を指します。銀行が形式的な築年数基準で機械的に判断するのに対し、ノンバンクは物件の収益性や担保価値を個別に評価してくれるのが最大の特徴です。本記事では、ノンバンク融資の金利相場や主要各社の条件、共同担保を使ったフルローン戦略、そして取得後の運営や借換えまでを、投資初心者にもわかりやすく解説していきます。

ノンバンク融資が築古アパートに強い理由

築古アパートがインフレ対策に有効な3つの理由

築古アパートへの投資を検討する際、最初にぶつかる壁が融資の問題です。銀行は残存耐用年数を融資期間の目安とするため、耐用年数を過ぎた物件では融資そのものを断られたり、期間が極端に短くなってキャッシュフローが回らなかったりします。一方でノンバンクは、耐用年数を超過した物件に対しても長期の返済期間を設定できる商品を用意しています。

実際、新生インベストメント&ファイナンスは、担保不動産が築古でも、さらに建物の耐用年数を超過した不動産でも長期の返済期間を設定できるとされています。返済期間を長く取れれば毎月の返済額を抑えられ、築古物件でも安定したキャッシュフローを確保しやすくなります。この点が、ノンバンクを築古投資で活用する最大の理由です。

加えて、ノンバンクは既存不適格物件のような銀行が敬遠しがちな案件にも柔軟です。L&Fアセットファイナンスは、建ぺい率・容積率・接道といった条件を満たさない既存不適格物件や、築年数の経過した1棟アパート・マンションを公式に対象物件として掲げています。なお、既存不適格物件については、国土交通省が現況調査で確認できた規定について一定の範囲内の増築や用途変更なら既存不適格を継続できる緩和措置を整理しています。個別の可否は必ず各公的機関の情報や専門家に確認してください。

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主要ノンバンクの金利と融資条件を比較する

ノンバンク融資の特徴とメリット・デメリット

ノンバンクの金利は銀行より高めですが、その水準は会社によって幅があります。ここでは公式に条件を公開している主要各社を見ながら、相場観をつかんでいきましょう。物件選びの前に、どの会社がどんな案件に強いのかを知っておくことが重要です。

各社の金利水準と手数料

まず金利の低さで見ると、新生インベストメント&ファイナンスの不動産購入ローンは、公式に複数の金利水準を設定しているとされています。事務手数料は融資金額に対して一定の比率で設定されており、期限前返済違約金は契約書に定められた水準と明示されています。大口融資にも対応しているため、1棟アパートの買い増しや借換えの受け皿としても検討しやすい存在です。

L&Fアセットファイナンスのアパートローンも比較的低めで、返済期間は6年以上40年以内と長く、融資額は3億円以内とされています。返済期間を40年まで伸ばせる点は、築古物件の月々返済を抑えるうえで大きな武器になります。

一方、セゾンファンデックスの不動産投資ローンは「銀行などで借りられない時に」使う商品として打ち出されており、公式では複数の金利水準が案内されています。返済期間は商品により異なりますが、公式記載では最長35年程度となる場合があるとされています。事務手数料は一定の比率以内、調査料も一定の比率以内です。永住権がない外国籍でも審査対象になる点は、他社にない特徴といえるでしょう。

会社 金利(団信なし) 返済期間 事務手数料
新生インベストメント&ファイナンス 公式に複数水準を設定 最長35年 融資金額に対して一定比率
L&Fアセットファイナンス 3.55%~4.55% 6年~40年 1.65%
セゾンファンデックス 公式に複数水準を案内 5年~30年(最長35年) 一定比率以内

担保ローン型では、アサックスの不動産担保ローンが固定金利2.20%~8.76%(2026年7月21日現在)と幅広く、融資金額は300万円~10億円、期間は3ヶ月~35年です。融資取扱手数料は0%~3.3%、中途解約金は0%~3.0%で、連帯保証人は原則不要とされています。同社は築古で空室が目立つアパートを担保に既存ローンを借り換えつつ空室部のリフォーム資金を上乗せした事例も公開しており、築古1棟の再生資金として活用しやすい商品です。

物件タイプごとの向き不向き

各社は得意とする案件が異なります。独自調査によると、L&Fアセットファイナンスは共同担保でフルローンも可能で、物件評価は積算価格と収益還元価格の低い方を採用するため、築古・地方・再建不可・容積率オーバーといった難物件にも対応しやすいと整理されています。銀行で門前払いされた物件ほど、こうした柔軟な評価姿勢が生きてきます。

