不動産投資に興味はあるものの「大きな借金や管理の手間が不安」と感じる読者は多いはずです。そんな悩みを解決してくれるのが上場不動産投資信託、いわゆるREITです。少額から始められ、市場で売買できるため流動性も高い点が魅力ですが、商品選びやリスク管理には独特のコツがあります。本記事では「コツ REIT 始め方」というキーワードを軸に、2025年9月時点で有効な制度やデータを交えつつ、初心者でも今日から実践できる手順をわかりやすく解説します。
REITとは何かを正しく理解する

まず押さえておきたいのは、REITが投資家から集めた資金で複数の不動産を取得・運用し、その賃料収入や売却益を分配金として還元する仕組みだという点です。日本のJ-REITは東京証券取引所に上場しており、株式と同じように売買できます。また、運用益の九割超を分配すれば法人税が実質的に免除されるため、高い分配利回りが期待できるのが特徴です。
さらに、国土交通省の2025年4月公表データによると、東証REIT指数の平均分配利回りは3.7%前後で推移しています。銀行預金の金利が0.02%程度にとどまる現状と比べると、安定収益を狙える商品といえます。ただし、利回りが高いからといって常に安全というわけではありません。物件の入替えや金利上昇、災害リスクなど、価格変動要因を理解することが重要です。
口座開設と商品選びのポイント

実は、REIT投資を始めるまでの手続きはとてもシンプルです。証券会社の普通口座か2025年度の新NISA口座を開設し、銘柄を選んで買い付けるだけで完了します。ここで重要なのは、どの証券会社を選ぶかよりも「手数料が安く情報が充実しているか」「取引ツールが使いやすいか」を比較することです。
REIT銘柄の選定では、資産規模、投資対象の業種、LTV(総資産有利子負債比率)をチェックしましょう。たとえばオフィス特化型は景気変動に敏感ですが、物流施設特化型はEC拡大の恩恵を受けやすいという特色があります。LTVが55%を超える銘柄は借入依存度が高いため、金利上昇局面では慎重に判断すべきです。
手順を整理すると次の三段階に集約できます。
- 証券会社でNISAまたは特定口座を開設
- 目的に合った銘柄を比較し、分配利回りとLTVを確認
- 定額もしくは価格を決めて発注し、購入後はIR情報を定期的にチェック
このように流れを定型化しておくと、初めてでも迷わずREIT投資の第一歩を踏み出せます。
分配金とキャッシュフローの読み解き方
ポイントは、分配金利回りだけでなく「一口当たり分配金の推移」に注目することです。増配傾向が続いている銘柄は内部留保や賃料改定が順調に進んでいる可能性が高く、投資妙味があります。逆に分配金が急減した場合、入居率の低下や修繕費の増大が影響しているケースが多いため、直近の決算短信で原因を確認してください。
加えて、キャッシュフロー計算書の営業活動によるCFが安定していれば、本業の賃料収入が堅調と判断できます。投資活動によるCFがマイナスでも、新規取得のための支出であれば将来の成長投資と解釈できますが、継続的なマイナスが続く場合は資金繰りリスクを伴います。つまり、分配金の裏付けとなるキャッシュフローまで目を通すことで、配当だけを追い求める短視眼的な投資を避けられるのです。
2025年度NISAを活用した効率的な買い方
重要なのは、2024年に刷新された新NISAが2025年度も継続しており、年間360万円(つみたて120万円+成長投資枠240万円)、生涯投資上限1800万円まで非課税枠を利用できる点です。この枠内でREITを購入すれば、分配金と売却益に対する20.315%の税金が丸ごと免除されます。少額からコツコツ買い増すことで複利効果を最大化できるのも利点です。
また、同じ非課税枠内でもREITの価格は日々変動するため、時間を分散するドルコスト平均法が有効です。具体的には毎月一定額を購入する「つみたて投資枠」を活用し、年初や価格下落時には「成長投資枠」で追加購入する方法が有用です。こうすることで平均取得単価を平準化し、市場の上下に一喜一憂せずに済みます。
リスク管理と長期運用のコツ
まず意識したいのは、分散投資がリスク低減の基本だということです。REITでも複数銘柄を組み合わせ、用途や地域を分散させることで単一物件の事故や需給悪化の影響を抑えられます。また、株式や債券と組み合わせたポートフォリオを作れば、景気循環による変動を一段と緩和できます。
次に、金利動向のチェックを習慣化しましょう。日本銀行が2024年3月にマイナス金利を解除して以降、10年国債利回りは1%前後で推移しています。金利が上がると借入コスト増や利回り競合で価格が下落しやすいため、長期固定金利比率や借換え状況をIR資料から確認することが欠かせません。
最後に、災害リスクへの備えとして保険加入状況と物件の耐震性能を確認します。特に地震保険料率改定が予定されている2026年度を見据え、耐震基準適合率の高いポートフォリオを組む銘柄を選ぶと安心です。これらを総合的に管理することで、長期運用でも安定したリターンを狙えます。
まとめ
REITは少額かつ手軽に不動産収益を享受できる魅力的な商品ですが、銘柄選びや制度活用にはいくつかの要所があります。コツは「仕組み理解」「財務指標のチェック」「NISAによる非課税メリット」「分散と金利リスク管理」の四つを押さえ、ルールに従って淡々と運用を続けることです。行動に移すなら、まず証券口座を開設し、月1万円からでもいいので定期購入を始めてみましょう。そうすることで、市場に居続ける力が養われ、将来の資産形成に大きな差が生まれます。
参考文献・出典
- 国土交通省 不動産市場動向レポート2025年4月版 – https://www.mlit.go.jp
- 金融庁 新NISAに関するQ&A(2025年版) – https://www.fsa.go.jp
- 東京証券取引所 REIT月次レポート2025年8月 – https://www.jpx.co.jp
- 日本銀行 金融政策決定会合資料2025年7月 – https://www.boj.or.jp
- 日本取引所グループ 東証REIT指数データ – https://www.jpx.co.jp/markets/indices/j-reits