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賃貸の空室率は国土交通省で確認できる?正しい調べ方

不動産投資を検討する際、「このエリアの空室率はどれくらいなのか」と気になる方は多いでしょう。空室率は投資の成否を左右する重要な指標ですが、どこで正確なデータを入手できるのか分からず困っている方も少なくありません。「国土交通省で確認できるのでは」と考えて検索される方も多いはずです。

実は、賃貸住宅の空き家に関する最も基礎的な公式統計は、国土交通省ではなく総務省統計局が担っています。この記事では、どの機関のどのデータを見ればよいのかを整理しつつ、公式統計と民間データの使い分け、投資判断への活かし方まで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。

空室率を見る前に押さえておきたい基礎知識

データを探す前に、まずこの指標が何を示しているのかを正しく理解しておくことが大切です。空室率とは、賃貸住宅全体のうち入居者がいない住戸の割合を示す数値で、通常はパーセンテージで表されます。たとえば100戸のマンションで10戸が空室であれば、空室率は10%となります。

この指標が不動産投資で重視される理由は明確です。空き家が多いエリアでは賃貸需要が低く、物件を購入しても入居者が見つかりにくい可能性があります。反対に空き家が少ないエリアは需要が高く、安定した家賃収入が期待できるのです。全国的な状況を見ると、総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査の確報では、空き家数は900万2千戸、空き家率は13.8%といずれも過去最高を記録しています。ただし、地域によって大きな差があることも覚えておく必要があります。

ここで注意したいのは、統計上の空き家には複数の種類があるという点です。総務省の用語解説によると、「賃貸用の空き家」とは、新築・中古を問わず賃貸のために空き家になっている住宅を指します。一方で「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」は、転勤や入院による長期不在の住宅、取り壊し予定の住宅などが含まれます。不動産投資で重要なのは前者の賃貸用の空き家であり、統計を見る際はどの種類の数値なのかを必ず確認しましょう。なお、そのままでは生活できない、いわゆる「廃屋」は、この調査では住宅として扱われていません。

賃貸住宅の空室率は国土交通省で確認できるのか

多くの方が「国土交通省で確認できるのでは」と考えますが、賃貸住宅の空き家に関する基幹統計を担っているのは、実は総務省統計局です。統計局のFAQでも、人が居住していない住宅のうち空き家の数は、5年ごとに10月1日現在で実施される「住宅・土地統計調査」で調べられると明記されています。まずはこの点をしっかり切り分けておくことが、正しいデータ探しの出発点になります。

では国土交通省はどのような情報を持っているのでしょうか。同省が実施しているのは「空き家所有者実態調査」で、これは空き家の管理状況や利用意向などを所有者に尋ねる調査です。令和6年の調査は、令和5年住宅・土地統計調査で「空き家を所有している」と回答した世帯から抽出された調査対象を対象に行われました。つまりこの調査は所有者の意識を把握するものであり、賃貸市場の空室率を定期的に公表する統計ではない点に注意が必要です。

また、国土交通省は「不動産情報ライブラリ」というWebGISサービスも提供しています。地価公示や不動産取引価格といった価格情報のほか、学校や医療機関などの周辺施設、洪水浸水想定区域などの防災情報、都市計画、将来推計人口などを地図上に重ねて表示できるツールです。ただし、これは空室率そのものを直接確認するものではなく、あくまで周辺環境を調べる補助ツールとして活用するのが適切です。地域の将来性を判断する材料として、総務省の統計と組み合わせて使うとよいでしょう。

総務省「住宅・土地統計調査」が最も信頼できる基礎データ

賃貸住宅の空き家状況を正確に把握するうえで最も基本となるのが、総務省統計局の「住宅・土地統計調査」です。この調査は5年に1度実施される大規模な統計であり、直近の令和5年調査は2023年10月1日現在で実施されました。日本全国の住宅状況を詳細に把握できる、最も信頼性の高いデータ源といえます。

