「イムズってなぜ閉館したの?」「跡地はどうなっているの?」と気になっている方は多いのではないでしょうか。福岡・天神のランドマークとして長年親しまれてきたイムズが2021年に営業を終了したとき、多くの人が驚きと寂しさを感じたことと思います。この記事では、イムズが閉館した本当の理由を、公式発表をもとにわかりやすく解説します。単なる「売上不振」ではなく、都市の未来を見据えた大きな計画が背景にあったことが見えてきます。閉館の経緯から跡地の現状まで、順を追って確認していきましょう。
イムズの閉館はいつ?まず基本情報を整理する

イムズの営業終了日は、2021年8月31日です。三菱地所株式会社が2020年9月に公式に発表した情報によると、この日をもって正式に閉館となりました(福岡市・三菱地所 2020年9月14日付プレスリリース)。
イムズは1989年に開業した、三菱地所初の都心型商業施設です。福岡市中央区天神に位置し、30年以上にわたって地域の文化・ファッション・飲食の発信地として多くの市民に愛されてきました。「インターナショナル・マーケット・スクエア」の略称であるイムズは、その個性的なコンセプトと洗練された雰囲気で、天神エリアを代表する存在でした。
閉館の発表は実は2019年1月にさかのぼります。三菱地所は同月、「イムズの営業を2021年度内に終了し、再開発に着手することを決定した」と公式に発表しています(三菱地所 2019年1月9日付プレスリリース)。つまり、閉館の約2年半前にはすでに方針が固まっていたことになります。
閉館の本当の理由は「売上不振」ではなかった

イムズの閉館理由について、「集客が落ちたから」「テナントが撤退したから」と思っている方もいるかもしれません。しかし、三菱地所の公式発表を読むと、閉館の主な理由は再開発計画の推進にあったことがわかります。
三菱地所は2019年の発表の中で、「新時代の天神に求められるニーズに応えるべく、これまでイムズが担ってきた機能に加え、再開発により新たな価値を創造する」と説明しています(三菱地所 2019年1月9日付プレスリリース)。これは、既存の商業施設としての役割を終わらせ、より時代に合った複合施設へと生まれ変わらせるという積極的な判断です。
さらに2020年の発表では、「ポスト・コロナ時代におけるワークスタイル・ライフスタイルの変化を転機ととらえ、感染症対策を踏まえた安全・安心なまちづくりと、高付加価値なビルへの機能更新とを両輪で推し進める」という方針も示されました(福岡市・三菱地所 2020年9月14日付プレスリリース)。コロナ禍という社会的な変化も、建替えの方向性をより明確にする後押しとなったといえます。
つまり、イムズの閉館は「うまくいかなかったから終わる」のではなく、「次のステージへ進むために終わる」という前向きな決断だったのです。
天神ビッグバンとは何か、閉館との関係
イムズの閉館を語るうえで欠かせないのが、福岡市が推進する「天神ビッグバン」という都市開発施策です。この政策を知ることで、なぜ今このタイミングで再開発が進んでいるのかが理解できます。
天神ビッグバンとは、福岡市が主導する民間ビルの建て替え誘導施策です。福岡市の公式情報によると、この施策は「警固断層のリスクがある中、航空法の高さ制限の緩和や、市の独自の容積率緩和制度を活用し、更新期を迎えたビルが耐震性の高い先進的なビルに建て替わることにより、多くの市民や、働く人・訪れる人の安全・安心につながる」ものとして位置づけられています(福岡市 天神ビッグバン関連ページ)。
簡単にいえば、老朽化したビルを最新の耐震基準を満たす高機能なビルへと刷新することで、天神エリア全体の競争力と安全性を高めようという取り組みです。三菱地所の発表でも、「現在天神地区では、福岡市による民間ビルの建て替え誘導施策『天神ビッグバン』が推進されており、規制緩和メニューを活用した開発計画が複数予定されている」と明記されています(三菱地所 2019年1月9日付プレスリリース)。
イムズはまさにこの天神ビッグバンの対象となるエリアに位置していました。エリア全体の将来像が大きく変わろうとしているなかで、三菱地所がイムズの建替えを決断したのは、都市の流れに沿った自然な判断だったといえるでしょう。
