不動産投資を始めようと考えている方の中には、物件購入と同時にリフォームも検討されている方が多いのではないでしょうか。その際に気になるのが「リフォームローンと投資ローンは併用できるのか」という疑問です。実は、この2つのローンは目的も審査基準も異なるため、併用には注意が必要です。この記事では、リフォームローンと投資ローンの違いから、併用の可否、そして賢い資金調達の方法まで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。正しい知識を身につけることで、無理のない資金計画を立てることができるようになります。
リフォームローンと投資ローンの基本的な違い

まず押さえておきたいのは、リフォームローンと投資ローンは全く異なる金融商品だということです。この違いを理解することが、適切な資金調達の第一歩となります。
リフォームローンは、自宅の改修や修繕を目的とした個人向けの融資です。キッチンやバスルームの交換、外壁の塗り替え、耐震補強など、居住用物件の価値向上や快適性向上のために利用されます。金利は年2.0〜4.0%程度で、融資期間は10〜15年が一般的です。審査では申込者の年収や勤続年数が重視され、担保を必要としない無担保型も多く提供されています。
一方、投資ローンは収益物件の購入を目的とした事業性融資です。アパートやマンション、戸建て賃貸など、家賃収入を得るための物件購入に利用されます。2026年2月現在、変動金利は1.5〜2.0%、固定10年金利は2.5〜3.0%程度となっています。融資期間は物件の耐用年数に応じて最長35年まで設定可能です。審査では物件の収益性や担保価値が重視され、申込者の属性だけでなく事業計画の妥当性も厳しくチェックされます。
この2つのローンは利用目的が明確に区別されているため、資金の使途を混同することはできません。投資ローンで調達した資金を自宅のリフォームに使うことも、リフォームローンで収益物件を購入することもできないのです。
併用は可能だが条件と注意点がある

結論から言えば、リフォームローンと投資ローンの併用は可能です。しかし、金融機関の審査や返済能力の観点から、いくつかの重要な条件をクリアする必要があります。
最も重要なのは、返済負担率の問題です。金融機関は通常、年収に対する年間返済額の割合を30〜35%以内に抑えることを求めます。例えば年収600万円の方であれば、年間返済額は180万円から210万円が上限となります。既にリフォームローンで月5万円の返済がある場合、投資ローンの返済額は月10万円程度までに抑える必要があるでしょう。
審査では両方のローンの返済額が合算されて評価されます。つまり、先にリフォームローンを組んでいる場合、投資ローンの審査時にはその返済負担も考慮されるため、借入可能額が減少する可能性があります。国土交通省の調査によると、複数のローンを抱える借入者の審査通過率は、単独ローンと比較して約15〜20%低下する傾向にあります。
また、金融機関によっては同時申込を制限している場合もあります。特に同じ金融機関で両方のローンを申し込む際は、総合的な与信枠の中で判断されるため、希望額を満額借りられないケースも少なくありません。複数の金融機関を利用する場合でも、信用情報機関を通じて他行の借入状況は把握されますので、隠すことはできません。
さらに注意したいのは、投資物件のリフォームについてです。収益物件の改修費用は投資ローンに含めて借りるか、別途事業性ローンを利用する必要があります。個人向けのリフォームローンは居住用物件専用ですので、投資物件には使えないのです。
投資物件のリフォーム資金はどう調達するか
投資物件を購入してリフォームも行いたい場合、資金調達の方法は大きく分けて3つあります。それぞれにメリットとデメリットがあるため、自分の状況に合った方法を選ぶことが重要です。
第一の方法は、物件購入費とリフォーム費用を一括で投資ローンに含める方法です。これは最も一般的で効率的な方法といえます。金融機関に物件価格とリフォーム見積もりを提示し、合計額で融資を申し込みます。メリットは、一つのローンで管理できるため返済計画がシンプルになることです。また、リフォーム後の収益性を前提に審査されるため、物件の評価額が上がりやすくなります。ただし、リフォーム費用の見積もりは複数の業者から取り、適正価格であることを証明する必要があります。
第二の方法は、不動産投資ローンとは別に事業性ローンを利用する方法です。これは規模の大きなリフォームや、購入後に追加で改修が必要になった場合に有効です。事業性ローンは投資物件の改修を目的とした融資で、金利は3.0〜5.0%程度とやや高めですが、柔軟な審査が期待できます。デメリットは、複数のローンを管理する手間と、金利負担が増える点です。
