いざ不動産投資を始めようと思っても、「物件価格が高くて手が届かない」「空室が出たらどうしよう」と不安になる方は多いはずです。とくに都心の新築マンションは平均7,580万円(不動産経済研究所、2025年9月)と聞くと、初心者にはハードルが高く感じられます。しかし実は、ワンルームマンションなら2,500万〜3,500万円前後から投資可能で、比較的少額の自己資金でもスタートできます。本記事では「マンション投資 ワンルーム なぜ」と疑問を抱く読者に向けて、なぜワンルームが選ばれるのかを仕組みからリスク管理まで丁寧に解説します。読み終えた頃には、物件選びの基準と2025年度の最新制度を踏まえた具体的な次の一歩が明確になるでしょう。
ワンルームマンション投資が注目される背景

まず押さえておきたいのは、都心部に集中する単身世帯の増加です。総務省「住民基本台帳人口移動報告」によると、2024年度に東京23区へ転入した20〜34歳の単身者は前年より4.1%増えました。こうした若年単身者は駅近のワンルームを好む傾向が強く、高い入居需要が維持されています。また共働き世帯の増加で、平日は都心で一人暮らしをする「週末同居型」のニーズも生まれ、賃貸需要の裾野が広がっています。
一方で、ファミリー向けマンションは価格高騰に加え、取得税や維持費も重く、初心者がいきなり手を出すにはリスクが大きいのが現実です。対照的に、ワンルームは購入価格が抑えられ、ローン返済額も軽くなるため、空室期間が生じても家計へのインパクトが小さく済みます。つまり、投資規模をコントロールしながら都心の旺盛な賃貸需要を取り込める点が、ワンルームが注目される直接的な理由といえます。
小規模でも成立する投資モデルの仕組み

ポイントは、家賃とローン返済額のバランスが取りやすい点にあります。たとえば、3,000万円の中古ワンルームを金利1.8%、期間30年で融資を受けると、月々の返済はおよそ10万円です。同じエリアでの平均家賃が12万円なら、表面利回りは4.8%前後となり、管理費・修繕積立金を差し引いても一定のキャッシュフローが期待できます。
またワンルームは専有面積が小さい分、修繕費の負担割合も低く、長期保有コストを抑えやすいのが特徴です。管理会社によるサブリース(一定賃料保証)契約も数多く提供され、空室リスクを限定的にできる選択肢があります。ただし保証賃料は相場より10〜15%下がることが一般的で、長期的に見ると自己募集型のほうが収益性は高くなる傾向です。
さらに、所得税の節税効果も小規模物件なら実感しやすい点が見逃せません。建物部分の減価償却費を計上することで、給与所得と損益通算が可能です。2025年度税制改正では、不動産所得の赤字を給与所得と通算できる上限が年200万円までに制限されましたが、ワンルーム規模なら十分に活用できる範囲内に収まるケースが多いです。
収支シミュレーションで見るメリットと注意点
重要なのは、楽観的な家賃設定だけで判断しないことです。国土交通省「賃貸住宅市場調査」によると、築15年を超えると平均家賃は新築時の約87%まで下落しています。購入前に少なくとも家賃10%減、空室率10%のストレスシナリオを織り込み、金利が1%上昇した場合でも毎月の持ち出しがないか確認しましょう。
また修繕積立金は築年数とともに上昇します。一般的に築20年を過ぎると月額5,000円以上の増額が予告されることも珍しくありません。シミュレーションでは、管理組合の長期修繕計画案を読み込み、将来の負担増を計算に入れておくことが欠かせません。
一方で、家賃上昇の余地にも目を向けたいところです。近年のインバウンド需要回復で東京の中心部ではマンスリーレンタルや法人契約が増え、通常賃料より高い条件で貸し出す事例が出ています。物件の立地が駅徒歩5分以内、かつ再開発エリアに近い場合は、賃料を維持・向上させやすく、中長期での収益安定につながります。
2025年度の税制・融資環境を押さえる
実は、2025年度も個人投資家向けの融資姿勢は「堅調ながら選別強化」という状況が続いています。日本政策金融公庫のデータでは、ワンルーム投資目的の融資平均金利は1.65%で前年とほぼ横ばいですが、自己資金比率20%以上を求める金融機関が増加しています。したがって頭金は物件価格の2割を目安に用意し、残りの諸費用(登記費用・仲介手数料など)も含めると、300万円程度の自己資金が現実的なラインとなります。
税制面では前述の通り、損益通算の上限が年200万円に設けられたものの、建物の減価償却自体は従来通り可能です。さらに2025年度から適用される「相続時精算課税の特例拡充」により、親からの贈与で投資資金を受け取る場合、最大1,100万円まで非課税枠を利用できる点も見逃せません。期限は2026年12月末までと定められているため、親族間で資金援助を検討している人は早めに相談すると良いでしょう。
ローン控除は居住用のみ対象なので、投資用物件には適用されません。しかし長期譲渡所得の税率は保有5年超で20.315%に抑えられるため、出口戦略として6〜8年後の売却を想定すると、キャピタルゲインにも一定の優遇が期待できます。
成功のためにまず取り組むべきステップ
まず最初に行うべきは、資金計画と目標設定の明確化です。毎月いくらのキャッシュフローを得たいのか、将来売却益を重視するのかによって、選ぶエリアも築年数も変わります。次に3社以上の仲介会社から資料を取り寄せ、提案内容と試算方法を比較することで、数字の妥当性が見えてきます。
物件見学の際は、昼と夜の両方に周辺を歩き、騒音や治安を体感することが欠かせません。現地でゴミ置き場の管理状況やエントランスの清潔感まで確認すれば、入居者層を具体的にイメージできます。加えて、管理組合の議事録を読み、滞納者の有無や大規模修繕の合意状況をチェックすると、将来のトラブルを未然に防げます。
最後に、融資条件が確定したら購入前のシミュレーションを再度アップデートし、最悪ケースでも耐えられるか検証してください。家賃保証に頼り切らず、適正な賃料設定と入居者サービス向上を意識した運営が、長期的なリターンを高める鍵となります。
まとめ
今回の記事では、「マンション投資 ワンルーム なぜ」という疑問に、需要構造・収支モデル・税制と融資環境の三方向から答えました。都心の単身世帯増加を追い風に、ワンルームは少額からでも安定収益を狙える現実的な選択肢です。ただし楽観的な数字だけで判断せず、家賃下落や修繕費上昇を織り込んだシミュレーションが不可欠です。まずは自己資金の目安を立て、複数の物件情報を比較しながら、自分のリスク許容度に合った一室を選ぶことから始めましょう。行動を先送りせず、市場調査と資金計画を丁寧に積み上げれば、ワンルーム投資は将来の安定収入を生む強力な資産形成ツールとなります。
参考文献・出典
- 不動産経済研究所 – https://www.fudousankeizai.co.jp
- 国土交通省 住宅局「賃貸住宅市場調査」 – https://www.mlit.go.jp
- 総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」 – https://www.stat.go.jp
- 日本政策金融公庫「融資制度の概要」 – https://www.jfc.go.jp
- 東京都都市整備局「都市計画基礎調査」 – https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp