中古マンション投資に興味はあるけれど、「物件価格が1億円ともなると手が届かない」と感じていませんか。実は、リノベーションを上手に絡めることで収益性を高め、将来の資産価値まで押し上げることは十分可能です。本記事では、1億円規模の「マンション投資 中古 リノベーション 1億円」をキーワードに、物件選びの視点から融資、改装、運用、出口戦略までを体系的に解説します。読み終えた頃には、初心者でも具体的な行動計画を描けるはずです。
1億円規模の中古マンション投資が注目される背景

まず押さえておきたいのは、1億円前後という価格帯がプロと個人投資家の境目になりやすい点です。東京23区の新築マンション平均価格は2025年9月時点で7,580万円ですが、築15〜25年のファミリータイプを含む中古物件なら同じ広さで1億円弱に収まるケースが多くあります。一方で、新築より賃料利回りが高い傾向にあるため、資金効率を重視する投資家が中古へ流れているのです。
もう一つの理由は人口動態です。国立社会保障・人口問題研究所の中位推計によると、東京圏の人口は2035年まではゆるやかに増加しますが、郊外では減少が始まっています。つまり、都心部や再開発エリアの中古マンションは、将来的にも需要が底堅いと見込まれます。投資対象を選ぶ際は、この人口動向と再開発計画の有無を重ねて確認することが欠かせません。
1億円物件のキャッシュフローを左右するリノベーション戦略

重要なのは、リノベーションが単なる「見た目の改装」に留まらず、家賃を引き上げる武器になる点です。たとえば、築20年の70㎡ファミリーマンションを500万円でフルリノベーションし、月額賃料を20万円から24万円へ引き上げた場合、年間家賃収入は48万円増えます。利回り換算では改装費500万円に対して約9.6%の上乗せ効果となり、銀行ローンの金利1.5%前後を十分にカバーできます。
また、長期的には修繕積立金の増額や大規模修繕の時期が家計に影響します。リノベーション時に給排水管を交換し、10年以上のメンテナンスコストを先取りで抑えると、将来の突発支出リスクが下がります。さらに、SDGsの流れを受けて、断熱材や高効率設備を導入した物件は入居者からの評価が高く、空室期間を短縮できる傾向があります。環境性能を改善すると、東京都の場合「東京都環境性能表示」の星数が上がり、資産価値にもポジティブに作用します。
立地と建物のチェックポイント
ポイントは、駅距離と周辺インフラだけでなく、管理組合の運営状況まで把握することです。徒歩7分以内かどうかは賃料と入居率を大きく左右しますが、同じ駅距離でも保育園や大型スーパーの有無によってファミリー需要は変動します。国土交通省の地価LOOKレポートでは、再開発が進む駅周辺の地価が平均2.8%上昇しており、これらのエリアを狙うと資産価値向上が期待できます。
建物自体では、耐震基準と修繕履歴のチェックが欠かせません。1981年の新耐震基準以降に建築された物件は金融機関の評価が安定し、ローンを組みやすくなります。加えて、長期修繕計画が明確で、積立金が適切に積み立てられているかを確認しましょう。積立金が不足している場合、購入後に一時金徴収や管理費の急上昇が起こり、キャッシュフローを圧迫する恐れがあります。
2025年度の融資環境と税制優遇を活用するコツ
まず、2025年度の主要メガバンクと信託銀行は、個人向けアパート・マンションローンの下限金利を1.3%前後に設定しています。政府系金融機関である日本政策金融公庫は投資用物件を対象外としますが、連帯保証人なしで借りられる地方銀行のプランが増えており、都市部の好立地では融資枠が物件価格の9割に達することも珍しくありません。
税制面では、「住宅ローン控除」は自己居住用に限られるため投資家には適用されませんが、減価償却費を活用することで所得税と住民税を圧縮できます。RC造(鉄筋コンクリート造)の法定耐用年数47年に対して築25年の物件を購入した場合、残存期間22年で償却可能です。さらに、2025年度は国土交通省が推進する「既存住宅ストック活用促進事業」による50万円までのリフォーム補助金が継続されており、省エネ性能を高める改修を行えば申請できます。この補助金は2026年3月末完了分までが条件なので、スケジュール管理が鍵になります。
長期保有で差がつく運用と出口戦略
実は、マンション投資の成否は購入後10年目以降の運用で決まると言っても過言ではありません。毎年の賃料改定を怠ると、周辺相場とのギャップが拡大し、累積で数百万円の機会損失が生まれます。一方で、家賃を上げる際はリノベーションの追加提案をセットにすると、既存入居者への説得力が高まります。
出口戦略としては、物件価値が高いタイミングで売却する「キャピタルゲイン型」と、相続税の節税効果を狙って長期保有する「インカム型」に大別されます。前者を狙う場合、再開発完了や駅前商業施設の開業など、エリアの外部要因が価格を押し上げる瞬間を捉えることが重要です。後者では、相続時にマンション評価額が時価の7割程度に圧縮される点を利用し、賃料収入を得ながら資産承継を図れます。どちらを選ぶにしても、毎年の物件評価と市場調査を行い、最適なタイミングを判断する姿勢が求められます。
まとめ
ここまで、1億円規模の中古マンションをリノベーションして運用する手順を、立地選定から融資、改装、運用、出口まで一気通貫で見てきました。要するに、好立地と管理状態の良い物件を適正価格で仕入れ、収益を高める改装を施し、税制や補助金を活用しながら長期的なキャッシュフローを確保することが成功の鍵です。まずは周辺相場と金融機関の融資条件を調べ、具体的なシミュレーションを作成するところから始めてみてください。
参考文献・出典
- 不動産経済研究所 – https://www.fudousankeizai.co.jp/
- 国立社会保障・人口問題研究所 – https://www.ipss.go.jp/
- 国土交通省 地価LOOKレポート – https://www.mlit.go.jp/
- 東京都環境局 環境性能表示 – https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/
- 日本銀行 金融システムレポート – https://www.boj.or.jp/
- 国土交通省 既存住宅ストック活用促進事業 – https://www.mlit.go.jp/