この調査の大きな特徴は、地域別の詳細なデータが公開されている点です。令和5年調査の基本集計は2024年9月25日に公表され、全国・都道府県・市区町村のレベルまで確認できます。統計データベースのe-Statでも、この基本集計が405件のデータとして公開されています。ただし、公表範囲には条件があり、市・区に加えて人口1万5千人以上の町村の結果が提供される形になっています。小規模な自治体では単独のデータが得られない場合がある点は理解しておきましょう。

賃貸投資の観点で特に注目したいのが、共同住宅の空き家の内訳です。令和5年調査では、全国の空き家900.2万戸のうち賃貸用の空き家が443.6万戸を占めています。さらに共同住宅の空き家502.9万戸のうち、実に394.7万戸が賃貸用で、これは共同住宅の空き家全体の78.5%にあたります。統計局の概要資料でも「共同住宅の空き家の約8割が賃貸用の空き家」と明記されており、賃貸市場の実態を色濃く反映していることが分かります。

なお、「賃貸用住宅の空室率」という言葉を使う場合は、その定義を意識しておくことが大切です。国土交通省の資料では、借家ストックに占める賃貸用空き家率の算定式として、賃貸用空き家戸数を「居住世帯あり借家+賃貸用空き家」で割る考え方が示されています。単に空き家数を見るのではなく、こうした比率で捉えることで、市場全体に対する空きの度合いをより実態に近い形で把握できます。

ただし、この調査は5年に1度、しかも特定の時点のストックを捉えた統計です。学生や新社会人の移動による月々の変動を追うものではありません。基礎データとしてしっかり押さえつつ、より新しい動きは次に紹介する民間データで補うのが賢明な使い方です。

民間企業が提供する空室率データを補助的に活用する

公的統計は信頼性が高い一方で、更新頻度が低いという課題があります。そこで補助的に活用したいのが、民間企業が提供するより新しい空室率データです。市場の直近の動向を反映しているため、投資判断の精度を高める助けになります。

代表的なものに、タス株式会社が開発した空室率TVIという指標があります。これは民間住宅情報会社に公開された情報を空室のサンプリングとし、募集建物の総戸数をストックのサンプリングとして算出する民間指標です。同社は空室率や募集期間などの賃貸住宅指標を毎月更新して公開しており、直近の市場感を掴むのに役立ちます。

ここで重要なのは、民間の空室率は公式統計とは性質が異なる点です。タスの解説でも、算出方法や使用するデータ属性が異なるうえ、入居者の動きが常に流動的であることから、指標ごとに結果が異なると説明されています。さらに、民間の空室率は調査を行った時点の瞬間的な数値です。したがって、公式統計の数字と民間の数字を単純に比較することは適切ではありません。それぞれの成り立ちを理解したうえで、傾向を読むための材料として使うのがよいでしょう。

このほか、不動産情報サイトが公開する募集家賃の動向や掲載件数などのデータも参考になります。空室率、募集家賃、掲載件数、成約率など、レポートごとに扱う指標は異なりますので、自分が知りたい情報が何なのかを意識して選ぶことが大切です。公式統計と民間データをそれぞれの特性に応じて組み合わせることで、多角的な視点から市場を理解できます。

地域別データを効率的に調べる方法

全国的な状況を把握したら、次は投資を検討している具体的な地域の詳細を調べることが重要になります。地域によって賃貸市場の特性は大きく異なるため、ピンポイントで情報を集めることが投資成功への近道です。

まず基本となるのは、前述の住宅・土地統計調査の市区町村別データです。e-Statで対象の自治体を選び、賃貸用の空き家数や空き家率を確認しましょう。あわせて各都道府県や市区町村の公式サイトでも、地域の住宅事情に関する統計資料が公開されていることがあります。調べたい自治体名と「住宅統計」や「空き家」といったキーワードを組み合わせて検索すると、関連資料を効率的に見つけられます。

