ワンルームマンション投資を始める際、多くの方が悩むのが「変動金利と固定金利、どちらを選ぶべきか」という問題です。金利の選択は月々の返済額だけでなく、30年以上にわたる総返済額に数百万円もの差を生む重要な決断となります。この記事では、それぞれの金利タイプの特徴やメリット・デメリットを詳しく解説し、あなたの投資スタイルに合った選択ができるようサポートします。金利の基本から実践的な判断基準まで、初心者の方にも分かりやすくお伝えしていきます。
変動金利と固定金利の基本的な違いとは

変動金利と固定金利の最も大きな違いは、借入期間中に金利が変わるかどうかという点です。変動金利は市場の金利動向に応じて半年ごとに見直されるため、経済状況によって返済額が増減します。一方、固定金利は契約時に決めた金利が借入期間中ずっと変わらないため、将来の返済計画が立てやすいという特徴があります。
変動金利の仕組みを詳しく見ていきましょう。変動金利は日本銀行の政策金利や短期プライムレートと連動しており、金融機関は半年ごとに金利を見直します。ただし、返済額の急激な上昇を防ぐため、多くの金融機関では「5年ルール」と「125%ルール」という保護措置を設けています。5年ルールとは、金利が変動しても返済額は5年間変わらないというもので、125%ルールは返済額が見直される際も前回の1.25倍までしか上がらないという制限です。
固定金利には全期間固定型と期間選択型の2種類があります。全期間固定型は借入から完済まで金利が一定で、代表的なものにフラット35があります。期間選択型は当初3年、5年、10年など一定期間だけ金利を固定し、その後は再度金利タイプを選択できる仕組みです。期間選択型は全期間固定より金利が低めに設定されていますが、固定期間終了後に金利が上昇するリスクがあります。
2026年2月現在、変動金利は年0.3〜0.6%程度、全期間固定金利は年1.5〜2.0%程度が一般的な水準となっています。この金利差は一見小さく見えますが、3,000万円を35年間借り入れた場合、総返済額で500万円以上の差が生じることもあります。
変動金利のメリットとリスク管理

変動金利の最大のメリットは、何といっても金利の低さです。固定金利と比べて0.5〜1.5%程度低い金利で借り入れができるため、月々の返済額を抑えられます。例えば2,500万円を35年間借り入れる場合、変動金利0.5%なら月々の返済額は約6.5万円ですが、固定金利1.8%では約8.3万円となり、毎月1.8万円もの差が生まれます。
低金利のメリットは返済額だけではありません。月々の返済負担が軽くなることで、手元に残る資金が増え、修繕費用の積立や次の物件購入に向けた資金準備がしやすくなります。また、繰上返済を積極的に行うことで、元本を早期に減らし、将来の金利上昇リスクを軽減することも可能です。
しかし変動金利には金利上昇リスクという大きな課題があります。日本は長年低金利政策を続けてきましたが、2026年現在、世界的なインフレ圧力や日本銀行の政策変更により、金利上昇の可能性が以前より高まっています。仮に金利が1%上昇すると、2,500万円の借入では月々の返済額が約1.4万円増加し、年間では約17万円の負担増となります。
変動金利を選ぶ際は、金利が上昇しても対応できる資金計画が必要です。具体的には、現在の金利に2〜3%上乗せした場合でも返済可能かシミュレーションしておくことが重要です。また、金利上昇に備えて、浮いた返済額の一部を貯蓄に回すなど、計画的な資金管理を心がけましょう。
固定金利のメリットと注意点
固定金利の最大の魅力は、将来の返済額が確定しているという安心感です。契約時に総返済額が分かるため、長期的な収支計画が立てやすく、金利上昇の心配をせずに投資に集中できます。特に不動産投資が初めての方や、リスクを最小限に抑えたい方にとって、この予測可能性は大きな価値があります。
固定金利は金利上昇局面で真価を発揮します。例えば契約時に1.8%で固定していた場合、その後市場金利が3%に上昇しても、あなたの返済額は変わりません。つまり、金利上昇に対する保険のような役割を果たすのです。実際、過去に金利が急上昇した時期には、固定金利を選んでいた投資家が大きなメリットを享受しました。
全期間固定型のフラット35は、民間金融機関の住宅ローンとは異なる特徴があります。保証料が不要で、繰上返済手数料も無料という点は大きなメリットです。また、物件の技術基準を満たせば、自営業者やフリーランスの方でも比較的審査に通りやすいという利点もあります。
ただし固定金利にも注意点があります。最も大きいのは、変動金利より高い金利を支払い続けることです。もし今後も低金利が続いた場合、変動金利を選んでいた人と比べて数百万円多く利息を支払うことになります。また、期間選択型の固定金利では、固定期間終了後に金利が大幅に上昇するリスクがあるため、その時点での金利動向を注視する必要があります。
あなたに合った金利タイプの選び方
金利タイプの選択は、投資家の状況や考え方によって最適解が異なります。まず考えるべきは、あなたのリスク許容度です。金利上昇による返済額増加に対して心理的・経済的に耐えられるかどうかが、選択の重要な基準となります。
変動金利が向いているのは、以下のような方です。自己資金に余裕があり、金利上昇時にも繰上返済で対応できる方、投資経験が豊富で市場動向を常にチェックできる方、短期間での完済を目指している方などが該当します。また、複数の物件を所有している場合、リスク分散の観点から一部を変動金利にするという戦略も有効です。
一方、固定金利が適しているのは、安定した収支計画を最優先したい方、金利動向を常にチェックする時間や知識がない方、初めての不動産投資で慎重に進めたい方などです。特に、本業が忙しく投資に割ける時間が限られている方にとって、固定金利の「ほったらかし」でも安心という特性は大きな価値があります。
