新築物件を購入する際、多くの方が「新しいから資産価値が高い」と考えがちです。しかし、実際には新築というだけで資産価値が保証されるわけではありません。むしろ、購入直後から価値が大きく下落するケースも少なくないのです。この記事では、新築物件の資産価値について正しい知識をお伝えし、長期的に価値を維持できる物件選びのポイントを解説します。不動産投資や住宅購入を検討している方にとって、後悔しない選択をするための重要な情報をお届けします。
新築物件の資産価値が下落する理由

新築物件は購入した瞬間から「中古」になり、資産価値が下がり始めます。これは多くの購入者が見落としがちな重要なポイントです。
不動産業界では「新築プレミアム」という言葉があります。これは新築物件の販売価格に含まれる広告費や販売経費のことで、物件価格の10〜20%程度を占めています。つまり、3000万円の新築マンションを購入した場合、実質的な物件価値は2400〜2700万円程度ということになります。購入直後に売却しようとすると、この新築プレミアム分が丸々損失となってしまうのです。
さらに、築年数による価値下落も避けられません。国土交通省の調査によると、マンションの場合、築10年で新築時の約70〜80%、築20年で約50〜60%まで価値が下落するのが一般的です。特に築5年までの下落率が大きく、年間5〜10%程度の減価が発生します。
ただし、すべての新築物件が同じように価値を失うわけではありません。立地条件や建物の質、管理状態によって、資産価値の維持率は大きく変わってきます。実際、都心部の好立地物件では、築10年経過しても新築時の90%以上の価値を保つケースも存在します。
資産価値を維持できる新築物件の条件

長期的に資産価値を維持できる新築物件には、明確な共通点があります。最も重要なのは立地条件です。
駅から徒歩10分以内、できれば5分以内の物件は資産価値が下がりにくい傾向にあります。東京カンタイの調査では、駅徒歩5分以内の物件は、徒歩15分の物件と比較して、築10年後の価格維持率が約15〜20%高いというデータが出ています。また、複数路線が利用できる駅周辺の物件は、さらに価値が安定します。
周辺環境の充実度も重要な要素です。スーパーマーケット、病院、学校などの生活施設が徒歩圏内に揃っている地域は、常に一定の需要があります。特に子育て世代にとって、教育環境の良さは物件選びの最優先事項となるため、評判の良い学区内の物件は価値が下がりにくいのです。
建物の質と管理体制も見逃せません。大手デベロッパーが手がけた物件は、建物の耐久性や管理組合の運営がしっかりしている傾向があります。修繕積立金が適切に設定され、長期修繕計画が明確な物件は、将来的な資産価値の維持につながります。実際、管理が行き届いたマンションは、築20年経過しても新築時の60〜70%の価値を保つことができます。
人口動態も考慮すべき重要な要素です。2026年現在、日本全体では人口減少が進んでいますが、東京都心部や主要都市の中心部では依然として人口流入が続いています。将来的にも人口維持が見込まれる地域の物件を選ぶことで、需要の減少による価値下落を避けることができます。
新築と中古、資産価値の観点からの比較
新築物件と中古物件を資産価値の観点から比較すると、意外な事実が見えてきます。投資効率という点では、中古物件の方が有利なケースが多いのです。
価格面での違いは明確です。同じ立地、同じ広さの物件でも、築10年の中古物件は新築の70〜80%程度の価格で購入できます。つまり、新築で3000万円の物件なら、築10年の中古なら2100〜2400万円程度で手に入る計算です。この価格差は、投資の初期コストを大きく抑えることができます。
資産価値の下落スピードも大きく異なります。新築物件は購入直後から急激に価値が下がりますが、築10年を過ぎた中古物件は価値の下落が緩やかになります。不動産経済研究所のデータによると、築10〜20年の物件の年間下落率は2〜3%程度で、新築時の半分以下になります。つまり、すでに大きな下落を経験した中古物件の方が、将来的な価値の安定性が高いということです。
ただし、新築物件にも明確なメリットがあります。最新の設備や耐震基準を満たしている点、修繕費用が当面かからない点、住宅ローン控除などの税制優遇を最大限活用できる点などです。2026年度の住宅ローン控除では、新築の認定住宅なら最大455万円の控除が受けられます。
実際の投資判断では、購入目的によって選択が変わります。自己居住が主目的で、最新設備や新しい住環境を重視するなら新築が適しています。一方、投資効率や資産形成を重視するなら、価格が下がりきった築10〜15年の中古物件の方が賢明な選択となるケースが多いのです。
新築物件の資産価値を高める方法
新築物件を購入した後も、資産価値を維持・向上させる方法があります。適切な管理と戦略的な対応が重要です。
まず基本となるのは、物件の適切なメンテナンスです。共用部分の管理は管理組合が行いますが、専有部分は所有者の責任です。定期的な清掃や設備の点検を怠らず、小さな不具合も早期に修繕することで、建物全体の劣化を防ぐことができます。特に水回りの設備は劣化が早いため、10〜15年を目安に計画的なリフォームを検討しましょう。