さらに、国土交通省の不動産情報ライブラリを併用すると、地域の将来性を立体的に判断できます。将来推計人口や都市計画、周辺施設の状況を地図上で確認できるため、現在の空き家状況だけでなく、その地域が今後どう変化していくのかを見通す材料になります。現時点で空き家が少なくても人口減少が予測される地域はリスクが高まりますし、逆に再開発が進む地域では将来的な需要増が期待できるかもしれません。

空室率データを投資判断に活かすポイント

データを集めることができたら、次はそれを実際の投資判断にどう活かすかが重要になります。数値を眺めるだけでなく、背景にある市場の動きを読み解くことが、成功への鍵となります。

まず意識したいのは、時系列での変化を確認することです。住宅・土地統計調査は5年ごとの調査なので、過去の調査結果と比較すれば、その地域の賃貸市場が上昇傾向にあるのか下降傾向にあるのかが見えてきます。賃貸用空き家が増え続けている地域は需要が減退している可能性があり、慎重な検討が必要です。ただし、適正な水準の目安は物件の種類や立地によって変わるため、個別事情によって異なる点は理解しておきましょう。

次に、周辺エリアとの比較も欠かせません。隣接する市区町村と比べて、投資を検討している地域の数値がどの位置にあるのかを確認します。周辺よりも明らかに空き家が多い場合、交通の便や商業施設の少なさなど、その地域特有の要因が入居者から敬遠されている可能性があります。逆に周辺より少ない水準を保つ地域には、入居者を引きつける魅力があると考えられます。

最終的な物件選びでは、マクロな統計データとミクロな現地調査を組み合わせることが理想です。統計上は有望と判断した地域でも、実際に現地を訪れて周辺環境や競合物件を自分の目で確認することが重要です。駅からの距離や街の雰囲気など、入居者が重視する要素は数字だけでは把握しきれません。データ分析と現地調査の両方を行うことで、投資判断の精度は格段に高まります。

まとめ

賃貸住宅の空室率は不動産投資で最も重要な判断材料の一つですが、信頼できるデータをどこで入手するかを知ることが成功への第一歩となります。「国土交通省で確認したい」と考える方は多いものの、賃貸住宅の空き家に関する基幹統計は総務省統計局の「住宅・土地統計調査」が担っています。この調査では市区町村レベルまで、賃貸用の空き家数や空き家率を確認できます。

国土交通省からは、空き家所有者実態調査や不動産情報ライブラリを通じて、所有者の意向や地域の将来性に関する情報を得られます。これらの公式データに加えて、タス株式会社などが提供する民間指標を活用すれば、直近の市場動向まで把握できます。ただし民間の数値は算出方法や時点が公式統計と異なるため、単純比較は避けましょう。

重要なのは、単に数値を確認するだけでなく、時系列での変化や周辺地域との比較といった多角的な視点で分析することです。まずは総務省統計局やe-Statで、気になる地域の空き家状況を確認することから始めてみてください。正しいデータの見方を身につけることが、成功する不動産投資への確かな一歩となるはずです。なお、最新の統計値や公表状況は各公的機関の公式サイトで必ずご確認ください。

参考文献・出典

  • 総務省統計局 令和5年住宅・土地統計調査 – https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/index.html
  • 総務省統計局 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果 – https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/pdf/kihon_gaiyou.pdf
  • 総務省統計局 統計FAQ 空き家の数及び空き家率 – https://www.stat.go.jp/library/faq/faq18/faq18a02.html
  • e-Stat 住宅・土地統計調査 令和5年基本集計 – https://www.e-stat.go.jp/stat-search/database?toukei=00200522
  • 国土交通省 令和6年空き家所有者実態調査 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/R6_akiya_syoyuusya_jittaityousa.html
  • 国土交通省 不動産情報ライブラリとは – https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/tochi_fudousan_kensetsugyo_tk17_000001_00038.html

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