アパート経営に興味はあるものの、「東京の物件は高い」「そもそもどの駅を選べばいいのか」と悩む人は多いはずです。確かに首都圏の物件価格は地方より高額ですが、人口流入や賃料水準の安定というメリットは大きな魅力になります。本記事では「東京 アパート経営 立地選定」を軸に、最新データを交えながら成功への道筋を示します。読めば、沿線ごとの賃料差や空室リスクの見極め方、さらに2025年度税制まで把握できるようになるでしょう。
東京でアパート経営が注目される背景

重要なのは、なぜ今も東京が投資対象として選ばれるのかを理解することです。総務省の住民基本台帳移動報告によると、2024年度も東京都は約4万人の社会増を記録し、転入超過が続いています。人口流入が継続すれば、家賃水準が下支えされるため、長期的なキャッシュフローが安定しやすくなります。また、国土交通省が2025年7月に発表した全国アパート空室率は21.2%ですが、東京23区の平均は15%前後にとどまり、需要の強さが数字に表れています。
一方で価格が高いという現実も無視できません。しかし、都心部に限定せず周辺都市への視野を広げると、利回り6%超の案件が見つかることも珍しくありません。つまり、適切なエリアを選べば、高い物件価格と安定した賃料という一見相反する要素を両立できるのです。
立地選定でまず確認すべき行政データ

まず押さえておきたいのは、行政が公表する人口予測や再開発情報です。東京都は2025年3月に「都市再生ステップ2030」改訂版を提示し、山手線内外で合計14地区の再開発を計画すると発表しました。再開発エリアは将来の賃料上昇が見込める一方、建設ラッシュによる供給増で競合も増えるため、着工時期と供給戸数を読み解く姿勢が欠かせません。
また、東京都都市整備局の「区市町村別将来人口推計」は駅単位での人口増減を把握する材料になります。推計で増加が続くエリアは家賃下落リスクが低く、逆に減少が予測される地域は想定より早く空室率が上がる可能性があります。行政データは無料で入手できるうえ、民間レポートより客観性が高いため、初期段階のスクリーニングに最適です。
駅距離だけでは測れない生活利便性
ポイントは、入居者が実際に感じる暮らしやすさを定量化することです。徒歩分数が同じでも、坂道の有無や夜間の街灯の数、周辺の騒音レベルが異なれば、入居者の評価は大きく変わります。内閣府の「子育て世帯の住環境ニーズ調査」では、徒歩10分圏内にスーパーと保育施設があることが、家賃選択の重要因子とされています。
つまり、周辺施設のバランスを地図上で確認するだけでなく、時間帯別の現地調査が欠かせません。例えば、東急多摩川線の雪が谷大塚駅は徒歩8分圏にスーパーが3店ありますが、大井町線の荏原町駅は同じ徒歩8分でも夜間営業の店舗がほとんどありません。数字だけで判断すると見落とす差を体感し、実際の空室期間を短縮させることができるのです。
空室率と家賃相場から逆算する収益性
実は、想定利回りを検証するうえで平均空室率と家賃相場の連動性を知ることが近道になります。東京都住宅供給公社の「賃貸住宅市場レポート2025」では、空室率が1%下がると家賃が0.3%上昇するという回帰分析が示されています。逆算して目標利回りを定めれば、購入価格の上限が自動的に見えてきます。
例えば、家賃相場7万円のワンルームを年間総収入84万円で運用したい場合、表面利回り6%なら購入価格は1,400万円が上限です。そこに空室率15%を織り込むと実質利回りは5.1%に下がるため、修繕費を抑えるプランや家賃設定の見直しが必要になります。収益計算を先に行い、立地と価格を後から当てはめるアプローチが、感情に流されない投資判断を支えます。
2025年度の税制・補助制度を踏まえたエリア分析
さらに、2025年度の税制改正を確認すると、投資判断が一段とクリアになります。たとえば、賃貸住宅の固定資産税については、新築後3年間は税額が2分の1に軽減される措置が継続予定です。対象となるのは賃貸用で床面積が40㎡以上280㎡以下の新築住宅であり、2027年3月31日までに建築済みの物件が条件とされています。新築を視野に入れるなら、完成時期と軽減期限を照合しておくと余計なコストを回避できます。
一方で、中古物件を購入してリノベーションする場合は、国土交通省の「良質住宅リフォーム推進事業」の補助金が活用可能です。同事業は耐震補強や省エネ改修に対し最大200万円を補助するもので、2025年度は予算規模を前年同水準で維持すると発表されています。補助金が適用されれば、改修後の家賃アップと修繕費圧縮を同時に実現できるため、物件選定の幅が広がります。
こうした制度は期限付きであるため、該当期間内に取得・着工できるかを逆算し、エリア選定とスケジュール管理を並行させることが欠かせません。税制と補助金を味方に付けることで、東京の高い物件価格をリスクではなくチャンスへ転換できます。
まとめ
ここまで、人口動向、行政データ、生活利便性、空室率、そして2025年度の税制と補助制度という五つの視点から「東京 アパート経営 立地選定」を解説しました。どの視点も単独では不十分ですが、重ね合わせることで空室リスクを抑えながら収益性を高める道筋が見えてきます。行動に移す第一歩として、行政データを集め、気になる駅を歩き、収支シミュレーションを作成してみてください。準備を重ねた分だけ、未来のキャッシュフローはより堅実なものになるでしょう。
参考文献・出典
- 国土交通省住宅統計調査 2025年7月速報 – https://www.mlit.go.jp
- 東京都都市整備局 区市町村別将来人口推計 2025版 – https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp
- 総務省 住民基本台帳移動報告 2024年度 – https://www.soumu.go.jp
- 東京都住宅供給公社 賃貸住宅市場レポート2025 – https://www.to-kousya.or.jp
- 内閣府 子育て世帯の住環境ニーズ調査 2025 – https://www.cao.go.jp