不動産の税金

店舗系収益物件で安定収入を得る実践戦略

「店舗物件は空室リスクが高いのでは」という不安を抱える投資家は少なくありません。住居系と比べてテナントが見つかりにくいイメージがあるからです。しかし飲食やサービス業の需要が根強いエリアを選べば、むしろ長期契約が期待でき、家賃交渉の余地も広がります。本記事では店舗の収益物件を検討する際の判断基準から、2025年度の融資・税制情報までをわかりやすく解説します。読み終える頃には、初心者でも具体的な行動計画を描けるようになるはずです。

店舗収益物件が注目される3つの背景

店舗収益物件が注目される3つの背景

まず押さえておきたいのは、商業地の地価が底打ちから緩やかな上昇局面に入っているという事実です。国土交通省の2025年地価公示によると、三大都市圏の商業地は前年比で平均3.8%上昇し、地方中核都市でもプラス0.9%を記録しました。住宅地より価格変動は大きいものの、好立地ではテナントが長く定着し、安定した賃料収入を確保しやすい傾向が強まっています。

次に注目したいのが、地方自治体による中心市街地活性化策です。たとえば福岡市や金沢市では新規出店向けの補助金制度が整備され、店舗賃料の一部を行政が負担しています。投資家にとっては実質利回りが底上げされるため、住居系物件と比べた魅力度が増しているのです。こうした地域では空室率も低下傾向にあり、安定運用を目指す個人投資家の参入が増えています。

さらに、ライフスタイルの変化で「体験型サービス」への需要が拡大している点も見逃せません。美容やフィットネス、パーソナルトレーニングといった業種はオンライン化が難しく、リアルな店舗が欠かせません。これらの業種は長期契約を結びやすく、内装の原状回復費もテナント負担が一般的です。つまりオーナーは修繕リスクを抑えながら、家賃収入の見通しを立てやすくなるわけです。

利回りとキャッシュフローの正しい読み解き方

利回りとキャッシュフローの正しい読み解き方

店舗物件を評価するうえで最も重要なのは、表面利回りだけで判断しないことです。都市部の店舗物件は表面利回りで6〜9%が目安とされますが、実質利回りを計算するには空室損失や修繕積立金を差し引く必要があります。たとえば東京都心の築20年商業ビルを購入するケースを考えてみましょう。共益費込みの年間家賃収入が1,200万円、運営費が250万円、ローン返済が600万円であれば、手元に残る年間キャッシュフローは350万円となります。

また、複数テナント型と単独テナント型ではリスク構造が大きく異なります。複数テナント型は一部が退去しても収入への影響が限定的ですが、共用部の清掃や設備更新にコストがかさみやすいのが特徴です。一方で単独テナント型は管理が楽な反面、退去時の空白期間が長引くおそれがあります。キャッシュフローを保守的に見積もるなら、単独型は半年、複数型は3カ月の空室期間を織り込んでおくと安心です。

金利変動リスクにも目を向けておきましょう。日本政策金融公庫の2025年度融資統計によると、店舗併用物件への事業用ローン平均金利は2.1%前後で推移しています。仮に金利が1%上昇すると、30年間の総返済額は約15%増加します。したがって金利上昇シナリオを織り込んだシミュレーションを事前に行い、返済余力を確認しておくことが欠かせません。

立地とテナント属性を見極めるポイント

店舗投資で成否を分けるのは、何といっても立地選定です。その際に意識したいのが「昼間人口と夜間人口の差」を読み解くことです。総務省の住民基本台帳データとNTTドコモのモバイル空間統計を組み合わせると、日中は人口が3倍以上に膨らむビジネス街も珍しくありません。ランチ需要が高いエリアなら飲食テナントの回転率が上がり、家賃水準も維持されやすくなります。

視認性と人の導線も収益に直結する要素です。駅改札から徒歩3分以内で、かつ交差点の角地に位置する物件は、周辺平均と比べて坪当たり家賃が15〜20%高いという民間調査があります。立地を評価するときは「駅からの距離」だけでなく、実際に現地を歩いて人の流れを体感することが大切です。歩行者の動線上にあるか、看板が遠くからでも目立つかを自分の目で確かめましょう。