管理組合の活動に積極的に参加することも重要です。修繕積立金の適切な運用や、長期修繕計画の見直しなど、建物全体の価値維持に関わる重要な決定が行われます。管理組合がしっかり機能しているマンションは、将来的な資産価値の維持率が高いというデータもあります。
周辺環境の変化にも注目しましょう。再開発計画や新駅の開業、大型商業施設の誘致など、地域の発展につながる情報をキャッチすることで、資産価値向上のチャンスを見逃しません。実際、再開発エリアの物件は、周辺の平均価格を20〜30%上回る価格で取引されることもあります。
賃貸に出す場合は、適切な賃料設定と入居者管理が必要です。相場より高すぎる賃料設定は空室期間を長引かせ、結果的に収益を下げてしまいます。一方、相場より安すぎる設定は、物件の価値を下げることにつながります。不動産会社と相談しながら、適正な賃料を設定することが大切です。
将来を見据えた新築物件選びのポイント
2026年以降の不動産市場を考えると、将来性を重視した物件選びがより重要になります。人口動態や社会構造の変化を見据えた選択が必要です。
人口減少社会において、資産価値を維持できるのは限られたエリアです。東京23区、大阪市中心部、名古屋市中心部など、主要都市の中心部は今後も人口流入が続くと予測されています。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2040年まで東京都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)の人口は増加傾向が続くとされています。
働き方の変化も考慮すべき要素です。テレワークの普及により、都心から少し離れた郊外でも、駅近で利便性の高い物件の需要が高まっています。ただし、完全な郊外ではなく、都心へのアクセスが1時間以内の「準都心エリア」が狙い目です。このエリアは価格が都心より2〜3割安く、それでいて資産価値の維持が期待できます。
環境性能の高い物件も注目されています。2026年現在、省エネ基準の強化が進んでおり、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)やLCCM住宅など、環境配慮型の住宅が評価される時代になっています。これらの物件は光熱費が安く、将来的な規制強化にも対応できるため、長期的な資産価値維持につながります。
災害リスクへの対応も重要です。ハザードマップで浸水リスクや土砂災害リスクを確認し、安全性の高い立地を選ぶことが必要です。近年、災害リスクの高いエリアの物件価格は下落傾向にあり、逆にリスクの低いエリアは価格が上昇しています。この傾向は今後さらに強まると予想されます。
まとめ
新築物件の資産価値について、重要なポイントを振り返りましょう。新築というだけで資産価値が保証されるわけではなく、購入直後から価値が下落し始めることを理解する必要があります。新築プレミアムや築年数による減価を考慮すると、投資効率の面では中古物件の方が有利なケースも多いのです。
しかし、立地条件、建物の質、管理体制、周辺環境などの条件を満たした新築物件は、長期的に資産価値を維持できる可能性があります。特に駅近で利便性が高く、将来的にも人口維持が見込まれるエリアの物件は、新築でも価値ある投資となります。
購入後も適切なメンテナンスや管理組合への参加、周辺環境の変化への注目など、能動的な取り組みが資産価値の維持につながります。また、人口動態や働き方の変化、環境性能、災害リスクなど、将来を見据えた視点で物件を選ぶことが重要です。
新築物件の購入を検討する際は、短期的な新しさや設備の魅力だけでなく、10年後、20年後の資産価値を想像してください。目先の条件だけでなく、長期的な視点で判断することが、後悔しない不動産購入の鍵となります。専門家のアドバイスも活用しながら、自分の目的に合った最適な選択をしていきましょう。
参考文献・出典
- 国土交通省 – 不動産価格指数 – https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000085.html
- 国立社会保障・人口問題研究所 – 日本の地域別将来推計人口 – https://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/t-page.asp
- 不動産経済研究所 – 首都圏マンション市場動向 – https://www.fudousankeizai.co.jp/
- 東京カンタイ – 中古マンション価格動向 – https://www.kantei.ne.jp/
- 国土交通省 – 住宅ローン減税制度 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000017.html
- 環境省 – ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)支援事業 – https://www.env.go.jp/earth/ondanka/zeh.html
- 国土交通省 – ハザードマップポータルサイト – https://disaportal.gsi.go.jp/