アパート経営に興味はあるものの、「実際にやったら赤字になるのでは」と不安に感じる人は多いでしょう。確かに家賃収入は安定して見えますが、空室や修繕費が重なると簡単にキャッシュフローがマイナスに転じます。本記事では「アパート経営 赤字になる」という悩みに寄り添い、原因と対策を最新データを交えて解説します。読み終えるころには、自分に合った収支改善のヒントが得られるはずです。
なぜ黒字化が難しいのか

重要なのは、アパート経営が「事業」であり固定費の重いビジネスだと理解することです。家賃という売上が一定でも、ローン返済、税金、保険料、修繕積立が毎月発生します。国土交通省の住宅統計によれば、2025年8月時点の全国アパート空室率は21.2%と依然高水準で、満室経営を前提にしたシミュレーションは現実的とは言えません。
まず空室が続けば、その分収入はゼロになりますが、金融機関への返済は待ってくれません。さらに築年数が進むと外壁塗装や設備交換が不可避となり、一度に数百万円規模の支出が発生します。つまり収支を黒字に保つには、収入アップと費用コントロールを同時に行う必要があるのです。
入居率を左右する三つの落とし穴

ポイントは、入居者の目線で物件を評価することです。立地・設備・管理のいずれかが欠けると、空室は想像以上に長期化します。とくに地方や郊外では人口減少の影響が表れやすく、駅から徒歩15分を超えると入居決定まで平均で2か月以上かかるとの調査もあります。
一方で、築20年以上の物件でも共用部の清掃が行き届き、インターネット無料など時代に合った設備を加えるだけで決定率が上がるケースがあります。管理会社まかせにせず、定期的に自分の目で物件を確認し、小さな改善を繰り返す姿勢が欠かせません。また、賃料設定を周辺相場より1割高く出すと、空室リスクは2倍以上になるとのデータもあるため、相場調査は怠れません。
資金計画で見落としがちなコスト
まず押さえておきたいのは、購入時に諸費用として物件価格の8〜10%が必要になる点です。登記費用や仲介手数料だけでなく、銀行の事務手数料や火災保険料が含まれます。融資を受けるとき、金利が0.3%上がるだけで30年総返済額は数百万円増えるため、複数行の比較は必須です。
運営フェーズに入ると修繕費がボディブローのように効いてきます。日本賃貸住宅管理協会の平均値では、築25年を超えると年間家賃収入の15%前後を修繕に充てるオーナーが増えます。ここに固定資産税、都市計画税、水道メーター交換など細かな出費が積み重なり、キャッシュフローを圧迫します。赤字を防ぐには、手残りを保守的に試算し、空室率15%、金利上昇1%でも資金が回るか確認することが大切です。
2025年の税制と補助制度を味方にする
実は、赤字を抑える仕組みとして税制優遇を活用する方法があります。2025年度の「住宅ローン控除」は自宅用ですが、投資用アパートでも減価償却費を活用し所得税を抑えられます。木造なら22年、鉄骨造なら34年が法定耐用年数であり、中古取得の場合は残存年数を短縮できるため、初期の節税効果が高まります。
さらに、2025年度の「賃貸住宅省エネ改修支援事業」は、断熱窓や高効率給湯器の導入に対して1戸あたり最大30万円相当の補助が受けられます(申請は2026年3月末まで)。省エネ設備は入居者の光熱費を下げるメリットがあり、競争力アップにも直結します。ただし補助金は予算枠があり、申請書類も煩雑です。締切前に専門業者と連携し、必要書類を整えて申請する流れを把握しておきましょう。
赤字からの脱却ステップ
まず、現在のキャッシュフローを正確に把握することがスタートラインです。家賃、駐車場、共益費などの入金と、ローン・税金・修繕費・管理費の出金を月次で一覧化します。そのうえで、費用削減と収入増加に分けて打ち手を検討すると整理しやすくなります。
費用面では管理会社へ手数料の見直しを相談し、火災保険を数社比較して3年更新に変更するだけでも数万円単位で削減できる場合があります。収入面では間取り変更や家具付きプランなど差別化策を検討し、賃料を上げるのではなく稼働率を高める発想が有効です。また金融機関へ繰上返済や金利交渉を行い、長期的に支払利息を圧縮する手段もあります。
結論として、赤字経営から抜け出すためには「現状把握→戦略立案→即行動」のサイクルを高速で回し続けることが肝要です。数字と向き合う習慣を身につければ、想定外の支出にも慌てずに対応できるようになります。
まとめ
アパート経営が赤字になる主因は、空室と修繕費という二つの固定費が読みにくい点にあります。しかし入居者目線の改善、保守的な資金計画、2025年度の税制・補助制度の活用を組み合わせれば、安定した黒字化は十分可能です。今日からできるのは、まず毎月の収支を洗い出し、ムダを可視化すること。数字を味方に付け、堅実なアパート経営を目指しましょう。
参考文献・出典
- 国土交通省住宅局 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/
- 日本賃貸住宅管理協会 – https://www.jpm.jp/
- 総務省統計局 – https://www.stat.go.jp/
- 国税庁タックスアンサー – https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/
- 環境省 省エネ改修支援事業 – https://www.env.go.jp/earth/ondanka/house/