マンション投資を始めたいものの、情報が多すぎて何を基準に比べれば良いのか戸惑う人は多いです。購入価格や利回りだけに目を奪われると、思わぬリスクを見落としかねません。そこで本記事では「マンション投資 比較」を軸に、新築と中古、都心と郊外、さらに融資条件まで整理します。読み終えるころには、自分に合った投資スタイルを自信を持って選べるようになるはずです。
メリットとリスクを天秤にかける

重要なのは、期待できるメリットと潜在的なリスクを同じテーブルに載せて考えることです。利回りの数字だけで判断すると、長期運用でのトラブルが見えづらくなります。
まずメリットとして、マンション投資は家賃収入という安定キャッシュフローを得やすい点が魅力です。国土交通省の賃貸住宅市場調査では、築20年を超える区分マンションでも平均入居率は80%台を維持しています。つまり、適切に管理すれば長期で稼働しやすい資産と言えます。また、ローン返済が進めば実質的なキャッシュが徐々に増え、老後の年金代わりに使える点も人気の理由です。
一方でリスクも存在します。空室発生時は収入が途絶えるだけでなく、管理費や修繕積立金の支払いが続きます。さらに、設備故障や大規模修繕による一時的な負担も避けられません。日本賃貸住宅管理協会のデータでは、平均年間修繕費は家賃収入の7〜10%程度に達するとされています。
これらを踏まえ、リスクを抑えるには長期修繕計画を確認し、賃貸需要が底堅いエリアを選ぶことが欠かせません。つまり、メリットを最大化しつつリスクを許容範囲に収めるバランス感覚が、投資家としての第一歩になります。
新築と中古で異なる収益構造

まず押さえておきたいのは、新築と中古では初期投資と収益のタイミングが大きく異なることです。
新築マンションは物件価格が高いものの、最新設備と魅力的な建物価値により入居付けがしやすい傾向があります。2025年10月時点で東京23区の新築平均価格は7,580万円で、前年比3.2%の上昇が続きました(不動産経済研究所)。家賃設定を強気にできる一方、購入直後の表面利回りは4%台前半にとどまりやすい点がネックです。また、減価償却は耐用年数が長いため、初期の節税効果は限定的と言えます。
中古マンションは価格抑制が魅力です。築15年前後であれば新築より30〜40%安い水準で取得できる例も少なくありません。表面利回りは5〜7%程度まで高まり、減価償却も短期で計上できるため所得税対策に役立ちます。ただし、修繕履歴が曖昧な物件は見えないコストが潜むため、長期修繕計画や管理組合の財務状況を細かく確認する必要があります。
つまり、安定した賃貸需要を確保できるエリアかつ、健全な管理体制が整った中古物件を選べば高利回りを狙えます。一方、新築は低利回りでも長期の資産価値と再販性が期待できるため、将来売却益まで視野に入れる人向きです。自分が重視する収益モデルに合わせて選択しましょう。
エリア別利回りと人口動態の読み方
ポイントは、単純な利回りの数字ではなく、人口動態や再開発計画といった長期トレンドをセットで見ることです。
都心3区(千代田・中央・港)は総人口が頭打ちでも転入超過が続き、単身世帯比率は55%を超えます。空室リスクは低く、表面利回り4%前後でも安定収益が期待できます。さらに働く場と住む場が近接しているため、高年収層の賃貸需要が底堅い点が魅力です。
一方、城東エリアや川崎などの準都心部は新線開通や再開発により人口純増が顕著です。国勢調査の推計では、2025〜2030年の年平均人口増加率が0.4%と都心を上回ります。中古中心に利回り5〜6%が狙え、将来の資産価値上昇も期待できます。ただし供給過多エリアでは家賃下落リスクがあるため、周辺の新築着工件数も併せて確認しましょう。
郊外は価格が安く見かけの利回りが高い傾向にありますが、総人口減少と高齢化が進む地域では長期の入居需要が読みにくくなります。固定費が膨らむと瞬間利回りのメリットが消えるため、自治体の誘致策や企業立地計画などプラス材料を裏付けるデータが欠かせません。