これに対し、クレディセゾン系の1棟向け融資は1都3県が中心で、変動金利3.5%~4.0%、木造は33年から築年数を引いた期間、RC・SRCは55年から築年数を引いた期間が融資期間の目安とされ、元利35年で金利のみ支払うバルーン融資の選択肢もあると紹介されています。エリアや構造によって条件が細かく変わるため、対象物件に合った会社を選ぶことが肝心です。

なお、日本生命のニッセイアパートローンは土地保有者向けのアパート建築資金や他社ローンの借換えに軸足があり、借入は原則2億円以内・期間30年以内です。ジャックスの投資用マンションローンは購入価格と諸費用を対象に最大105%まで融資しますが、いずれも築古1棟の取得という検索意図とは適合度がやや低い商品といえます。

ノンバンク融資で押さえたい審査指標

ノンバンクの審査では、物件の担保価値と収益性が重視されます。銀行が借り手の年収や勤続年数といった属性を厳しく見るのに対し、ノンバンクは物件そのものの力を評価する傾向が強いのです。ここでは、審査で鍵となる二つの指標を理解しておきましょう。

まずLTV(Loan to Value:担保評価額に対する融資比率)です。物件評価額の何割まで借りられるかを示す指標で、各社の融資姿勢によって異なります。ただし共同担保を差し入れれば100%近くまで伸びるケースもあり、各社の公式サイトでは上限が明示されていないことも多いため、実際の余力は個別に確認する必要があります。

次にDSCR(Debt Service Coverage Ratio:元利返済カバー率)です。これは年間の純営業収益を年間返済額で割った値で、1.2倍以上あると返済能力があると判断されやすくなります。たとえば年間家賃収入300万円、諸経費を差し引いた純営業収益240万円、年間返済額180万円なら、DSCRは約1.33倍となり基準をクリアできる計算です。空室や修繕費の増加に備えるなら、1.3~1.5倍を目指すと安心でしょう。

共同担保を使ったフルローン戦略

自己資金が限られている初心者にとって、共同担保を活用したフルローン戦略は有力な選択肢です。共同担保とは、購入する物件だけでなく、すでに所有している不動産を追加担保として差し入れることで融資額を増やす手法を指します。この方法を使えば、頭金をほとんど用意せずに築古アパートを取得できる可能性が広がります。

たとえば自宅の評価額が3000万円で住宅ローン残債が1000万円なら、差し引き2000万円の担保余力があります。この余力を活用して、1500万円の築古アパートをフルローンで取得するといった戦略が考えられます。前述のとおり、L&Fアセットファイナンスは共同担保によるフルローンにも対応しているとされ、自己資金を温存しながら投資をスタートできる点が魅力です。

ただし、共同担保を入れるということは、返済が滞った場合にその資産も差し押さえの対象になるリスクを背負うことを意味します。したがってフルローンを組む際は、空室率が20%に達しても返済を続けられるか、金利が上昇しても耐えられるかといったストレスシナリオでシミュレーションを行い、無理のない返済計画を立てることが不可欠です。自宅を失うリスクまで取るのですから、慎重すぎるくらいがちょうど良いと考えてください。

資金調達後の運営術とリスク管理

融資を受けて物件を取得した後は、いかにキャッシュフローを安定させるかが勝負になります。築古物件だからこそ、運営の工夫次第で収益性を高められる余地が大きいのです。ここでは取得後に取り組むべき三つのポイントを見ていきましょう。

現実的なキャッシュフローシミュレーション

まず取り組むべきは、現実的なキャッシュフローの試算です。年間家賃収入から、管理費(家賃の5%程度)、修繕積立金(5~10%程度)、固定資産税、火災保険料、想定空室損失(10~15%)、そしてローン返済額を差し引いた手残りを計算します。ノンバンク融資は金利が高い分、この試算で黒字が出ることを必ず確認してから投資を決断してください。

実際に数字を入れてみましょう。年間家賃収入240万円の物件で、管理費12万円、修繕積立金20万円、固定資産税8万円、保険料3万円、空室損失24万円を差し引くと、純営業収益は173万円になります。ここから年間返済額150万円を引けば手残りは年23万円です。この水準なら多少の空室増加にも耐えられますが、手残りが年10万円を下回るようなら、その物件は避けた方が賢明でしょう。

