不動産投資を始めるために金融機関の融資を受けようとすると、必ず通過しなければならないのが融資面談です。「どんなことを聞かれるのだろう」「うまく答えられるか不安」と感じている方も多いのではないでしょうか。実は、融資面談で聞かれる質問にはある程度パターンがあり、事前にしっかり準備すれば初心者でも自信を持って臨めます。この記事では、融資面談で実際に聞かれる質問内容と、金融機関が評価する回答のポイントを具体的に解説します。面談を成功させるための準備方法から、避けるべき回答例まで、実践的な情報をお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。
融資面談の目的と金融機関が見ているポイント

融資面談は単なる形式的な手続きではなく、金融機関があなたの返済能力と投資家としての資質を見極める重要な場です。担当者は書類だけでは分からない人物像や投資への本気度を確認しようとしています。
金融機関が最も重視するのは「この人にお金を貸しても安全か」という点です。具体的には、安定した収入があるか、計画的に物事を進められる人物か、不動産投資について真剣に学んでいるかといった要素を総合的に判断します。年収や勤続年数といった数字だけでなく、あなたの話し方や態度、質問への回答内容から人間性まで評価されていると考えてください。
また、融資担当者は投資計画の実現可能性も厳しくチェックします。物件の収益性はもちろん、空室リスクへの対策や修繕計画まで具体的に考えているかを確認します。楽観的すぎる計画や根拠のない希望的観測は、かえって信頼を損なう結果になります。
面談では誠実さと準備の徹底が何より大切です。分からないことを知ったかぶりせず、正直に答える姿勢が信頼につながります。一方で、基本的な質問に答えられないようでは準備不足と判断されてしまいます。
必ず聞かれる基本的な質問とベストな回答例

融資面談では、ほぼ確実に聞かれる定番の質問があります。これらの質問には明確な意図があり、適切に答えることで好印象を与えられます。
「なぜ不動産投資を始めようと思ったのですか」という質問は、ほぼ100%聞かれる最初の質問です。ここで重要なのは、具体的で現実的な動機を伝えることです。「老後の年金だけでは不安なので、月10万円程度の安定収入を作りたい」「子どもの教育資金を計画的に準備したい」といった明確な目標を示しましょう。「儲かりそうだから」「友人に勧められて」といった曖昧な動機は避けるべきです。
「不動産投資についてどのように勉強されましたか」という質問では、あなたの本気度が試されます。読んだ本のタイトルや参加したセミナーの内容、実際に見学した物件の数など、具体的な行動を示すことが大切です。「3か月間で不動産投資の本を5冊読み、実際に投資している先輩から話を聞きました」といった具体性のある回答が理想的です。
「この物件を選んだ理由は何ですか」という質問には、立地や利回りだけでなく、周辺環境や将来性まで含めた総合的な判断を説明します。「駅から徒歩7分で大学が近く、単身者の需要が安定しています。また、再開発計画があり将来的な資産価値の維持も期待できます」というように、複数の根拠を示すと説得力が増します。
「空室が続いた場合、どう対応しますか」という質問は、リスク管理能力を見る重要な質問です。「家賃を下げる」だけでなく、「まず管理会社と相談して募集条件を見直し、必要に応じて設備のグレードアップも検討します。また、半年分の返済に対応できる予備資金も確保しています」と、具体的な対策と資金的な備えを示しましょう。
収入と資産状況に関する質問への答え方
金融機関は返済能力を判断するため、あなたの収入と資産状況を詳しく確認します。この分野の質問には正確さと透明性が求められます。
「現在の年収と手取り額を教えてください」という質問には、源泉徴収票や確定申告書の数字を正確に答えます。ここで重要なのは、年収だけでなく手取り額も把握していることです。「年収は650万円で、手取りは約480万円です」と即答できるようにしておきましょう。副業がある場合は、その収入も正直に伝えることが信頼につながります。
「現在の貯蓄額と資産状況は」という質問では、預貯金だけでなく株式や保険などの資産も含めて説明します。ただし、すべての資産を投資に回すのではなく、生活防衛資金を確保していることを示すことが重要です。「預貯金が800万円あり、そのうち300万円を頭金に、200万円を予備資金として残す予定です」といった計画的な説明が好印象です。
「他に借入はありますか」という質問には、住宅ローンや自動車ローン、カードローンなど、すべての借入を正直に申告します。隠しても信用情報で確認されるため、正直に答えることが最善です。「住宅ローンが残り2000万円ありますが、月々の返済は8万円で、収入に対する返済比率は問題ない範囲です」と、返済負担率まで説明できると理想的です。
