不動産の税金

マンション投資 一棟買い 体験談でわかる成功の要諦

不動産投資に興味はあるものの、「一棟を丸ごと買うなんて自分には無理」と感じていませんか。高額な初期費用や空室リスクを思うと、二の足を踏む方が多いのは当然です。しかし、実は区分所有よりキャッシュフローが読みやすく、長期での資産形成に向く手法でもあります。本記事では、私が15年前に購入した築浅ワンルームマンション一棟の実体験を交えながら、初心者が押さえるべきポイントを丁寧に解説します。読み終えたとき、あなたは一棟買いの魅力とリスク管理の具体策を理解し、次の行動を選択できるようになるでしょう。

なぜ一棟買いが注目されるのか

なぜ一棟買いが注目されるのかのイメージ

まず押さえておきたいのは、一棟買いがもたらす収益と管理面での自由度です。部屋単位でなく建物全体を所有するため、賃料設定や修繕計画を自分で調整できます。

東京23区の新築マンション平均価格は2025年9月時点で7,580万円と発表されていますが、同じ資金をレバレッジに活用すれば、郊外で利便性の高い20〜30戸規模の一棟物件も視野に入ります。一棟買いでは土地も同時に取得できるので、建物が償却後も土地価値が残りやすい点がメリットです。また、金融機関は土地付き収益物件を担保評価しやすいため、自己資金を圧縮した融資スキームを組める可能性が高まります。

一方で、空室率の上振れや大規模修繕の費用負担は避けられません。つまり、一棟買いはリターンとリスクの振れ幅が大きく、物件選定と資金計画の精度が成否を分けます。

体験談:築浅ワンルーム一棟で味わった初年度のリアル

体験談:築浅ワンルーム一棟で味わった初年度のリアルのイメージ

重要なのは、机上のシミュレーションと実運営の差を知ることです。私は2010年、駅徒歩6分の築3年・24戸のワンルームマンションを総額2億8,000万円で取得しました。

購入時は年間家賃収入1,860万円、表面利回り6.6%の想定でしたが、実際には入居者の入替えや軽微な設備交換で初年度の稼働率は92%にとどまりました。家賃収入は1,710万円に下振れし、ネット利回りは5.2%まで低下しました。それでも赤字を回避できた要因は、購入前に修繕積立金を精査し、引渡し直後に給水ポンプを更新したからです。初期対応により突発的な故障を防ぎ、長期安定稼働へ道筋を付けられました。

また、賃借人ニーズを把握するため自らアンケートを実施し、2戸をフリーレント付きで募集しました。その結果、平均空室期間を45日から18日に短縮でき、翌年から稼働率は96%前後で推移しています。経験上、初年度にどれだけ運営に手をかけるかが、以降のキャッシュフローを左右すると痛感しました。

融資と資金計画でつまずかないコツ

ポイントは、自己資金の厚みだけでなく返済比率のバランスです。私は頭金15%を投入し、残りを20年の元利均等返済で組みました。この設定により年間返済額は1,260万円となり、DSCR(債務返済余裕率)は1.35倍を維持できています。

金融機関を比較するときは、金利差だけでなく評価方法に注目してください。土地の積算評価を重視する地銀は、築年数が浅くても郊外物件なら評価が伸びにくい場合があります。一方、事業収益を評価するノンバンクは金利が高めでもLTV(融資比率)を90%近くまで伸ばすことが可能です。将来の金利上昇リスクを考慮し、私は固定金利期間10年の商品を選択しました。

さらに、2025年度も継続している「耐震・省エネ改修に伴う固定資産税減額制度」を前提に、築15年を迎える2027年に外壁断熱改修を計画しています。工事費は1戸あたり約60万円ですが、3年間の税額半減効果で投下資本の回収目途を立てています。資金繰り表に制度活用後のキャッシュフローを反映し、長期保有戦略の堅実性を検証することが欠かせません。

運営と出口戦略を同時に描く重要性

まず、保有中の運営方針と売却時の出口戦略をセットで考える姿勢が不可欠です。キャッシュフローを最大化するだけでなく、資産価値の維持が結果として売却益にもつながります。

私は購入直後に大規模修繕積立スケジュールを10年間で設定し、フローリングの貼替え周期を入居者募集サイクルと合わせました。これにより、修繕のたびに家賃を2千円ずつ上げることに成功しています。また、入居者向けに無料インターネットを導入し、満足度向上と離脱防止を図りました。この取り組みは空室率低下だけでなく、物件評価の向上にも寄与し、査定利回りを0.3ポイント改善させています。

出口については、保有10年目となる2030年時点で売却かローン借換えを検討しています。累積減価償却後の簿価と市場価格の差額を試算し、税引後キャッシュが手元にいくら残るかを毎年更新しています。こうしたシミュレーションを繰り返すことで、予期せぬ市場変動にも備えられます。

リスク管理と最新制度の活用ポイント

実は、一棟買いで最も見落とされやすいのが保険と法定点検です。火災保険は構造区分と築年数で保険料が大きく変わるため、2025年度に導入された「共同住宅向け長期包括補償プラン」を活用しました。これにより、年間保険料を約18%削減できています。

さらに、2024年から義務化された給排水設備の点検報告を怠ると、行政指導だけでなく入居者トラブルの原因となります。私は管理会社と3年契約を結び、点検結果をクラウドで共有する仕組みを導入しました。情報の透明化により、修繕計画の前倒し判断がしやすくなり、結果的にコスト削減につながっています。

最後に、固定資産税評価額が高騰するエリアでは、区分所有者よりも一棟オーナーのほうが負担増を直接受けます。ただし、耐震基準適合証明を取得すれば、2025年度も継続する不動産取得税の軽減措置を利用できます。制度の期限や要件は毎年更新されるため、物件取得前に自治体の担当窓口へ確認する習慣をつけましょう。

まとめ

ここまで、一棟買いの特徴、私の実体験、資金計画、運営の工夫、そしてリスク管理まで具体的にお伝えしました。一棟買いは区分投資よりハードルが高いものの、収益と資産価値を自分でコントロールできる点が大きな魅力です。重要なのは、購入前の現実的なシミュレーションと、購入後すぐに手を打つ運営施策の両輪を回すことです。記事で紹介した制度や点検のチェックリストを参考に、まずは物件情報と融資条件を同時に集め、試算を具体化してみてください。行動を一歩進めることで、安定したキャッシュフローと将来の選択肢が確実に広がります。

参考文献・出典

  • 不動産経済研究所 – https://www.fudousankeizai.co.jp
  • 国土交通省 住宅局 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku
  • 総務省 固定資産税関係資料 – https://www.soumu.go.jp
  • 東京都 建築安全条例情報 – https://www.metro.tokyo.lg.jp
  • 日本政策金融公庫 資金調達ハンドブック2025 – https://www.jfc.go.jp

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