インバウンド需要が回復し、空室リスクを抑えた投資先を探す人が増えています。そこで注目されるのが、民泊 マンション投資 新築という組み合わせです。新築物件の資産価値と民泊の高単価宿泊収入を両取りできる一方で、法規制や運営ノウハウを知らないと収益が伸びません。本記事では市場動向、法律、キャッシュフロー、物件選び、リスク管理までを丁寧に解説します。読み終える頃には、自分に合った投資判断の軸が明確になるでしょう。
民泊新築マンション投資の市場動向

まず押さえておきたいのは、2025年の民泊市場が再び拡大局面にあることです。観光庁の宿泊旅行統計によると、2024年の訪日客延べ宿泊数はコロナ前比92%まで回復し、2025年は100%超えが見込まれています。さらに、新築マンションの平均価格は東京23区で7,580万円と高止まりする一方、一戸当たりの宿泊単価は上昇傾向にあります。
インバウンドは円安の追い風を受け、1泊平均単価がコロナ前比で約15%上昇しています。つまり、通常賃貸より高い収益を得る余地が広がっています。ただし供給も増えているため、立地や運営の差別化が欠かせません。特に新築マンションは築古と比べて維持費が低く衛生面の信頼性も高いので、外国人旅行者から選ばれやすいと言えます。
一方で、2022年以降は都心部のホテル供給も急増しており、平均稼働率はエリア間で差が出ています。日本銀行のレポートでは、新宿・渋谷は80%前後、大田区は60%台にとどまります。したがって民泊投資では、宿泊需要の強いエリアを選ぶことが収益安定の鍵になります。
民泊運営に関わる2025年度の法規制と制度

重要なのは、住宅宿泊事業法(民泊新法)と旅館業法の違いを理解し、適切な許可を得ることです。民泊新法では年間営業日数が180日以内に制限される一方、旅館業法簡易宿所の許可を取れば日数制限はありません。2025年度もこの枠組みは継続しており、特例の延長や新たな補助金は発表されていません。
新築マンションを民泊利用する場合、建築基準法上の用途変更が不要なケースが多いものの、消防法の適合は必須です。特に30m²未満のワンルームでは、自動火災報知設備と誘導灯の設置が求められるため、初期費用に30万〜50万円程度を見込む必要があります。
また、2025年度からは宿泊税の導入自治体がさらに増える予定で、大阪府に続き東京都も区市町村単位での徴収を検討中です。宿泊税は宿泊者が負担しますが、事業者が代理徴収するため、システム対応が欠かせません。言い換えると、法令順守と税務処理をスムーズに行える体制が、運営コストとゲスト満足を左右します。
収益シミュレーションとキャッシュフロー管理
ポイントは、家賃換算の利回りではなく、宿泊単価と稼働率の掛け算で収益を読むことです。たとえば都内23区の30m²新築ワンルームを7,500万円で購入し、月15万円で貸した場合の表面利回りは2.4%に過ぎません。しかし民泊として月25泊、1泊1万5,000円で運営すれば、粗収入は37万5,000円になり、年間利回りは6%台まで向上します。
もっとも、運営代行手数料20%、清掃費、プラットフォーム手数料、水道光熱費などの変動費が嵩みます。実務では総収入の40%前後が経費として消えると見込み、さらに金融機関の返済と固定費を引くと、手残りキャッシュフローは売上の25%ほどに落ち着きます。つまり、前述の例では月9万円台が実質利益となり、元本返済後の資産形成効果が期待できます。
金利1.5%、35年返済の融資を組むと、元利合計は月23万円程度です。稼働率が60%まで下がっても返済は可能ですが、金利上昇や繁忙期外の稼働低迷に備えて流動資金を6か月分確保しておきましょう。日本政策金融公庫の調査でも、開業3年以内に資金ショートを経験した宿泊事業者の約4割が、運転資金の不足を理由に挙げています。
成功する物件選びと立地戦略
実は、民泊向きの新築マンションには共通する特徴があります。第一に駅から徒歩5分圏内で、乗り換えなしで主要観光地へアクセスできる立地です。東京なら山手線内側、大阪なら御堂筋線沿線が依然として強い需要を持ちます。第二に、家具家電を配置しやすい間取りと十分な天井高があることです。外国人ゲストはスーツケースを広げられるスペースを評価する傾向にあります。
第三は、管理規約で民泊用途が明示的に許可されていることです。新築段階で販売会社が「民泊可」を打ち出す物件は運営ノウハウを持つ管理会社が関与しているため、トラブルが少ない傾向があります。一方、通常居住用として販売されたマンションを後から民泊転用すると、総会決議で禁止条項が追加されるリスクがあります。
さらに、空港からのアクセス時間も判断基準になります。国土交通省の統計では、訪日客が宿泊先を選ぶ際、空港からの移動時間を45分以内に抑えたいと答えた割合が6割を超えています。つまり、直通リムジンバスや鉄道路線のあるエリアを選ぶことで、稼働率を底上げできるのです。
リスク管理と出口戦略
基本的に、不動産投資ではリスクとリターンのバランスを取る姿勢が欠かせません。民泊 マンション投資 新築の場合、最大のリスクは規制変更と需要変動です。営業日数の上限や宿泊税率が改定されると、収益が急減する可能性があります。そのため、賃貸への転用が容易な間取りと立地を確保し、複数年のシミュレーションを作ることが重要です。
加えて、建物自体の資産価値にも目を配りましょう。新築時は価格のピークですが、交通利便性や再開発計画があるエリアは5年後の下落幅が限定的です。不動産経済研究所のデータでは、山手線主要駅から徒歩5分圏内の新築マンションは築5年で平均価格が8%しか下がっていません。この価格維持力が、出口戦略である売却益やリファイナンスの成功確率を高めます。
最後に、保険とリーガルチェックも欠かせません。2025年度は国土交通省が推進する宿泊事業者向け包括賠償保険が継続されており、年間数万円でゲストの事故や施設損壊に対応できます。また、予約サイトの利用規約も毎年更新されるため、弁護士や専門家にレビューを依頼することで、思わぬ損害賠償を防げます。
まとめ
民泊 マンション投資 新築は、インバウンド復活と資産価値維持を同時に狙える魅力的な手法です。ただし高収益の裏側には、法令順守、稼働率管理、資金繰りの3つの壁があります。本記事で示した市場データとシミュレーションを参考に、立地と運営体制をじっくり検討してください。行動に移す前に専門家へ相談し、リスクを数値化した上で小さく始めることが成功への近道と言えるでしょう。
参考文献・出典
- 観光庁 宿泊旅行統計調査 – https://www.mlit.go.jp/kankocho/
- 不動産経済研究所 新築マンション市場動向 – https://www.fudousankeizai.co.jp/
- 日本銀行 地域経済報告 – https://www.boj.or.jp/
- 日本政策金融公庫 宿泊業の現状と課題 – https://www.jfc.go.jp/
- 国土交通省 住宅宿泊事業法ポータル – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/
- 東京都産業労働局 宿泊税の検討資料 – https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/