小規模リフォームで入居率を上げる

築古物件でまず取り組みたいのは、投下資本に対して満足度を上げやすい小規模リフォームです。外壁塗装は数百万円かかりますが、照明のLED化やポスト交換、エントランス清掃の徹底なら数万円から数十万円で実施できます。退去が出た部屋から順にWi-Fi無料設備やスマートロックを導入すれば、月2~3千円の家賃アップが見込めるケースも少なくありません。

たとえば6戸のアパートで全室に月2000円の家賃アップを実現できれば、年間14.4万円の収入増になります。リフォーム費用が30万円だったとしても、2~3年で回収できる計算です。重要なのは「築古だから仕方ない」と諦めず、できる範囲で競争力を高める努力を続けることといえるでしょう。

実績を積んで借換えを狙う

ノンバンクで取得した物件も、数年間の実績を積めば条件の良い融資への借換えが視野に入ります。独自調査によると、セゾンファンデックスの保証を使う銀行・信金ルートでは、耐用年数を超過していても木造20~22年、S・RC30~35年の融資期間で、LTV80%~100%といった条件が出る事例が確認されています。また、アサックスの保証を使う銀行ルートでは、アパートローン2.0%~2.5%にアサックス保証2.5%~3.0%を組み合わせる形で、ノンバンク単独より低めの金利帯が見られます。

さらに、地方銀行のなかにはセゾンファンデックス保証を使い、年収700万円以上・勤続5年以上・物件価格の1割以上の金融資産保有といった高属性の借り手に対して、LTV最大100%を狙う設計を紹介されている例もあります。ノンバンク融資はあくまで「スタート資金」と位置づけ、満室経営の実績を積んだら条件の良い融資へ切り替えていくという発想が大切です。この戦略を見据えて、日頃から帳簿をしっかりつけ、空室を減らす努力を怠らないようにしましょう。

よくある質問(FAQ)

Q:ノンバンクで築古アパートを買う場合、金利は何%が相場ですか?

A:会社によって幅がありますが、公式に公開されている水準では団信なしでおおむね3.2%~5.2%程度が目安です。新生インベストメント&ファイナンスやL&Fアセットファイナンスは3%台からの設定があり、セゾンファンデックスは4%台からとなっています。銀行より高めですが、その分審査が柔軟で築古物件でも融資を受けやすいのがメリットです。

Q:耐用年数を超えた築古でも長期の融資は組めますか?

A:組める可能性があります。新生インベストメント&ファイナンスは耐用年数を超過した不動産でも長期の返済期間を設定できるとしており、L&Fアセットファイナンスは最長40年の返済期間を公式に設定できるとしています。返済期間を長く取れれば月々の負担を抑えられるため、築古でもキャッシュフローを確保しやすくなります。

Q:築古アパートでもフルローンは可能ですか?

A:共同担保を活用すれば可能なケースがあります。すでに所有している不動産を追加担保として差し入れることで、物件価格の100%近くまで融資を受けられる場合があります。ただし、共同担保に入れた資産も返済不能時には差し押さえの対象となるため、慎重なシミュレーションと余裕のある返済計画が必須です。

まとめ

銀行融資が難しい築古アパートでも、ノンバンクを活用すれば取得の道が開けます。金利は各社の公式条件で団信なしおおむね3.2%~5.2%とやや高めですが、耐用年数を超えた物件でも長期の返済期間を設定できる点や、既存不適格物件・地方物件にも柔軟に対応する姿勢が大きな強みです。物件のタイプに応じて、得意分野の異なる各社を使い分けることが成功への近道になります。

成功のカギは、購入前に修繕リスクを把握し、DSCR1.2倍以上や現実的な空室率を織り込んだ試算を作成することです。共同担保でフルローンを狙う場合はストレスシナリオでの検証を欠かさず、取得後は小規模リフォームで入居率を高めながら、数年後には保証付き銀行ルートなど条件の良い融資への借換えを目指しましょう。最新の金利や属性基準は各社・各支店によって異なるため、最終的な条件は必ず窓口で確認したうえで判断してください。

詳しいガイド融資審査で見られる評価基準法定耐用年数を超えた築古物件でノンバンクによる資金調達を検討する場面では、そもそも金融機関が一棟物件のどこを評価しているかを知っておくと、審査で弾かれやすい条件を先に把握できる。売却ガイド一覧を見る →

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