不動産投資を始めたいけれど、区分マンションと一棟アパートのどちらを選ぶべきか迷っていませんか。一棟アパートの一棟買いは初期投資が大きい分、リスクも高いと感じる方も多いでしょう。しかし実は、適切な知識と準備があれば、一棟アパートは安定した収益と資産形成を実現できる魅力的な投資手法なのです。この記事では、一棟アパート一棟買いの基本から、メリット・デメリット、成功するための物件選びのポイント、資金計画の立て方まで、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。これから不動産投資を始める方も、すでに区分マンションを所有している方も、一棟アパート投資の全体像を理解することで、次のステップへ進む判断材料が得られるはずです。
一棟アパート一棟買いとは何か

一棟アパート一棟買いとは、アパート建物全体とその敷地を丸ごと購入する不動産投資の手法です。区分マンション投資が建物の一室だけを所有するのに対し、一棟買いでは建物全体の所有権を得ることになります。つまり、複数の賃貸住戸すべてが自分の収益源となるわけです。
一般的な一棟アパートは、木造または軽量鉄骨造の2〜3階建てで、6〜12戸程度の規模が主流となっています。投資金額は立地や築年数によって大きく異なりますが、地方都市では3000万円台から、都心部では1億円以上の物件も珍しくありません。国土交通省の統計によると、2025年12月時点での全国アパート空室率は21.2%と前年比で0.3ポイント改善しており、適切な物件選びができれば安定した運用が期待できる環境にあります。
一棟買いの最大の特徴は、建物全体を自分の裁量で管理・運営できる点にあります。リフォームやリノベーションの自由度が高く、入居者募集の戦略も自分で決められます。また、土地と建物の両方を所有するため、将来的な資産価値の維持や建て替えといった選択肢も持てるのです。
ただし、一棟買いには相応の責任も伴います。建物の維持管理、入居者対応、修繕計画の立案など、オーナーとして幅広い業務に関わることになります。多くの投資家は管理会社に業務を委託していますが、最終的な意思決定は自分で行う必要があるため、不動産経営者としての視点が求められます。
一棟アパート投資の5つのメリット

一棟アパート一棟買いには、区分マンション投資にはない独自のメリットがあります。まず最も大きな利点は、複数の収益源を同時に確保できることです。例えば8戸のアパートを所有していれば、1戸が空室になっても残り7戸から家賃収入が得られます。区分マンションでは空室になると収入がゼロになりますが、一棟アパートならリスクを分散できるのです。
次に、土地の所有権を持てることも重要なメリットです。建物は年月とともに価値が下がりますが、土地は基本的に価値を保ちます。特に人口が安定している地域や、将来的な開発が見込まれるエリアでは、土地の資産価値が投資の安全性を高めてくれます。また、建物が老朽化した際には建て替えという選択肢もあり、長期的な資産運用の柔軟性が確保されます。
三つ目のメリットは、運営の自由度が高いことです。リフォームやリノベーションを自分の判断で実施でき、物件の競争力を高められます。例えば、ペット可物件に変更したり、インターネット無料サービスを導入したりと、入居者ニーズに合わせた差別化戦略を展開できます。区分マンションでは管理組合の承認が必要な工事も、一棟アパートなら自由に決められるのです。
四つ目は、規模のメリットを活かせる点です。複数戸をまとめて管理することで、1戸あたりの管理コストを抑えられます。また、リフォームや設備交換も一括発注することで、単価を下げられる可能性があります。さらに、金融機関からの融資も、収益性の高い一棟物件の方が有利な条件を引き出しやすい傾向にあります。
最後に、相続税対策としての効果も見逃せません。賃貸用不動産は相続税評価額が実勢価格より低く算定されるため、現金で相続するよりも税負担を軽減できます。特に一棟アパートは土地と建物の評価減を同時に受けられるため、資産承継の手段としても有効なのです。
一棟アパート投資のリスクと注意点
一棟アパート投資には魅力的なメリットがある一方で、しっかりと理解しておくべきリスクも存在します。重要なのは、初期投資額が大きいことです。区分マンションなら数百万円から始められますが、一棟アパートは最低でも数千万円、都心部では億単位の資金が必要になります。自己資金が不足していると、融資の返済負担が重くなり、キャッシュフローが悪化するリスクがあります。
空室リスクも慎重に考える必要があります。確かに複数戸あることでリスク分散はできますが、立地が悪かったり建物が老朽化していたりすると、複数戸が同時に空室になる可能性もあります。2025年12月時点で全国のアパート空室率は21.2%と、約5戸に1戸が空室という状況です。特に人口減少が進む地方都市では、将来的な需要減少を見据えた投資判断が求められます。