第三の方法は、自己資金でリフォームを行う方法です。これは最も確実で、金利負担もない理想的な方法といえます。物件価格の20〜30%を自己資金として用意し、そこからリフォーム費用を捻出します。例えば2000万円の物件を購入する場合、自己資金600万円のうち200万円をリフォームに充てるといった計画です。ただし、手元資金が減るため、予期せぬ修繕費用への備えが薄くなるリスクがあります。
実際には、これらの方法を組み合わせることも可能です。大規模な改修は投資ローンに含め、細かな設備交換は自己資金で対応するなど、柔軟な資金計画を立てることが成功への鍵となります。
審査を通りやすくするための準備
リフォームローンと投資ローンを併用する場合、審査のハードルは通常よりも高くなります。しかし、適切な準備をすることで、審査通過の可能性を高めることができます。
重要なのは、返済能力を明確に示すことです。まず現在の収入状況を整理し、源泉徴収票や確定申告書を用意します。会社員の方は勤続年数が3年以上あると評価が高まります。自営業の方は過去3年分の所得証明が必要になるケースが多いでしょう。また、既存の借入状況も正確に把握し、クレジットカードのキャッシング枠や自動車ローンなども含めて申告します。
投資ローンの審査では、物件の収益性が重視されます。購入予定物件の周辺相場を調査し、適正な家賃設定ができることを示す資料を準備しましょう。空室率や修繕費用も現実的な数値で見積もり、保守的な収支計画を作成することが信頼につながります。全国賃貸住宅経営協会のデータによると、審査通過者の多くは空室率を20%程度で計算した事業計画を提出しています。
自己資金の準備も審査では重要な要素です。物件価格の20〜30%に加えて、諸費用分として物件価格の7〜10%、さらに予備資金として100万円程度を用意できると理想的です。自己資金が多いほど、金融機関からの信頼度は高まり、金利優遇を受けられる可能性も上がります。
複数の金融機関に相談することも効果的な戦略です。メガバンク、地方銀行、信用金庫、ノンバンクなど、それぞれ審査基準や得意分野が異なります。一つの金融機関で断られても、別の金融機関では承認されるケースは珍しくありません。ただし、短期間に多数の金融機関に申し込むと信用情報に影響する可能性があるため、2〜3行に絞って相談することをお勧めします。
返済計画を立てる際の重要ポイント
複数のローンを併用する場合、綿密な返済計画を立てることが何よりも重要です。計画が甘いと、将来的に返済に行き詰まるリスクが高まります。
まず月々の返済額を正確に把握しましょう。リフォームローンと投資ローンの返済額を合計し、それが月収の30%以内に収まっているか確認します。例えば月収50万円の方であれば、両方のローン返済額の合計は15万円以内が目安です。さらに、投資物件からの家賃収入も考慮に入れます。家賃収入が月10万円見込める場合、実質的な負担は5万円程度となり、余裕のある返済が可能になります。
金利上昇リスクへの備えも忘れてはいけません。2026年2月現在、変動金利は低水準を維持していますが、将来的に上昇する可能性は常にあります。金利が2%上昇した場合でも返済を続けられるか、シミュレーションしておくことが大切です。日本銀行の金融政策の変更により、過去には短期間で金利が大きく変動した時期もありました。
空室リスクも現実的に見積もる必要があります。投資物件が常に満室とは限りません。年間を通じて20%程度の空室期間を想定し、その間もリフォームローンと投資ローンの両方を返済できる資金的余裕を持つことが重要です。予備資金として最低でも6ヶ月分の返済額を確保しておくと安心です。
繰上返済の戦略も考えておきましょう。余裕資金ができた場合、どちらのローンを優先的に返済するか決めておきます。一般的には金利の高いリフォームローンを先に返済する方が、総支払額を抑えられます。ただし、投資ローンの繰上返済手数料が無料の場合は、そちらを優先する選択肢もあります。
失敗しないための注意点とリスク管理
リフォームローンと投資ローンの併用には、いくつかの落とし穴があります。これらを事前に理解し、適切に対処することが成功への道です。
最も避けたいのは、オーバーローンの状態です。物件の担保価値を超える借入をすると、将来的に売却が困難になります。金融機関は通常、物件評価額の80〜90%までしか融資しませんが、リフォーム費用を含めると評価額を超えてしまうケースがあります。この場合、自己資金を増やすか、リフォーム規模を縮小するなどの調整が必要です。