閉館を決めた3つの背景を整理する
ここまでの内容を踏まえると、イムズが閉館した背景には大きく3つの要因があったと整理できます。
まず1つ目は、天神ビッグバンによる都市再開発の波です。福岡市が主導するこの施策により、天神エリアでは複数のビルが建て替えを予定しており、イムズもその流れの中に位置していました。エリア全体の将来像が変化するなかで、現状維持よりも機能更新を選ぶことが合理的な判断でした。
2つ目は、新時代のニーズへの対応です。商業施設一本足打法の施設から、オフィス・ホテル・商業が融合した複合型施設へと転換することで、より多様な利用者のニーズに応えることが目指されました。働き方や暮らし方が変化するなかで、施設のあり方そのものを見直す必要があったのです。
3つ目は、ポスト・コロナ時代への対応です。2020年の発表では、コロナ禍を転機として捉え、感染症対策を踏まえた安全・安心なまちづくりを進めるという方針が示されました。時代の変化を前向きに取り込む姿勢が、建替えの決断をより強固なものにしたといえます。
これら3つの要因が重なり合い、イムズは2021年8月31日をもって30年以上の歴史に幕を下ろしました。
イムズ跡地は今どうなっているのか
閉館から数年が経過した現在、イムズの跡地では大規模な再開発プロジェクトが進行しています。三菱地所の2024年5月の発表によると、「(仮称)天神1-7計画」と名付けられたこのプロジェクトは、オフィス・ホテル・商業を用途とする複合ビルの開発として着工しています(三菱地所 2024年5月15日付プレスリリース)。
「福岡文化生態系」という開発コンセプトが掲げられており、単なるビルの建て替えにとどまらず、福岡の文化や地域性を活かした新しい都市空間の創造が目指されています。イムズが長年にわたって担ってきた「文化の発信地」としての役割を、新しい形で引き継ごうとする姿勢が感じられます。
竣工時期や詳細なスペックについては、2026年8月時点での最新情報を三菱地所の公式サイトや福岡市の関連ページでご確認いただくことをおすすめします。天神ビッグバンの施策が着実に進むなかで、イムズ跡地の新施設は天神エリアの新たなランドマークとなることが期待されています。
まとめ
イムズが閉館した理由は、売上不振や経営難ではなく、福岡市の天神ビッグバンという都市再開発施策と、新時代のニーズに応えるための積極的な機能更新にありました。2021年8月31日に30年以上の歴史に幕を下ろしたイムズは、現在オフィス・ホテル・商業の複合ビルとして生まれ変わるべく、跡地での再開発が進んでいます。「終わり」ではなく「進化」として捉えると、この閉館の意味がより深く理解できるのではないでしょうか。天神エリアの変化を引き続き注目していきましょう。
参考文献・出典
- 三菱地所株式会社「イムズ」営業終了・再開発計画始動(2019年1月9日)— https://www.mec.co.jp/news/archives/mec190109_ims.pdf
- 福岡市・三菱地所 福岡・天神におけるポスト・コロナ時代のまちづくりを加速 ~「イムズ」建替えプロジェクト~(2020年9月14日)— https://www.city.fukuoka.lg.jp/jutaku-toshi/kaihatsu/shisei/documents/200914_kansennshoutaiou_pressrelease.pdf
- 福岡市 天神ビッグバン 着実に進行中(2026年2月26日更新)— https://www.city.fukuoka.lg.jp/jutaku-toshi/kaihatsu/shisei/20150226.html
- 三菱地所株式会社 開発コンセプト「福岡文化生態系」「(仮称)天神1-7計画」新築工事着工(2024年5月15日)— https://www.mec.co.jp/news/detail/2024/05/15_mec240515_tenjin1-7
- 三菱地所株式会社 公式ニュースリリース一覧 — https://www.mec.co.jp/news/