建物の維持管理コストも大きな負担となります。一棟アパートでは外壁塗装、屋根の修繕、給排水設備の更新など、大規模な修繕が定期的に必要です。木造アパートの場合、築10年で外壁塗装、築15年で屋根の補修、築20年で給排水管の更新といった具合に、数百万円単位の出費が発生します。これらの費用を事前に積み立てておかないと、突然の出費で資金繰りが悪化する恐れがあります。
災害リスクも一棟買いならではの課題です。地震や火災、水害などで建物が損傷すると、すべての収益源が一度に失われる可能性があります。火災保険や地震保険への加入は必須ですが、保険料も相応の負担となります。また、災害後の復旧には時間がかかり、その間の収入減少も覚悟しなければなりません。
さらに、売却時の流動性の低さも考慮すべき点です。区分マンションに比べて一棟アパートは買い手が限られるため、売却したいときにすぐに売れるとは限りません。特に地方の物件や築古物件は、売却に数ヶ月から1年以上かかることも珍しくありません。急な資金需要に対応しにくいという点は、投資計画を立てる上で重要な要素となります。
成功する一棟アパートの選び方
一棟アパート投資で成功するかどうかは、物件選びで8割が決まると言っても過言ではありません。基本的に最も重視すべきは立地条件です。駅から徒歩10分以内、できれば5分以内の物件が理想的です。通勤・通学の利便性が高いエリアは、空室リスクが低く、家賃も安定して確保できます。また、周辺にスーパーやコンビニ、病院などの生活施設が揃っていることも重要なポイントです。
人口動態の分析も欠かせません。総務省の人口統計や自治体の将来人口推計を確認し、今後10年、20年先も人口が維持される地域を選ぶことが大切です。特に単身者向けアパートの場合、大学や大企業の事業所があるエリアは需要が安定しています。一方、人口減少が著しい地域では、将来的に空室率が上昇し、家賃も下落する可能性が高いため避けるべきです。
建物の状態を正確に把握することも重要です。築年数だけでなく、実際の劣化状況を専門家に診断してもらいましょう。外壁のひび割れ、屋根の状態、給排水設備の老朽化など、目に見えない部分の問題が後々大きな出費につながります。購入前にホームインスペクション(住宅診断)を実施し、今後10年間で必要な修繕費用を見積もっておくことをおすすめします。
収益性の計算も慎重に行う必要があります。表面利回りだけでなく、実質利回りを必ず確認しましょう。実質利回りは、家賃収入から管理費、修繕費、固定資産税などの経費を差し引いた純収益を、物件価格で割って算出します。一般的に、都心部で実質利回り4〜6%、地方都市で6〜8%が目安となります。また、現在の入居状況だけでなく、過去の空室率や家賃の推移も確認し、楽観的すぎる収支計画を立てないよう注意が必要です。
法的なチェックも忘れてはいけません。建築基準法や都市計画法に適合しているか、違法建築や既存不適格建築物ではないかを確認します。また、土地の権利関係も重要で、借地権付きの物件は将来的な制約があるため、所有権の物件を選ぶのが基本です。さらに、前所有者との賃貸借契約の内容も引き継ぐことになるため、契約書の確認も必須となります。
一棟アパート購入の資金計画と融資戦略
一棟アパート投資を成功させるには、綿密な資金計画が不可欠です。まず自己資金として、物件価格の20〜30%を用意することが理想的です。例えば5000万円の物件なら1000万円から1500万円の自己資金が目安となります。自己資金比率が高いほど、金融機関の審査が通りやすくなり、融資条件も有利になります。また、月々の返済負担が軽減されるため、空室が発生してもキャッシュフローが悪化しにくくなります。
物件価格以外の諸費用も忘れずに計算に入れましょう。不動産取得税、登記費用、仲介手数料、火災保険料などを合わせると、物件価格の7〜10%程度が必要です。5000万円の物件なら350万円から500万円の諸費用がかかる計算になります。さらに、購入後すぐに必要な修繕費用や、空室対策のためのリフォーム費用も見込んでおく必要があります。
融資を受ける際は、複数の金融機関を比較検討することが重要です。都市銀行、地方銀行、信用金庫、日本政策金融公庫など、それぞれ融資条件が異なります。金利が0.5%違うだけでも、30年間の総返済額は数百万円の差が生じます。2026年2月現在、不動産投資ローンの金利は変動金利で1.5〜3.0%程度、固定金利で2.0〜4.0%程度が相場となっています。
変動金利と固定金利のどちらを選ぶかも重要な判断です。変動金利は当初の金利が低い反面、将来的な金利上昇リスクがあります。一方、固定金利は金利が高めですが、返済額が変わらないため長期的な計画が立てやすくなります。自分のリスク許容度や投資期間を考慮して選択しましょう。また、一部を固定金利、一部を変動金利にするミックスローンという選択肢もあります。
収支シミュレーションは、楽観的なシナリオだけでなく、厳しい条件でも作成することが大切です。空室率が20〜30%になった場合、金利が2%上昇した場合、大規模修繕が必要になった場合など、複数のシナリオで収支を計算します。どのような状況でも返済が滞らないよう、余裕を持った資金計画を立てることが、長期的な投資成功の鍵となります。