つまり、利回りだけに惑わされず、人口推移・再開発情報・周辺賃料の3点セットでエリアを比較することが、持続的なキャッシュフローを確保する鍵です。
融資条件と税制優遇を味方にする
実は、同じ物件でも融資条件が変われば収益の姿は大きく変化します。2025年10月のメガバンク変動型平均金利は年0.43%で、ネット銀行では0.3%台も登場しています。
金利が0.2%違うだけで、3,500万円を35年返済した場合の総返済額は約140万円変わります。さらに、投資ローンでは団体信用生命保険の内容や融資手数料も差が大きいので、複数行のシミュレーションが欠かせません。なお、2025年度の住宅ローン減税は居住用が対象ですが、区分マンションを自己居住兼投資として一部活用する場合、面積要件などで適用可能なケースがあります。期限が2030年末取得分まで延長された点を踏まえ、自宅併用の投資戦略も検討すると選択肢が広がります。
加えて、不動産所得は他の所得と損益通算できるため、減価償却を使った節税は依然有効です。RC造の中古は耐用年数47年の残存期間を考慮しても償却期間が短縮されるため、所得が高いサラリーマンほど税効果が高まります。ただし、税制は毎年見直しが行われるため、2025年度税制改正大綱を確認し、顧問税理士に具体的な試算を依頼すると安心です。
ポイントは、金利・返済期間・税効果を合わせてキャッシュフローを比較することです。表面利回りが同じでも、実質手取りが大きく変わるため、シミュレーションソフトや金融機関の試算表を活用しましょう。
投資シミュレーションで最終判断
まず押さえておきたいのは、シミュレーションは机上の空論になりがちだという点です。だからこそ、複数シナリオを設定し、最悪ケースでも破綻しないかを確認します。
具体的には、金利上昇2%、空室率20%、家賃下落10%の3つを同時に盛り込み、10年間のキャッシュフローを検証します。これらは金融庁が賃貸業向けストレステストの目安として示す水準に近く、保守的なラインと言えます。この状況でも赤字が限定的に収まる物件なら、実際の運用では十分なバッファーが取れるでしょう。
さらに、出口戦略を数値化することも欠かせません。東京カンテイのデータでは、築25年を超える都心区分の平均流通価格は築10年比で約30%下落にとどまっています。一方、郊外では40%以上の下落事例もあります。売却価格を悲観的に見積もり、ローン残債より低くならないラインを確認しておくと、万が一の売却でも損失を抑えられます。
最後に「結論」として強調したいのは、比較検討の全プロセスを数字で裏付ける姿勢です。感覚に頼らず、収支表と統計データを組み合わせたロジックを持つことで、投資判断の質は大きく向上します。
まとめ
ここまで「マンション投資 比較」の視点から、メリットとリスク、新築と中古、エリア分析、融資・税制、そしてシミュレーションまで整理しました。要するに、利回りの数字を起点にしつつも、人口動態や融資条件など複数の軸で総合判断することが成功の近道です。行動に移す際は、必ず長期修繕計画とストレステストを確認し、安心して運用できる物件を選びましょう。そして、参考データを自分のシートに落とし込み、今週中に第一候補の物件を三つピックアップするところから始めてみてください。
参考文献・出典
- 不動産経済研究所 – https://www.fudousankeizai.co.jp
- 国土交通省 賃貸住宅市場データ – https://www.mlit.go.jp
- 日本賃貸住宅管理協会 統計資料 – https://www.jpm.jp
- 総務省 国勢調査 2025年推計 – https://www.stat.go.jp
- 東京カンテイ 市場レポート – https://www.kantei.ne.jp
- 日本銀行 金融統計月報 – https://www.boj.or.jp