資金使途の混同も重大な問題です。投資ローンで借りた資金を自宅のリフォームに使う、あるいはリフォームローンで投資物件を改修するといった行為は、契約違反となり一括返済を求められる可能性があります。金融機関は融資後も資金の使途を確認するため、領収書や契約書の提出を求められることがあります。必ず正しい目的で資金を使用しましょう。
返済負担の過大評価にも注意が必要です。家賃収入を当てにしすぎると、空室が発生した際に返済が困難になります。国土交通省の統計によると、賃貸住宅の平均空室率は地域によって大きく異なり、都市部で10〜15%、地方では20〜30%に達することもあります。自分の物件がある地域の実態を把握し、保守的な収支計画を立てることが重要です。
健康リスクや収入減少リスクへの備えも忘れてはいけません。団体信用生命保険は投資ローンには付帯できますが、リフォームローンには付帯できない場合もあります。また、病気や失業で収入が減少した場合の返済計画も考えておく必要があります。収入保障保険や就業不能保険への加入も検討する価値があります。
専門家に相談するメリット
リフォームローンと投資ローンの併用は、個人で判断するには複雑な要素が多く含まれています。専門家のアドバイスを受けることで、より安全で効率的な資金計画を立てることができます。
ファイナンシャルプランナーは、総合的な資金計画の立案をサポートしてくれます。現在の収入や資産状況を分析し、無理のない借入額や返済計画を提案してくれるでしょう。また、税制面でのアドバイスも受けられます。不動産投資では減価償却費や借入金利を経費として計上できるため、適切な税務処理により手取り収入を増やすことが可能です。
不動産投資の専門家やコンサルタントは、物件選びから資金調達まで一貫したサポートを提供します。収益性の高い物件の見極め方や、リフォームの費用対効果についてアドバイスを受けられます。また、金融機関との交渉経験も豊富なため、有利な条件で融資を引き出すノウハウを持っています。
税理士への相談も重要です。不動産投資による所得は確定申告が必要になりますし、リフォーム費用の経費計上方法も複雑です。初年度から適切な税務処理を行うことで、将来的なトラブルを避けることができます。また、法人化のタイミングや相続対策についても相談できます。
金融機関の担当者との関係構築も大切です。複数のローンを利用する場合、メインバンクを決めて継続的に取引することで、信頼関係が生まれます。将来的に追加融資が必要になった際も、スムーズに対応してもらえる可能性が高まります。定期的に相談に訪れ、事業の進捗状況を報告することで、良好な関係を維持しましょう。
まとめ
リフォームローンと投資ローンの併用は可能ですが、それぞれの特性を理解し、慎重な計画が必要です。リフォームローンは自宅の改修用、投資ローンは収益物件の購入用と、目的が明確に区別されています。併用する際は返済負担率を30〜35%以内に抑え、両方のローン返済額を合算して審査されることを理解しておきましょう。
投資物件のリフォーム資金は、物件購入費と一括で投資ローンに含めるか、事業性ローンを利用するか、自己資金で対応するかを選択します。審査を通りやすくするには、返済能力の証明、現実的な収支計画、十分な自己資金の準備が重要です。返済計画では金利上昇リスクや空室リスクも考慮し、予備資金を確保しておくことが安全です。
資金使途の混同や過度な借入は避け、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。ファイナンシャルプランナーや不動産投資の専門家、税理士などに相談することで、より確実な資金計画を立てることができます。
不動産投資は長期的な視点で取り組むものです。焦らず、自分の返済能力に見合った計画を立て、着実に資産形成を進めていきましょう。適切な知識と準備があれば、リフォームローンと投資ローンの併用も十分に可能です。まずは金融機関に相談し、自分に合った資金調達方法を見つけることから始めてみてください。
参考文献・出典
- 全国銀行協会 – https://www.zenginkyo.or.jp/
- 国土交通省「住宅市場動向調査」 – https://www.mlit.go.jp/
- 日本銀行「金融政策」 – https://www.boj.or.jp/
- 全国賃貸住宅経営協会 – https://www.zenchin.com/
- 住宅金融支援機構 – https://www.jhf.go.jp/
- 金融庁「金融機関の融資審査基準」 – https://www.fsa.go.jp/