また、予備資金として最低でも100万円、できれば物件価格の5%程度を別途確保しておくことをおすすめします。突発的な修繕や、想定外の空室期間が発生した際に、この予備資金があれば慌てずに対応できます。不動産投資は長期戦ですから、短期的な収支の悪化に耐えられる財務体質を作っておくことが重要なのです。
一棟アパート運営を成功させる管理のポイント
一棟アパートを購入した後、安定した収益を上げ続けるには適切な管理が欠かせません。重要なのは、信頼できる管理会社を選ぶことです。管理会社は入居者募集、家賃の集金、クレーム対応、日常的な清掃など、幅広い業務を担当します。管理手数料は家賃収入の5〜10%が相場ですが、安さだけで選ぶのは危険です。実際に管理している物件を見学させてもらい、清掃状態や対応の質を確認することをおすすめします。
空室対策も継続的に取り組むべき課題です。入居者が退去したら、できるだけ早く次の入居者を見つける必要があります。そのためには、物件の魅力を維持・向上させる努力が必要です。例えば、無料インターネット設備の導入、宅配ボックスの設置、防犯カメラの増設など、時代のニーズに合わせた設備投資を検討しましょう。また、定期的な清掃や植栽の手入れで、物件の第一印象を良く保つことも大切です。
家賃設定も慎重に行う必要があります。周辺の相場より高すぎると空室が長引き、安すぎると収益性が下がります。不動産ポータルサイトで類似物件の家賃を調査し、自分の物件の築年数や設備、立地条件を考慮して適正な家賃を設定します。また、長期入居者には家賃を据え置く一方、新規入居者には市場価格を適用するなど、柔軟な家賃戦略も効果的です。
修繕計画を立てることも忘れてはいけません。大規模修繕は突然必要になるわけではなく、ある程度予測できます。外壁塗装は10〜15年ごと、屋根の補修は15〜20年ごと、給排水設備の更新は20〜25年ごとといった目安があります。これらの費用を毎月積み立てておけば、いざというときに慌てずに済みます。家賃収入の10〜15%を修繕積立金として確保しておくことをおすすめします。
入居者とのコミュニケーションも大切にしましょう。定期的に物件を巡回し、共用部分の状態をチェックするとともに、入居者の声に耳を傾けます。小さな不満や要望に迅速に対応することで、入居者の満足度が高まり、長期入居につながります。また、退去時のトラブルを防ぐため、入居時の契約内容を明確にし、原状回復の範囲についても事前に説明しておくことが重要です。
まとめ
一棟アパート一棟買いは、適切な知識と準備があれば、安定した収益と資産形成を実現できる魅力的な投資手法です。複数の収益源を確保できること、土地の所有権を持てること、運営の自由度が高いことなど、区分マンション投資にはないメリットがあります。一方で、初期投資額が大きいこと、維持管理コストがかかること、災害リスクがあることなど、注意すべき点も理解しておく必要があります。
成功の鍵は、立地条件の良い物件を選び、綿密な資金計画を立て、適切な管理を継続することです。人口動態を分析し、将来も需要が見込めるエリアを選びましょう。自己資金を十分に用意し、複数のシナリオで収支シミュレーションを行うことで、リスクを最小限に抑えられます。また、信頼できる管理会社と協力し、物件の魅力を維持・向上させる努力を続けることが、長期的な成功につながります。
不動産投資は短期間で大きな利益を得るものではなく、長期的な視点で資産を育てていく投資です。焦らず、一つひとつのステップを着実に進めていくことが大切です。まずは物件の情報収集から始め、実際に現地を見学し、信頼できる専門家に相談しながら、自分に合った投資計画を立てていきましょう。一棟アパート投資は、適切に取り組めば、あなたの将来の安定した収入源となり、豊かな人生を支える資産となるはずです。
参考文献・出典
- 国土交通省 住宅統計 – https://www.mlit.go.jp/statistics/details/t-jutaku-2.html
- 総務省統計局 人口推計 – https://www.stat.go.jp/data/jinsui/
- 国土交通省 不動産市場動向 – https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000085.html
- 日本銀行 金融経済統計 – https://www.boj.or.jp/statistics/index.htm
- 公益財団法人 不動産流通推進センター – https://www.retpc.jp/
- 一般財団法人 日本不動産研究所 – https://www.reinet.or.jp/
- 国土交通省 建築基準法関連情報 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000043.html