投資期間も重要な判断材料です。10年以内に売却を考えている短期投資なら、低金利の変動金利で利息負担を抑える戦略が有効です。逆に30年以上の長期保有を前提とするなら、金利上昇リスクを避けられる固定金利の安心感が勝ることもあります。
実際の選択では、ミックスプランという方法もあります。例えば借入額の半分を変動金利、残り半分を固定金利にすることで、低金利のメリットと安定性の両方を得られます。金融機関によっては、このような柔軟な組み合わせに対応しているところもあるので、相談してみる価値があります。
金利タイプ別のシミュレーション比較
具体的な数字で比較すると、金利タイプの違いがより明確になります。2,500万円を35年間借り入れる場合を例に見ていきましょう。変動金利0.5%では月々の返済額が約6.5万円、総返済額は約2,722万円です。固定金利1.8%では月々約8.3万円、総返済額は約3,479万円となり、その差は757万円にもなります。
しかし、この差額だけで判断するのは早計です。変動金利で金利が上昇した場合のシナリオも考える必要があります。仮に5年後に金利が1.5%に上昇し、その後も徐々に上がって最終的に2.5%になった場合、総返済額は約3,200万円となり、固定金利との差は279万円まで縮まります。
さらに極端なケースとして、10年後に金利が3.0%まで上昇した場合を想定すると、変動金利の総返済額は約3,600万円となり、固定金利を上回る可能性もあります。このように、将来の金利動向によって結果は大きく変わるため、複数のシナリオでシミュレーションすることが重要です。
期間選択型の固定金利も検討する価値があります。当初10年固定1.2%、その後変動金利に移行するプランでは、10年間は月々約7.3万円の返済となります。もし10年後の金利が1.0%程度に収まっていれば、全期間固定より有利になる可能性があります。ただし、固定期間終了時の金利が高ければ、返済額が大きく増加するリスクもあります。
これらのシミュレーションを行う際は、金融機関のウェブサイトにある返済シミュレーターを活用しましょう。複数の金利シナリオで計算し、最悪のケースでも対応できるか確認することが、後悔しない選択につながります。
金利交渉と借り換えのタイミング
金利は金融機関が提示する数字をそのまま受け入れる必要はありません。実は、交渉次第で金利を下げられる可能性があります。特に自己資金比率が高い、年収が安定している、他の金融機関からも融資を受けられる状況にあるなど、条件が良い場合は交渉の余地が大きくなります。
金利交渉のポイントは、複数の金融機関から見積もりを取ることです。A銀行が0.6%、B銀行が0.5%を提示している場合、A銀行に「B銀行はこの金利を提示していますが、同等の条件にしていただけませんか」と交渉できます。金融機関も顧客を獲得したいため、競合の条件を提示されると柔軟に対応することが多いのです。
既に変動金利でローンを組んでいる方は、定期的に借り換えを検討することも重要です。借り換えとは、現在のローンを別の金融機関のローンで一括返済し、新たな条件で借り直すことです。金利が0.5%以上下がる、残債が1,000万円以上ある、返済期間が10年以上残っているという3つの条件を満たせば、借り換えのメリットが大きくなります。
2026年現在、多くの金融機関が借り換え顧客の獲得に力を入れており、通常より優遇された金利を提示するケースも増えています。ただし、借り換えには手数料や登記費用など、数十万円のコストがかかります。これらの費用を含めても総返済額が減るかどうか、慎重に計算する必要があります。
変動金利から固定金利への借り換えも選択肢の一つです。金利上昇の兆候が見えた時点で固定金利に切り替えることで、リスクを回避できます。ただし、タイミングを見極めるのは難しく、切り替えた直後に金利が下がるというリスクもあります。日本銀行の政策発表や経済指標を定期的にチェックし、専門家の意見も参考にしながら判断しましょう。
まとめ
ワンルームマンション投資における金利選択は、投資の成否を左右する重要な決断です。変動金利は低金利というメリットがある一方で、将来の金利上昇リスクを抱えています。固定金利は返済額が確定している安心感がありますが、低金利が続いた場合は割高になる可能性があります。
重要なのは、どちらが絶対的に優れているということではなく、あなたの投資スタイルやリスク許容度に合った選択をすることです。自己資金に余裕があり、市場動向を常にチェックできる方は変動金利、安定した収支計画を優先したい方は固定金利が向いています。また、両者を組み合わせるミックスプランという選択肢もあります。
金利タイプを選ぶ際は、必ず複数のシナリオでシミュレーションを行い、最悪のケースでも対応できるか確認しましょう。また、金融機関との交渉や定期的な借り換え検討も、長期的な投資成功には欠かせません。この記事で紹介した知識を活用し、あなたに最適な金利タイプを選択して、成功する不動産投資を実現してください。
参考文献・出典
- 国土交通省 住宅局 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/
- 住宅金融支援機構(フラット35) – https://www.flat35.com/
- 日本銀行 金融政策 – https://www.boj.or.jp/mopo/
- 不動産経済研究所 マンション市場動向 – https://www.fudousankeizai.co.jp/
- 金融庁 金融サービス利用者相談室 – https://www.fsa.go.jp/receipt/soudansitu/
- 一般社団法人 不動産流通経営協会 – https://www.frk.or.jp/
- 公益財団法人 東日本不動産流通機構 – http://www.reins.or.jp/