不動産投資に興味はあるものの、「空室が出たら赤字になるのでは」「物件価格が下がったらどうしよう」と不安に感じる人は多いはずです。さらに2025年の日本は緩やかなインフレが続き、物価と金利の先行きも読みにくい状況です。そこで本記事では、不動産投資 デメリット インフレ対策という三つの視点を軸に、リスクを理解しつつ資産を守る具体策を解説します。はじめての方でも損を抑えながらインフレに備えられるよう、最新データと実践例を交えて説明します。
インフレ時代に不動産投資が注目される理由

まず押さえておきたいのは、インフレ局面では現金の実質価値が目減りする一方、賃料や物件価格は上昇しやすいという点です。総務省の消費者物価指数(CPI)は2023年から年2%前後の伸びを維持し、2025年も同レベルが続く見通しと報じられています。つまり、家賃収入をインフレに連動させやすい不動産は、現金のみを保有するよりも資産価値を保ちやすいのです。
次に、住宅ローン金利の動きが投資家に有利に働く場合があります。日銀は2024年に長期金利の誘導目標を0.75%程度に引き上げましたが、政策金利は依然として低位です。固定金利で借りてインフレで家賃が上がれば、実質的な返済負担は軽くなる計算になります。一方で変動金利を選ぶと金利上昇局面の打撃を受けやすいため、借入戦略が重要になります。
さらに、インフレ期には建設コストが高騰し、新築供給が減りやすい傾向があります。国土交通省の建築着工統計によると、2024年から24カ月連続で着工戸数が前年割れとなりました。供給が絞られれば既存物件の賃料は下がりにくく、空室リスクを軽減できる可能性があります。ただし需要動向はエリアごとに異なるため、自分が狙う立地で人口や企業の流入が続くか確認が欠かせません。
このように、インフレ環境は不動産投資に追い風となる面がありますが、すべての物件が恩恵を受けるわけではありません。次の章では、見逃しがちなデメリットを整理し、リスクとの付き合い方を探ります。
見落としがちな不動産投資のデメリット

重要なのは、メリットに目を奪われず冷静にデメリットを把握することです。不動産投資 デメリット インフレ対策を語るには、まず負の側面を理解しなければ具体的な対策が立てられません。
第一に、空室リスクは常に存在します。都心ワンルームでも平均空室期間は2カ月程度ありますし、郊外ファミリータイプでは半年以上埋まらないケースも珍しくありません。家賃が1カ月でも入らないと表面利回りは大きく低下しますから、想定家賃の10〜15%は空室損失として見込むのが現実的です。
第二に、修繕費は予測が難しい出費です。築20年を超えるマンションでは給排水管交換や大規模修繕が重なり、一度に100万円以上必要になることもあります。さらに資材価格がインフレで上がると、修繕コストも増加します。長期保有するほどこの負担は無視できません。
第三に、流動性の低さも忘れてはいけません。株式なら注文から数日で現金化できますが、物件売却には数カ月かかります。日本銀行のマネーストック統計によると、家計の保有金融資産のうち不動産は約35%と大きく、いざ現金が必要になってもすぐに動かせない点は大きな制約です。
最後に、地域衰退リスクがあります。特に人口減少が進む地方都市では、インフレで建築費が上がっても賃料が伸びず、空室率が高止まりすることがあります。総務省の住民基本台帳人口移動報告では、2025年も東京圏への転入超過が続く一方、地方圏の多くは転出超過です。立地判断を誤るとインフレの恩恵どころか資産価値が下落しかねません。
インフレと賃料・資産価値の関係
ポイントは、インフレが賃料と物件価格に与える影響が必ずしも比例しないことです。日本の場合、賃料上昇はCPIの伸びより緩やかで、総務省の家賃指数は2023〜2025年で年1%程度にとどまっています。インフレが2%でも賃料が1%しか上がらなければ、実質利回りは目減りします。
また、物件価格は金利動向にも左右されます。日銀が長期金利を容認水準まで引き上げると、投資家の資金調達コストが上昇し、利回り確保のために価格を抑える動きが出ます。したがってインフレ下でも利上げが続けば、物件価格はむしろ調整する場面があり得るのです。
一方で、都心の駅近区分マンションや再開発エリアの一棟アパートなど、需要が底堅い物件は値崩れしにくい傾向があります。東京都都市整備局の地価公示によると、2024年に23区平均で前年比3.5%上昇し、2025年も2%程度の上昇が予測されています。つまり、立地と需給が噛み合えばインフレ期に資産価値を伸ばせる余地はあります。
