不動産投資に興味はあるものの、高額な物件を購入する勇気や時間が取れずに悩んでいませんか。そんなとき少額から始められる選択肢として注目されるのがREIT(リート)です。2025年9月現在、東京証券取引所には70本以上のJ-REITが上場し、利回りや分散効果の高さから個人投資家の人気が高まっています。本記事では「REIT 人気 比較」という視点で、ジャンル別の特徴、利回り水準、リスクとチャンスを丁寧に解説します。読み終えたときには、自分の投資目的に合った銘柄を選ぶ判断軸が身につくはずです。
REITとは何かを改めて整理しよう

まず押さえておきたいのは、REITが投資家から集めた資金で不動産を購入し、その賃料収入や売却益を分配金として還元する仕組みだという点です。住宅やオフィスをはじめ、物流施設、ホテル、データセンターなど多様な資産に投資できるのが魅力です。
実は、2025年のJ-REIT市場全体の時価総額は約17兆円と、10年前からほぼ倍増しました。金融庁の「投資信託事情年次報告」によると、個人保有比率も35%を超え、年々拡大しています。つまり、株式や債券に比べて不動産収益を手軽に取り込める金融商品として存在感を強めているわけです。
一方で、REITは上場株と同じく市場価格が日々変動します。金利動向や不動産市況の影響を受けやすいため、利回りだけを見て飛びつくと期待通りの収益が得られない場合もあります。ここからは人気カテゴリ別に特徴を整理しながら、リスクとリターンのバランスを見ていきましょう。
住宅系REITの安定感と将来性

ポイントは、賃料の安定性が高く、景気変動に左右されにくいことです。日本賃貸住宅投資法人やアドバンス・レジデンス投資法人などが代表的で、2025年8月期の平均分配金利回りは約3.7%となっています。
住宅系はファミリータイプの部屋が中心で、テレワークの浸透後も需要が底堅いと国土交通省の住宅着工統計でも示されています。また、都心回帰の流れは継続しており、オフィス系が苦戦する場面でも分配金の減額例は少数でした。つまり、キャッシュフローが読みやすいことが初心者に支持される理由です。
ただし、利回りは他セクターより低めです。人口減少が加速すれば長期的な空室リスクは避けられません。さらに、住宅系REITの物件は築年数が浅いほど賃料水準が保てるため、ポートフォリオの平均築年にも注目するとブレが小さくなります。
オフィス系REITを選ぶときの視点
重要なのは、立地とテナント分散です。日本ビルファンド投資法人やジャパンリアルエステイト投資法人のような大型銘柄は、丸の内や虎ノ門など都心5区の優良ビルを多く保有しています。日本取引所グループが公表する2025年上期データでは、都心Aクラスオフィスの空室率は3.4%と歴史的な低水準を維持しています。
一方で、コロナ禍以降のリモートワーク定着でオフィス需要が縮小したエリアもあります。特に地方政令市のBクラスビルを多く抱えるREITは、賃料調整圧力が強く分配金の変動が大きくなる傾向です。言い換えると、都心特化か地方分散かでリスク特性が大きく変わるため、保有建物の所在地比率を必ず確認しましょう。
さらに、オフィス系は長期固定賃料契約が多く、一度賃料が下がると回復に時間がかかります。そのため、物件入れ替え戦略を積極的に行う運用会社か、取得利回りの高い築古ビルで再生を図る方針か、運用姿勢を比較することが欠かせません。
物流・インフラ系REITの成長ポテンシャル
まず注目したいのは、EC市場の拡大とともに物流倉庫ニーズが急増している点です。GLP投資法人や日本プロロジスリート投資法人の資産規模は2025年に入りそれぞれ1兆円を突破しました。経済産業省「電子商取引に関する市場調査」ではBtoC EC化率が14%まで伸び、物流施設の需要を裏付けています。
物流REITの平均分配金利回りは約4.2%で、住宅系より高くオフィス系に匹敵します。さらに、テナントが倉庫面積を長期で借りるケースが多く、賃料収入が安定しやすい構造です。つまり、成長性と安定性を兼ね備えたセクターとして人気が高まっています。
ただ、物流施設は郊外に立地するため金利上昇時の鑑定評価が下振れしやすい課題があります。また、今後の新規供給増で空室率が上がる可能性も指摘されており、リーシング力(入居者募集力)が強い運用会社かどうかを見極める必要があります。
総合型とグローバルREITで分散投資を進める
実は、一つのセクターに偏るリスクを抑える手段として、総合型REITや海外物件を含むグローバルREIT ETFを活用する投資家が増えています。総合型では日本リート投資法人のように住宅、商業施設、ホテルをバランス良く組み込むケースが目立ちます。複数セクターにまたがることで、景気の波を平均化できる点が評価されています。
2025年度の税制では、REITの分配金は一般株式と同じ申告分離課税(税率20.315%)が適用され、国内外問わず損益通算が可能です。そのため、海外REIT ETFをNISA成長投資枠で保有し、国内J-REITと損益を調整する手法が活用されています。金融庁の「新NISA利用状況調査」でも、REITを含む上場投資信託の買付額が全体の18%を占め、分散投資の受け皿となっていることがわかります。
ただし、海外REITは為替変動リスクが避けられません。円安局面では分配金が増える一方、円高に振れると目減りするため、為替ヘッジの有無やコストを把握しておくことが大切です。総合型とグローバルREITを組み合わせる場合でも、自分のリスク許容度を超えない範囲で保有比率を調整しましょう。
まとめ
ここまで、住宅系、オフィス系、物流系、総合型・グローバルREITといった代表的なセクターを比較しながら、2025年9月時点の市場環境を整理しました。安定重視なら住宅系、成長性を取り込みたいなら物流系、分散効果を求めるなら総合型や海外REITが有力です。また、利回りだけでなく空室率やテナント構成、運用方針など非数値の情報にも目を向けることが成功の鍵になります。まずは少額で複数銘柄を試し、自分に合ったリスクとリターンのバランスを体感することから始めてみてはいかがでしょうか。
参考文献・出典
- 金融庁「投資信託事情年次報告」 – https://www.fsa.go.jp
- 日本取引所グループ「J-REIT一覧・データ」 – https://www.jpx.co.jp
- 国土交通省「住宅着工統計」 – https://www.mlit.go.jp
- 経済産業省「電子商取引に関する市場調査」 – https://www.meti.go.jp
- 金融庁「新NISA利用状況調査」 – https://www.fsa.go.jp