テナントの信用力を調べる際は、商業登記簿で資本金や決算期を確認し、信用調査会社の報告書で与信状況を把握します。家賃保証会社との契約があれば安心材料になりますが、最終的にはビジネスモデルの持続性を見抜く目が必要です。たとえばフランチャイズ店は本部のサポートが手厚く、業績連動型ロイヤリティ制度を採用している場合は倒産リスクが低いとされています。こうした情報を総合的に判断し、長期入居が見込めるテナントを選びましょう。

2025年度の融資環境と税制優遇を活用する

店舗物件向けの融資には、住居系とは異なる評価軸が存在します。金融機関はテナントの信用力と事業計画を重視し、LTV(借入比率)を70%程度に制限する傾向があります。自己資金を3割用意できれば審査に通りやすく、金利優遇も受けやすいと覚えておきましょう。逆に自己資金が少ないと審査が厳しくなるだけでなく、金利条件も不利になりがちです。

税制面では、2025年度も「中小企業経営強化税制」が継続しています。一定の設備投資を行った場合、即時償却または10%の税額控除を選択できる制度です。貸主が物件の省エネ改修を実施するケースは対象になりやすく、原状回復工事と同時に断熱改修を行えば実質的な節税効果が期待できます。この制度は2027年3月期の取得分までが期限となっているため、早めの計画立案が重要です。

固定資産税の軽減措置にも目を向けると、さらにメリットが広がります。東京都の「先端設備導入計画」の認定を受けると、設備取得後3年間にわたり固定資産税が0.7%から0.35%へ半減されます。利回りに換算すると0.3〜0.5ポイントの上乗せ効果があり、長期保有を前提とする投資では無視できないインパクトです。制度の詳細は自治体ごとに異なるため、購入検討エリアの最新情報を確認してください。

運営管理で差をつける実践テクニック

店舗物件の運営では、費用対効果の高いリノベーションを検討することが収益改善の第一歩です。店舗ではスケルトン渡しが基本となっているため、内装工事をテナント負担にすれば退去時の原状回復義務を免除できます。オーナーが投資すべきは給排水や空調といった基幹設備で、これらを更新するだけでも物件の募集力は大幅に高まります。

賃料改定のタイミングを見極めることも重要な戦略です。テナントが黒字化して3年目に入った頃が交渉の好機とされています。帝国データバンクの調査によれば、店舗の開業から3年後の生存率は約72%で、黒字店の平均営業利益率は9.1%に達します。利益が安定した段階で5%程度の増額交渉を提示すると、移転コストを嫌うテナントは応じやすい傾向があります。ただし無理な増額要求は退去リスクを高めるため、テナントとの信頼関係を維持しながら進めましょう。

将来の売却益を見据えた出口戦略も欠かせません。店舗系の収益物件は賃料査定に基づいて売却価格が決まります。ネット利回りを8%から7%へ改善できれば、同じ家賃収入でも評価額は約14%上昇する計算です。管理会社と連携して運営データを蓄積し、買い手が読みやすいレポートを整えておくと売却交渉で有利に働きます。日々の収支記録を丁寧につけることが、長期的な資産価値向上につながるのです。

まとめ:店舗収益物件で成功するための三原則

店舗系収益物件で安定収入を得るには、「立地選定」「信用力の高いテナント確保」「制度活用によるコスト削減」の三点が鍵となります。保守的なキャッシュフロー計算を行いながら、2025年度の税制優遇や融資条件を上手に取り込めば、住居系よりも高いネット利回りを実現することは十分に可能です。

まずは気になるエリアの現地調査から始めてみてください。人の流れを観察し、周辺店舗の業態や稼働状況をチェックすることで、データだけでは見えないリアルな市場感覚が養われます。同時に資金計画を並行して進め、購入候補物件をリストアップしていきましょう。行動を起こした分だけ、安定収入への道は確実に近づいてきます。

参考文献・出典

  • 国土交通省 地価公示2025年 – https://www.mlit.go.jp
  • 日本政策金融公庫 融資統計データ2025 – https://www.jfc.go.jp
  • 総務省 住民基本台帳人口移動報告2024 – https://www.soumu.go.jp
  • NTTドコモ モバイル空間統計レポート2025 – https://mobaku.jp
  • 帝国データバンク 業種別業績推移2025 – https://www.tdb.co.jp

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