広島の不動産投資に興味はあるものの、「地方は空室リスクが高いのでは」「利回りは本当に東京より有利なのか」と不安を抱く方は多いはずです。実は、J-REIT(不動産投資信託)を通じて広島エリアの収益物件に間接投資するルートが整い、個人でも手軽に地方分散が可能になりました。本記事では、2025年10月時点の最新データをもとに「広島 REIT 利回り」の実情を解説し、投資初心者でも今日から取れるアクションを具体的に提示します。
広島エリアの不動産市場動向

まず押さえておきたいのは、広島市を中心とする中国地方最大の経済圏が堅調に拡大している事実です。総務省の2025年版住民基本台帳によると、広島市の人口は122万人前後で横ばいを維持し、転入超過が続いています。企業誘致も進み、国際観光都市としてインバウンド需要が戻った点も追い風です。
さらに、国土交通省が公表した2025年地価公示では、広島市中区の商業地が前年比3.4%上昇し、西日本の地方中枢都市の中では高い伸び率を記録しました。賃料も堅調で、三幸エステートのオフィス市況レポートでは中区一等地の坪単価が東京の約6割に止まり、需要に対して供給が限定的な状況が続いています。つまり、賃料収入が安定しやすく、物件価格が比較的抑えられるため、利回りの向上が期待できるわけです。
一方で、郊外エリアは人口減少が顕在化しつつあり、空室率が二桁に乗る地区も存在します。立地ごとの差が大きいため、広島と言ってもエリア選定が投資成果を左右する点には注意が必要です。
REITとは何かと地方投資の意義

重要なのは、REITが「投資家から集めた資金で複数の不動産を保有し、賃料や売却益を分配する仕組み」だという基本を理解することです。J-REITは東京証券取引所に上場しており、株式と同じように売買できます。個別物件に直接投資するより少額で始められ、専門運用者が管理するため、初心者でもリスクを分散しやすい利点があります。
広島エリアの物件を組み入れるREITは、総合型・地方特化型合わせて5銘柄程度(2025年10月時点)に上ります。たとえば、物流施設を主力とする「日本ロジ都市開発投資法人」は安芸郡の大型倉庫を保有し、安定した賃料を生み出しています。また、地域密着型の「中四国オフィスリート投資法人」は広島市内のオフィスビル比率が50%を超え、地方分散の代表例として注目されています。
地方REITをポートフォリオに組み込む意義は、東京一極集中リスクの軽減に加え、首都圏より高い利回りを享受できる点です。運用会社が分配金利回り(投資口価格に対する年間分配金)目標を5〜6%台に設定するケースも珍しくありません。
広島で期待できる利回り水準
ポイントは、表面利回り(グロス利回り)と実質利回り(ネット利回り)を区別して把握することです。日本不動産研究所の2025年「地域別利回り調査」によれば、広島市中心部のワンルームマンション平均表面利回りは5.2%、ファミリータイプで4.8%、木造アパートで6.3%でした。同時期の東京23区平均が4.2%、3.8%、5.1%であることを踏まえると、広島の利回り優位性は明らかです。
REITの場合、個別物件ではなく投資口価格に対して分配金利回りを確認します。2025年9月決算時点で、広島物件を多く組み入れる先述2法人の平均分配金利回りは5.4%でした。市場全体(東証REIT指数加重平均)が4.0%前後で推移していた点を考えると、広島関連リートは1ポイント以上高い利回りを示しています。
もっとも、分配金は保有物件の稼働率に左右されるため、単純な数字比較だけでなく、物件用途・テナント構成・賃貸契約の長期性を合わせて吟味する必要があります。物流施設のように長期契約が主流の用途はキャッシュフローが読みやすく、オフィスやホテルは景気変動の影響を受けやすい傾向があります。
利回りを高める物件・用途の選び方
まず押さえておきたいのは、中区紙屋町・八丁堀エリアのオフィスビルが堅調である一方、広島港周辺の物流施設が高利回りを生むという現状です。日本ロジ都市開発投資法人のデータによれば、港湾エリアの物流倉庫は平均稼働率98%と極めて高く、長期固定賃料契約が主流なため、キャッシュフローの安定度が際立ちます。
一方で、宿泊特化型ホテルはインバウンドの回復で短期的に収益性が急上昇していますが、世界情勢による変動リスクが大きい点がデメリットです。REIT目論見書を見ると、ホテル比率が高い法人は分配金の変動幅が2〜3%ポイントと大きく、安定志向の投資家は注意が必要になります。
個人投資家が直接物件を購入する場合でも、利回りを高めたいなら「築古リノベーション×中心部徒歩圏」の組み合わせが有効です。築25年超の区分マンションは価格がこなれており、500万円台から取得できるケースもあります。リノベーション費用を100万円かけても、月額賃料5万円を確保できれば表面利回りは10%前後まで跳ね上がります。ただし、修繕計画と管理組合の健全性を精査しないと、不意の大規模修繕負担でネット利回りが削られる点は要注意です。
リスクと対策、そして投資の進め方
実は、利回りの高さには相応のリスクがつきものです。空室リスク、修繕リスク、そして金利上昇リスクの3つは広島でも例外ではありません。とくに、地方銀行が発行する変動金利型ローンは2025年時点で0.9%台と低水準ですが、日本銀行の段階的な金融正常化に備え、2%程度のストレステストを行っておくと安心です。
空室リスクへの対策としては、物件選定段階で最寄り駅から徒歩10分圏内、総戸数30戸以上、築20年以内を目安にすると稼働率が高く維持しやすい傾向があります。修繕リスクは長期修繕計画書と管理組合の積立金残高を確認することで一定程度見極めることが可能です。
REIT投資の場合、運用報告書の「ポートフォリオ稼働率」と「LTV(Loan to Value:総資産に対する有利子負債比率)」が重要な指標になります。LTVが50%を超えると金利上昇局面で分配金が圧迫されやすいので、45%以下を目安に銘柄を選ぶとリスクが抑えられます。
最後に、投資プロセスを整理すると以下の流れになります。
- 証券口座を開設し、REIT銘柄の目論見書・運用報告書を確認
- 分配金利回り、稼働率、LTVを基準にスクリーニング
- 予算と目標利回りに合わせ、毎月積立もしくはスポット購入を実施
この手順を踏めば、専門知識が深くなくても「広島 REIT 利回り」を享受しつつ、地方分散ポートフォリオを構築できます。
まとめ
結論として、広島エリアは人口維持と経済成長の両面で安定感を示し、東京より高い利回りを狙える希少な地方都市です。REITを活用すれば少額から投資でき、物流施設やオフィスを中心に5%超の分配金利回りも現実的な水準となっています。もっとも、高利回りには空室・金利・修繕といったリスクが伴うため、稼働率やLTVなど公開情報を丹念に読み解く姿勢が不可欠です。今回解説した指標と手順を参考に、まずは1銘柄から試し、安定運用の感覚をつかむところから始めてみてはいかがでしょうか。
参考文献・出典
- 総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告(2025年版)」 – https://www.stat.go.jp
- 国土交通省「2025年地価公示」 – https://www.mlit.go.jp
- 日本不動産研究所「地域別利回り調査2025」 – https://www.reinet.or.jp
- 三幸エステート「オフィスマーケットレポート2025」 – https://www.sanko-e.co.jp
- 日本取引所グループ「J-REIT分配金利回り一覧(2025年10月)」 – https://www.jpx.co.jp