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一棟アパート メリット・デメリットを徹底解説!2025年版

投資用不動産を探していると「区分所有ではなく一棟アパートに挑戦したいが、本当に自分に合っているのだろうか」という声をよく耳にします。立地や資金計画だけでなく、運営体制や出口戦略まで視野に入れる必要があるため、最初の一歩が踏み出しづらいのが実情です。この記事では、一棟アパートのメリットとデメリットを丁寧に比較し、2025年現在の市場データや制度情報を交えつつ、初心者でも納得できる判断軸を提示します。読み終えたときには、自分に合った投資スタイルが見え、次に取るべき行動が明確になるはずです。

一棟アパート投資とは何か

一棟アパート投資とは何かのイメージ

まず押さえておきたいのは、一棟アパート投資が「建物と土地を丸ごと所有し、複数戸を一括で運営する手法」である点です。区分マンション投資と異なり、オーナーが共用部を含めた全体管理の責任を負います。その代わり、共用部の修繕計画や家賃設定を自ら決められる自由度が高いのが特徴です。

一棟物件は戸数が多いため、家賃収入の総額が大きくなりやすく、金融機関の評価も「事業性融資」の枠組みで行われることが多いです。これにより、金利や融資年数の面で区分所有より有利な条件を引き出せる可能性があります。また、土地を所有するため、長期的なインフレヘッジとしても機能しやすいといえます。

一方で、取得価格が数千万円から数億円と高額になる点は覚悟が必要です。自己資金がある程度必要になるほか、融資審査では事業計画の妥当性を厳しく問われます。つまり、区分所有よりも「経営者マインド」が求められる投資だと理解しましょう。

購入メリットで得られる3つの安定

購入メリットで得られる3つの安定のイメージ

重要なのは、一棟アパートが安定収益・資産形成・税務メリットの三つを同時に得やすい点です。第一に、複数戸の家賃が合算されるため、空室が発生しても収入がゼロになるリスクは低減します。国土交通省の住宅統計によれば、2025年10月時点の全国アパート空室率は21.2%で前年から0.3ポイント改善しました。空室対策を講じることで、表面利回り8%でも実質利回り5%台を維持する事例は珍しくありません。

第二に、土地と建物をまとめて取得するため、担保評価が高く、次の物件購入時に追加融資を受けやすい傾向があります。これにより、ポートフォリオ拡大のスピードを上げられる点が大きな強みです。さらに、土地は減価償却できないため、帳簿上の価値が目減りしにくく、長期保有で含み益を期待できます。

第三に、税務上のメリットが挙げられます。減価償却費を計上することで課税所得を圧縮でき、給与所得との損益通算で所得税や住民税を軽減できるケースがあります。特に木造アパートの耐用年数は22年と短く、取得翌期から償却効果を高く享受できる点が魅力です。ただし、過度な節税のみを目的にすると資金繰りが苦しくなるため、キャッシュフローとのバランスが欠かせません。

デメリットとリスクを正しく知る

実はメリットの裏側には、資金調達・運営負担・出口戦略に関するリスクが潜んでいます。まず、初期費用が大きい一棟アパートでは自己資金1~3割が求められるのが一般的です。頭金1,000万円超を用意できない場合、金利や連帯保証の条件が厳しくなる恐れがあります。金融機関は借り手の資産背景だけでなく、物件の将来収支を厳しくチェックするため、事前に綿密なシミュレーションが必要です。

次に、運営リスクとして最大の課題は空室対策と修繕費です。築年数が進むと外壁塗装や屋上防水など高額修繕が避けられず、タイミングを誤るとキャッシュフローが一気に悪化します。一般的に築15年を超えると、大規模修繕費として年間家賃収入の5~10%を積み立てるのが安全圏といわれます。また、入居者トラブルや家賃滞納が複数戸同時に起こると、管理会社への指示や交渉も増え、時間的コストが膨らみます。

最後に、出口戦略の難易度です。一棟物件は買い手が投資家に限られるため、景気や金利動向で価格が大きく変動します。築古物件は個人投資家よりもリノベーション業者の買取が中心となり、想定より低い価格提示を受けるケースがあります。したがって、取得時から「10年後に売却」「相続対策で長期保有」など明確な計画を持つことが欠かせません。

利回りを高める運営のコツ

ポイントは、収入増加策と費用削減策を並行して実行することです。まず家賃収入を底上げするには、ターゲット入居者に合わせた設備投資が有効です。2025年の入居者ニーズ調査では、スマートロック導入物件の成約率が非導入物件より8%高い結果が出ています。初期費用が30万円程度で済むため、年間家賃を合わせて60万円改善できれば投資回収期間はおよそ半年です。

費用削減では、保険と管理委託費の見直しが効果的です。火災保険は複数社を比較し、補償内容を適正化するだけで年間数万円の節約が可能になります。また、管理会社の手数料交渉だけではなく、募集条件や広告媒体の改善まで踏み込めば空室期間の短縮につながり、表面利回り以上の効果が得られます。

設備更新や修繕は計画的に行うことで突発的な資金流出を防げます。具体的には、屋上防水を10年周期、外壁塗装を12年周期で実施する長期修繕計画を立て、家賃収入の一部を毎月積み立てる方法が現実的です。こうした取り組みが結果として金融機関の評価を高め、次回融資の金利優遇にも寄与します。

2025年の市場動向と制度活用のヒント

まず押さえておきたいのは、人口減少局面でもエリア格差が拡大している点です。総務省の推計では、地方中核都市の人口流入はわずかながらプラスに転じており、大学キャンパスの集約や企業のサテライトオフィス設置が要因とされています。こうしたエリアではワンルーム需要が底堅く、一棟アパートの回転率が向上しています。

資金面では、2025年度も住宅金融支援機構が実施する「賃貸住宅省エネ改修促進事業」が継続予定です。期日内に申請すれば、外壁断熱や高効率給湯器の導入費用の一部が補助対象となり、1戸あたり最大50万円を受け取れます。期限は2026年3月末までですが、予算上限に達し次第終了するため、早めの申請が賢明です。

金利動向にも目を向けましょう。日本銀行が2024年に長期金利の許容幅を拡大して以降、地方銀行のアパートローン金利は平均で0.2%上昇しました。しかし、自己資金2割以上かつ表面利回り7%以上の案件に対しては優遇金利が残るケースがあります。つまり、魅力的な物件と堅実な運営計画を提示できれば、依然として低金利での借り入れが可能です。

最後に、市場データを定期的に確認する習慣を持つと良いでしょう。国土交通省の不動産価格指数や賃貸住宅市場レポートは四半期ごとに公表されており、エリア選定や家賃設定の裏付けとして活用できます。情報収集を仕組み化することで、感覚ではなくデータに基づいた意思決定が実現します。

まとめ

一棟アパート投資は、高い収益性と資産形成効果を同時に狙える一方で、資金調達や運営の難易度も比例して上がります。メリットとデメリットを正しく把握し、長期修繕計画や出口戦略をあらかじめ描くことが成功のカギです。2025年の市場動向や補助金制度を上手に利用すれば、利回り向上とリスク低減を両立できます。この記事を参考に、自分の資金力と目標に合った投資スタイルを設計し、次の行動へ踏み出してみてください。

参考文献・出典

  • 国土交通省住宅局 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/
  • 総務省統計局 – https://www.stat.go.jp/
  • 日本政策金融公庫 – https://www.jfc.go.jp/
  • 住宅金融支援機構 – https://www.jhf.go.jp/
  • 不動産流通推進センター – https://www.retpc.jp/

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