不動産の税金

不動産投資ローン借り換えで儲かる秘訣

不動産投資を続けていると、ローン残高はまだ多いのに家賃収入は伸び悩み、思ったほど手元にお金が残らないという悩みにぶつかりがちです。特に昨今は金利差が小さいため「借り換えてもメリットがあるのか」と疑問を持つ方が増えています。そこで本記事では、不動産投資ローンの借り換えが本当に「儲かる」かどうかを、最新の金利動向と具体的な計算例を用いて解説します。読み終えたとき、借り換え判断の基準と実行手順がはっきり分かり、資産最大化へ向けた次の一歩を踏み出せるはずです。

不動産投資ローン借り換えとは何か

不動産投資ローン借り換えとは何かのイメージ

まず押さえておきたいのは、借り換えが「既存ローンを新しいローンで完済し、条件を刷新する行為」だという点です。住宅ローンと似ていますが、投資用の場合は金利も審査基準も厳しめで、ほんの0.5%の差でも収支に大きな影響が出ます。

次に、2025年9月時点での平均金利を確認しましょう。全国銀行協会の統計では、変動型が年1.5〜2.0%、10年固定型が2.5〜3.0%となっています。仮に2018年に年3.2%固定で借りたままのオーナーが、現在の2.5%に借り換えられれば、金利差0.7ポイントが削減可能です。

しかし、金利差だけでは判断できません。借り換え時には保証料や事務手数料、場合によっては違約金が発生し、総コストが数十万円から100万円を超えることもあります。つまり、差し引きでメリットを出すには「返済残期間」と「残高」が十分にあることが前提です。

このように、借り換えは単なる金利の置き換えではなく、残債・期間・諸費用を総合的に勘定して初めて有効性が見えてきます。まずは自分のローン情報を整理し、諸費用込みの総支払額を試算することが出発点となります。

借り換えで本当に儲かる仕組み

借り換えで本当に儲かる仕組みのイメージ

重要なのは、金利差による経費削減がキャッシュフローにどう響くかを理解することです。年間返済額が減れば、その分が毎月の収益に直結し、物件の純利回り(実質的な財布に入る利回り)が改善します。

具体例で考えてみましょう。残高5,000万円、残期間20年、金利3.2%のローンを2.5%に借り換えた場合、年間返済額は約36万円下がります。諸費用として80万円かかったとしても、2年3か月で回収でき、その後は毎年36万円の利益増です。さらに、利息部分が減るため所得税や住民税の控除対象額が減少し、手取りはもう少し増えるケースが多いです。

また、金利が下がれば借り入れ余力が生まれ、次の物件購入の頭金を抑えられる可能性もあります。資産拡大フェーズにある投資家にとっては、これが大きなレバレッジとなり得ます。一方で、物件の築年数が進み評価額が下がっている場合、融資審査が厳しくなり借り換え自体が難しいこともあります。

言い換えると、「儲かる」かどうかは単なる金利比較ではなく、費用回収期間・税効果・将来の投資戦略を含めて判断する必要があります。目先の金利だけに目を奪われず、長期的なキャッシュフローをシミュレーションすることがカギです。

借り換え判断のチェックポイント

ポイントは、客観的な数値と銀行の審査条件を両輪で確認することです。まず、自己資本比率が10%以上あり、延滞履歴がないことは大前提となります。その上で、残りの返済期間が10年以上、残高が1,500万円以上あれば、借り換えによるメリットが出やすいとされています。

さらに、2025年度の主要地銀は「築30年以内」「入居率90%以上」の物件を優先的に扱う傾向があります。収益性が安定しているデータを示せれば、同一金利でも審査結果が有利になるため、直近2年の収支表と修繕履歴を整理しておきましょう。

ここで見落としがちなポイントが、団体信用生命保険(団信)の保障内容です。古いローンでは疾病保障がついていない場合があり、新ローンでカバー範囲が広がると万一の際に残債がゼロになるメリットがあります。逆に、団信費用が金利に上乗せされる商品もあるため、保障と金利のトレードオフを慎重に見極めるべきです。

最後に、借り換え後の毎月返済額が家賃収入の50%を超えないように調整することが安全運用の目安になります。空室や家賃下落が続いても黒字を保てる設計になっていれば、借り換えは長期的に利益をもたらす手段となります。

2025年度の金利動向と活用戦略

実は、2025年度の国内金利は日銀の緩和姿勢が維持される見通しで、大幅上昇のリスクは限定的とされています。日本銀行「マネタリーレポート」では、短期政策金利の据え置きが続く想定が示され、民間銀行の変動型金利も横ばい圏にとどまる予測が優勢です。

一方で、欧米では利上げ局面が一巡しつつあるものの、外債利回りの変動が国内長期金利へ波及する可能性も指摘されています。そのため、10年固定タイプの金利はやや先高観があり、いま2.5%前後で借り換えておけば、将来の金利上昇リスクを抑えられます。

借り換え戦略としては、残期間15年以上のローンは固定10年型、残期間が短い場合は変動型での借り換えがコスト最小化に結びつきやすいです。このハイブリッド戦略により、将来の金利上昇時に再度固定へ切り替える選択肢を残しておけます。

加えて、2025年度は国土交通省の「賃貸住宅修繕支援融資」が存続しており、外壁改修や省エネ設備を行うと金利が0.2%程度優遇される制度があります。設備更新と借り換えを同時に行えば、修繕費を抑えつつ家賃アップも狙えるため、複合的な資産価値向上策として検討する価値があります。

まとめ

借り換えが「儲かる」かどうかは、金利差だけでなく諸費用や将来の投資計画まで含めた総合判断が欠かせません。残期間と残高が十分にあり、諸費用を2〜3年で回収できる見込みが立つなら、毎年のキャッシュフローを押し上げる強力な手段となります。また、固定と変動を組み合わせて金利上昇リスクを分散し、修繕支援融資などの優遇制度を活用すれば、物件価値も同時に高められます。今日から自分のローンデータを整理し、金融機関へシミュレーションを依頼することで、資産拡大への第一歩を踏み出してみてください。

参考文献・出典

  • 全国銀行協会 – https://www.zenginkyo.or.jp
  • 日本銀行 マネタリーレポート – https://www.boj.or.jp
  • 国土交通省 賃貸住宅修繕支援融資概要 – https://www.mlit.go.jp
  • 総務省 人口推計 – https://www.stat.go.jp
  • 住宅金融支援機構 2025年度ローン金利動向 – https://www.jhf.go.jp

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