「家族構成と配偶者の収入は」という質問も、返済能力を判断する重要な要素です。配偶者が働いている場合、世帯収入として評価されることもあります。また、子どもの年齢や人数は将来の教育費を推測する材料になります。「妻は正社員で年収400万円、子どもは小学生が2人です」といった具体的な情報を提供しましょう。
投資計画と収支シミュレーションに関する質問
融資担当者は、あなたが現実的な投資計画を立てているかを確認するため、収支に関する詳細な質問をします。
「月々の収支計画を説明してください」という質問には、家賃収入から経費を差し引いた実質的なキャッシュフローを説明します。「家賃収入が月8万円、ローン返済が5万円、管理費・修繕積立金が1.5万円、その他経費を含めて月1万円程度のプラスを見込んでいます」というように、具体的な数字で示すことが大切です。
「空室率はどのくらいで計算していますか」という質問では、楽観的すぎる想定は避けるべきです。一般的に10〜20%の空室率を見込むのが現実的です。「この地域の平均空室率は15%なので、年間で2か月程度の空室を想定して計画を立てています」と、根拠を示しながら説明しましょう。
「修繕費用はどのように準備しますか」という質問は、長期的な視点を持っているかを確認するものです。「毎月の家賃収入から1万円を修繕積立として別口座に貯めていきます。また、10年後の大規模修繕に備えて、別途200万円の予備資金も確保しています」といった計画的な回答が理想的です。
「金利が上昇した場合の対応は」という質問には、リスクシナリオへの備えを示します。「現在の金利1.5%が2.5%に上昇した場合、月々の返済が約1万円増えますが、予備資金と本業の収入で対応可能です。また、繰り上げ返済も検討しています」と、具体的な数字とともに対策を説明しましょう。
物件選定の理由と市場分析に関する質問
金融機関は、あなたが物件を適切に評価できているかを確認するため、物件選定の根拠を詳しく聞いてきます。
「なぜこのエリアを選んだのですか」という質問には、人口動態や交通利便性、周辺環境などの客観的なデータに基づいて説明します。「このエリアは過去5年間で人口が3%増加しており、特に20〜30代の単身者が増えています。また、駅から徒歩圏内で大学や企業が多く、賃貸需要が安定しています」といった具体的な分析を示しましょう。
「競合物件と比較してどうですか」という質問では、周辺の類似物件を調査していることを示します。「半径500m以内の同じ間取りの物件を10件調査しました。家賃相場は7〜8.5万円で、この物件は8万円で設定しており、築年数と設備を考えると適正価格です」と、市場調査の結果を説明できると説得力があります。
「この物件の弱点は何だと考えますか」という質問は、あなたの分析力を試す重要な質問です。完璧な物件はないため、弱点を認識した上でどう対処するかを説明することが大切です。「築15年で設備が古い点が弱点ですが、入居前にエアコンとウォシュレットを新品に交換する予定です。費用は30万円程度で、これにより競争力を維持できます」といった具体的な対策を示しましょう。
「5年後、10年後のこの物件の価値をどう見ていますか」という質問では、長期的な視点を持っていることを示します。「5年後は築20年になりますが、駅近という立地の強みは変わりません。ただし、家賃は5〜10%程度下がる可能性を想定しています。10年後には大規模修繕が必要になるため、その費用も計画に織り込んでいます」と、現実的な見通しを説明しましょう。
避けるべき回答とNG例
融資面談では、どんなに準備していても避けるべき回答があります。これらのNG例を知っておくことで、失敗を防げます。
まず「よく分かりません」「考えていませんでした」という回答は絶対に避けるべきです。これは準備不足を示すだけでなく、投資への真剣さが疑われます。分からないことがあれば、「現時点では詳しく把握していませんが、○○について調べて次回までにお答えします」と、前向きな姿勢を示しましょう。
「不動産会社の人がこう言っていました」という他人任せの回答も印象が悪くなります。不動産会社の意見を参考にするのは良いことですが、最終的には自分で判断したことを示す必要があります。「不動産会社からも意見を聞きましたが、自分でも周辺を調査して、この物件が適切だと判断しました」といった主体性のある回答を心がけましょう。
「絶対に儲かります」「空室になることはありません」といった断定的な表現も避けるべきです。不動産投資にはリスクがあり、100%確実なことはありません。「リスクは認識していますが、十分な対策を講じているので、長期的には安定した収益が見込めると考えています」と、リスクを認識した上での計画であることを示しましょう。
「とりあえず始めてみようと思って」「流行っているから」といった軽い動機も信頼を損ないます。不動産投資は長期的な取り組みであり、真剣な動機と計画が必要です。「老後の生活資金を確保するため、3年間勉強してきました」といった具体的で真剣な動機を伝えることが重要です。
面談前の準備チェックリスト
融資面談を成功させるには、事前の準備が何より重要です。以下のポイントを確認して、万全の状態で臨みましょう。
必要書類は面談の1週間前までに揃えておきます。源泉徴収票、確定申告書、給与明細3か月分、預金通帳のコピー、物件資料、収支計画書などが基本的な必要書類です。これらを見やすくファイルにまとめ、すぐに提示できるようにしておきましょう。
物件に関する情報は、資料を見なくても答えられるレベルまで頭に入れておきます。物件価格、利回り、築年数、間取り、最寄り駅からの距離、周辺環境など、基本情報は暗記しておくことが理想的です。また、実際に物件を見学し、周辺環境も自分の目で確認しておくと、説得力のある説明ができます。
想定質問への回答を事前に準備し、できれば家族や友人に面談の練習相手になってもらいましょう。声に出して説明することで、自分の考えが整理され、本番でもスムーズに答えられます。特に「なぜこの物件を選んだのか」「リスクへの対策は」といった重要な質問には、30秒程度で簡潔に答えられるよう練習しておきます。
服装や身だしなみも重要な準備の一つです。スーツが基本ですが、清潔感があり誠実な印象を与える服装であれば問題ありません。時間厳守は当然のこととして、できれば10分前には到着し、落ち着いて面談に臨める状態を作りましょう。
面談当日の心構えと対応のコツ
面談当日は、準備してきたことを自信を持って伝えることが大切です。同時に、柔軟な対応も求められます。
面談では正直さと誠実さを最優先にしましょう。分からないことを知ったかぶりするより、「その点は調べて後日お答えします」と正直に答える方が信頼されます。また、自分に不利な情報でも隠さず伝えることが、長期的な信頼関係につながります。
質問には簡潔に答えることを心がけます。長々と説明するより、まず結論を述べてから理由を説明する方が分かりやすくなります。「はい、空室リスクは想定しています。具体的には年間2か月分の空室を見込んで収支計画を立てています」といった構成が理想的です。
担当者の質問の意図を理解しようと努めることも大切です。表面的な質問の裏には、あなたの考え方や準備状況を確認したいという意図があります。質問の意図が分からない場合は、「その質問は○○という観点からでしょうか」と確認しても構いません。
面談の最後には、必ず質問の機会があります。この時に「特にありません」と答えるのではなく、融資条件や審査期間、今後の流れなど、具体的な質問を2〜3個準備しておきましょう。質問することで、あなたの真剣さと積極性を示すことができます。
まとめ
融資面談で聞かれることは、大きく分けて「投資動機と準備状況」「収入と資産状況」「投資計画と収支」「物件選定の理由」の4つの分野に集約されます。これらの質問に対して、具体的で現実的な回答を準備することが成功への近道です。
重要なのは、金融機関が求めているのは完璧な投資家ではなく、誠実で計画的な人物だということです。リスクを認識し、適切な対策を講じ、長期的な視点で不動産投資に取り組む姿勢を示すことが何より大切です。
面談前には必要書類を揃え、物件情報を頭に入れ、想定質問への回答を準備しましょう。そして当日は、正直さと誠実さを持って、自信を持って臨んでください。分からないことは素直に認め、後日調べて回答する姿勢も評価されます。
融資面談は不動産投資の第一歩です。しっかりと準備して臨めば、初心者でも十分に成功できます。この記事で紹介したポイントを参考に、あなたの不動産投資の夢を実現させてください。
参考文献・出典
- 国土交通省「不動産市場動向マンスリーレポート」 – https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000085.html
- 金融庁「金融機関の融資審査に関するガイドライン」 – https://www.fsa.go.jp/
- 日本銀行「貸出先別貸出金」統計 – https://www.boj.or.jp/statistics/index.htm
- 全国宅地建物取引業協会連合会「不動産投資の基礎知識」 – https://www.zentaku.or.jp/
- 住宅金融支援機構「民間住宅ローンの実態調査」 – https://www.jhf.go.jp/
- 不動産流通推進センター「不動産業統計集」 – https://www.retpc.jp/
- 総務省統計局「住宅・土地統計調査」 – https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/