さらに、インフレは建物部分の減価償却メリットを相対的に拡大させます。物件価格のうち建物割合が高い中古マンションでは、取得後数年で大きな経費計上が可能です。インフレで家賃が緩やかに増え、税引き後キャッシュフローが改善する場合もあります。こうした税効果もトータルリターンを押し上げる要因になります。
デメリットを抑えるインフレ対策の実践法
実は、デメリットの多くは事前の準備と運用の工夫で軽減できます。物件選びと資金管理、そして保険的な対策を組み合わせれば、インフレ下でも安定収益を確保しやすくなります。
まず物件選定では、人口増加が見込める駅徒歩10分圏内に絞り、2010年以降築のRC造を狙うと修繕リスクを抑えられます。管理組合が機能しているマンションを選べば、大規模修繕費の予測精度も高まります。また、一棟アパートを検討するなら、屋根や外壁の耐用年数と修繕積立をあらかじめシミュレーションし、インフレで資材費が2割上がっても対応できる余裕を確保します。
次に、ローン戦略が重要です。低金利が続くうちに20年以上の固定金利で借り、金利上昇に備えます。返済比率は家賃収入の50%以下に抑えると、空室や修繕で収入が減ってもキャッシュフローがマイナスになりにくいです。加えて、家賃保証付きのサブリース契約は表面利回りが下がるため、保証料を支払ってでも安定を取るか、自己管理で利回りを追求するかを比較検討しましょう。
保険面では地震保険と家賠責保険をセットで加入し、想定外の支出をカバーします。日本損害保険協会の統計によると、首都直下地震が発生した場合の平均損害額は保険未加入世帯の2倍以上に達します。インフレで修繕費が跳ね上がる時期に自己負担で復旧するのは大きな痛手ですから、保険は不可欠です。
最後に、インフレヘッジとして複数エリアに分散投資する方法も有効です。都心区分と地方政令市の一棟を組み合わせることで、地価サイクルの違いを生かしながら資産を守れます。複数物件を保有する際は、空室発生のタイミングをずらし、キャッシュフローが同時に悪化しないよう管理計画を立てると安心です。
2025年度に活用できる公的支援策
まず押さえておきたいのは、2025年度も利用できる既存住宅の省エネ改修に対する補助金です。国土交通省と経済産業省が共同で実施する「既存建築物省エネ化推進事業」は、賃貸物件の断熱改修や高効率設備導入に対し、工事費の最大3分の1(上限1億円)を補助します。期限は2026年3月末交付申請分までと発表されており、インフレで資材費が高止まりする今こそメリットが大きい制度です。
また、地方自治体の固定資産税減額措置も見逃せません。東京都では2025年度、耐震改修を行った住宅について翌年度より1年間、固定資産税が2分の1に軽減されます。築古物件を買って価値向上を図る場合、改修費の一部を減税で回収できる仕組みです。
さらに、住宅金融支援機構の「フラット35リノベ」は、一定の省エネ・耐震基準を満たすリノベ済み物件を借入から10年間、年0.5%金利優遇します。固定金利でインフレ耐性を高めながら、利払いを抑えられるため、中長期保有に向く制度です。
2025年度版の「小規模企業共済」も活用すると、個人事業主や法人オーナーが掛金を全額所得控除でき、老後資金を節税しながら積み立てられます。不動産収入が増えて税負担が高くなった場合、所得控除によるキャッシュアウト削減がインフレ対策に直結します。
こうした制度は年度ごとに条件が見直されるため、申請の際は必ず最新の公募要領を確認してください。制度を組み合わせて初期投資を抑え、デメリットの一つである修繕コスト上昇や税負担を緩和することが、インフレ下での収益安定に寄与します。
まとめ
本記事では、不動産投資 デメリット インフレ対策という三つの観点から、インフレ時代の投資環境、リスクの実態、そして具体的な防御策を解説しました。インフレは家賃や資産価値を押し上げる一方で、空室や修繕費、金利上昇などの負担も拡大させます。立地選定と資金計画、固定金利の活用、保険加入、そして2025年度の補助金・減税を組み合わせれば、デメリットを抑えつつ安定したキャッシュフローを目指せます。自分のリスク許容度を見極め、信頼できるデータを基に行動することが、インフレに負けない不動産投資の第一歩です。
参考文献・出典
- 国土交通省 建築着工統計 – https://www.mlit.go.jp
- 総務省 統計局 消費者物価指数 – https://www.stat.go.jp
- 日本銀行 金融政策決定会合資料 – https://www.boj.or.jp
- 東京都 都市整備局 地価公示 – https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp
- 日本損害保険協会 地震保険統計 – https://www.sonpo.or.jp