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空室率2割時代でも勝ち抜く!アパート経営を長期投資で成功させる立地選定の極意

人口減少が進むなか、アパート経営に踏み出すべきか迷う人は少なくありません。実際、国土交通省の最新統計によると2025年7月の全国空室率は21.2%と依然高水準です。しかし視点を変えれば、適切な立地選定と長期投資の戦略を組み合わせることで、安定収益を確保できるチャンスも広がります。本記事では、初心者の悩みに寄り添いながら「アパート経営 長期投資 立地選定」のポイントを基礎から解説します。最後まで読めば、物件選びから資金計画、さらに2025年度に活用できる支援策までを一気に把握できます。

立地が収益を左右するメカニズム

立地が収益を左右するメカニズムのイメージ

重要なのは、立地が家賃水準と空室リスクの両面に直結する点を理解することです。駅距離や周辺人口だけでなく、将来の再開発計画や大学の移転計画まで把握すると、収益の安定度を高められます。

まず、徒歩10分圏内に生活利便施設がそろうエリアは募集時期を問わず問い合わせが多い傾向にあります。家賃相場は郊外より高いものの、退去後の空室期間は短く済み、長期的な収益が平準化します。また、将来の人口減少リスクを抑えるうえでも、公共交通の結節点に近い場所は有利です。

一方で郊外型の土地は取得費が抑えられ、初期利回りが高く見えます。ところが、空室が長期化すると実質利回りは急落します。つまり、長期投資を前提とするなら、利回りだけでなく入居需要の持続性を評価する必要があります。立地調査に十分な時間と費用をかけることが、将来コストの削減につながるのです。

長期投資としてのアパート経営の視点

長期投資としてのアパート経営の視点のイメージ

実は、アパート投資の成否は購入時ではなく運営期間中に決まります。長期投資とは、10年先、20年先も安定したインカムゲイン(家賃収入)を得る姿勢を意味します。

投資期間が長いほど、家賃下落や金利変動など複数のリスクが顕在化します。そのため、購入前に将来シナリオを複数想定し、保守的な数字でキャッシュフローをシミュレーションすることが大切です。例えば、空室率25%、金利上昇2%という厳しい前提でも赤字を出さない物件を選ぶと、長期的な安心感が高まります。

さらに、築年数が古くなると修繕費のウエイトが増します。外壁や屋上防水の大規模修繕は、おおむね12年から15年周期で必要になります。長期投資を目指すなら、新築よりも築浅中古を割安で購入し、初期費用を抑えたうえで修繕準備金を積み立てる方法も検討に値します。

データで見る立地選定のチェックポイント

ポイントは、定量データと現地調査を組み合わせることです。国勢調査や自治体の人口ビジョンを確認すると、将来的な人口推移を把握できます。人口が横ばいか微減にとどまるエリアなら、家賃下落も緩やかです。

次に、交通インフラの整備計画を調べましょう。たとえば、2025年度に開業予定の地下鉄延伸区間内の駅周辺では、完成前から家賃が上昇するケースが見られます。また、大学の学部移転や再編は賃貸需要の急減を招くため、文教地区では数年先の計画を行政資料で確認すると安心です。

現地では、平日昼と夜、休日の三回訪問を推奨します。昼間人口と夜間人口のギャップを体感することで、本当の居住需要を読み取れます。加えて、コンビニやスーパーの営業時間、クリニックの数など生活インフラをメモすると、入居者ターゲットのイメージが明確になります。

成功する資金計画とリスク管理

まず押さえておきたいのは、自己資金と融資条件のバランスです。自己資金を物件価格の30%用意できれば、金融機関の評価が上がり、金利を0.2~0.3%引き下げられる余地が生まれます。わずかな金利差でも、30年間で数百万円の支払い差になります。

さらに、運営開始後に備えて流動性の高い予備資金を少なくとも家賃収入の6カ月分確保しましょう。エアコンや給湯器の故障は予告なく訪れるため、運転資金が枯渇すると黒字倒産に陥るリスクがあります。

保険活用も欠かせません。地震保険は掛け捨てですが、災害多発地域では加入率が高く、入居者の安心感向上にも直結します。また、家賃保証会社との契約はコストがかかるものの、長期空室や滞納へのヘッジとして機能します。これらを総合的に組み合わせることで、長期投資の安定度を底上げできます。

2025年度の支援策と金融環境

2025年度は、省エネ性能向上に対する補助制度が継続しています。たとえば「賃貸住宅省エネ改修促進事業」は、断熱改修や高効率設備導入に対し工事費の最大3分の1、上限200万円まで国が補助します(申請期限は2026年3月末予定)。改修後のランニングコスト削減に加え、入居者の光熱費節減を訴求できるため競争力が高まります。

また、日本政策金融公庫の「グリーン賃貸ローン」は、耐震と省エネ基準を満たす賃貸住宅に対し、固定金利1%台前半での融資が可能です。地方銀行でも類似の優遇ローンが拡充しており、早期に相談することで資金調達の幅が広がります。

一方、日銀が段階的な金融正常化を進めているため、変動金利は緩やかな上昇基調にあります。長期投資を志向する場合、金利上昇リスクを3%程度まで試算し、固定と変動を組み合わせたミックスローンを検討すると安全です。こうした制度と金融環境を把握し、計画的に活用することが、アパート経営の安定化に直結します。

まとめ

本記事では、立地選定の基礎から長期投資の視点、資金計画、さらに2025年度の支援策までを解説しました。立地は家賃と空室率を左右し、長期投資では修繕費や金利変動に備えるシミュレーションが欠かせません。さらに、省エネ補助金や優遇ローンを活用すれば、競争力とキャッシュフローの両方を高められます。まずは気になるエリアを歩き、データと現地感覚を照合するところから始めましょう。行動を起こすことで、安定収益への第一歩が踏み出せます。

参考文献・出典

  • 国土交通省 住宅統計調査 – https://www.mlit.go.jp/
  • 総務省 国勢調査 2020年版 – https://www.stat.go.jp/
  • 日本政策金融公庫 グリーン賃貸ローン資料 – https://www.jfc.go.jp/
  • 環境省 賃貸住宅省エネ改修促進事業概要 – https://www.env.go.jp/
  • 東京都 都市再開発情報公開システム – https://www.toshisaisei.metro.tokyo.lg.jp/

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