家賃収入に憧れながらも「空室が続いたらどうしよう」「ローン返済が重荷になりそう」と不安を抱く方は多いものです。特に初心者はメリットばかりに目を向けがちですが、デメリットを理解し対策を取ることで、安定した投資へと近づけます。本記事では、不動産投資の主なリスクとその乗り越え方を丁寧に解説し、2025年10月時点で活用できる制度や具体的な物件選びの手順までを網羅します。読み終えるころには、「初心者でも実践できるコツ」が整理され、自分に合った第一歩を踏み出せるはずです。
不動産投資の主なデメリットを正しく知る

重要なのは、最初にデメリットを直視しリスク許容度を把握することです。不動産は株式と違い簡単に売却できず、長期保有が前提となります。
まず空室リスクが挙げられます。総務省の住宅・土地統計調査によると、2023年の全国平均空室率は13.8%でした。地域差は大きいものの、募集期間が長引けば家賃収入が途絶えます。さらに建物の老朽化が進むと修繕費用が増加し、想定利回りが目減りします。
ローン返済リスクも無視できません。日本銀行の統計では2025年10月時点の住宅ローン変動金利は平均0.55%ですが、将来的な金利上昇は十分起こり得ます。加えて自然災害による損壊や入居者トラブルなど、突発的なコストも重なります。
つまり、不動産投資は「負けにくい仕組み」を先に作り、収益化の前提を固めることが欠かせません。リスクを列挙するだけでなく、後述する具体策で一つずつ軽減していきましょう。
デメリットを軽減する基本のコツ

ポイントは、キャッシュフローの余裕を持たせる資金計画と、物件管理の外注先を早めに確保することです。これにより空室と修繕の二大リスクを緩和できます。
まず自己資金は購入価格の20〜30%を目安に準備しましょう。国土交通省の不動産価格指数を参照すると、築浅区分マンションの平均価格は2025年で3,800万円前後です。30%の自己資金を用意すれば、ローン残高が抑えられ月々の返済負担は大幅に軽減します。返済比率(返済額÷家賃収入)は50%以下を目標にすると、空室が1〜2カ月発生しても赤字を避けやすくなります。
管理面では、地域密着型の管理会社と早めに契約することが効果的です。家賃集金や入居者対応を委託すれば、トラブル処理にかかる時間と精神的負担が減ります。管理委託料は家賃の3〜5%が相場ですが、これをコストではなく「リスク保険料」と捉えると合理的です。
さらに予備費として家賃の6カ月分を別口座に積み立ててください。修繕積立金や突発的な空室に備えることで、感情に左右される投資判断を避けられます。このように、資金・管理・予備費の三本柱がリスク軽減の基本となります。
初心者でも実践しやすい物件選び
まず押さえておきたいのは、立地と間取りのバランスです。日本政策投資銀行の調査では、ワンルーム需要は23区内で引き続き高い一方、地方中核市では1LDKやファミリー向けが選ばれる傾向が強まっています。自分の投資エリアが単身層中心か、世帯向けかを見極めることが第一歩です。
次に駅距離と築年数を比較検討します。実は、築15〜25年の物件は価格が底値圏にありつつ、適切なリフォームで家賃を維持できるため、利回りが高くなるケースが多いです。一方で築30年を超えると大規模修繕の時期が重なり、初期キャッシュアウトが増えるため注意が必要です。
利回り計算では表面利回りではなく、管理費・修繕積立金・固定資産税を控除した実質利回りを重視します。目安として都心区分マンションで4〜5%、地方アパートで6〜7%を確保できれば、長期保有前提で収支が安定しやすいです。
最後に現地調査を怠らないことが成功の近道です。昼夜や平日・休日で周辺の騒音や交通量が変わる場合があります。また、自治体の都市計画図を確認し、将来の再開発エリアかどうかを把握すると出口戦略の幅が広がります。
2025年度の制度を味方につける方法
実は、税制と補助金を上手に活用するとキャッシュフローが向上します。2025年度も不動産所得に対する青色申告特別控除(最大65万円)は継続されます。複式簿記に対応した会計ソフトを活用し、所得を正確に把握することで節税効果を最大化できます。
また、一定の耐震基準を満たさない賃貸住宅を補強する際、国土交通省の「既存建築物省エネ・耐震改修促進事業」により、上限120万円の補助金(2026年3月申請分まで)が利用可能です。これは賃貸物件も対象となるため、古い木造アパートを購入する際は要確認です。
固定資産税軽減措置も見逃せません。新築賃貸住宅は、床面積40〜280㎡の範囲であれば、建物部分の固定資産税が3年間1/2になる特例が2025年度まで延長されています。戸数の多いアパートを検討する場合、初期3年のキャッシュフロー改善に寄与します。
さらに、自治体独自の空き家活用補助が充実しています。たとえば東京都は2025年度も「空き家利活用等促進事業」を実施しており、改修費の3分の1(上限200万円)を補助します。地方移住促進策と連動した補助は今後も拡大が予想されるため、購入前に市区町村のサイトを確認してください。
長期で安定させる運用と出口戦略
まず安定運用の鍵は、定期的な家賃見直しと修繕計画のアップデートです。家賃を下げる前に、Wi-Fi無料化や宅配ボックス設置など、費用対効果の高い付加価値を検討しましょう。小規模リノベーションでもSNS映えする内装にすると、回転率が上がり空室期間を短縮できます。
運用中は、データに基づいた判断が欠かせません。賃貸管理会社から得る募集反響数や内見率を毎月記録し、家賃設定の妥当性を検証します。数値を可視化すると、感覚的な判断を避けられます。
出口戦略としては、保有継続、子どもへの相続、売却の三択があります。相続を視野に入れる場合、路線価評価が時価より低く抑えられることが多く、相続税対策として有効です。一方、売却益を狙う場合は、周辺の再開発計画が動き出す前に手放すことで価格上昇のピークを逃しにくくなります。
結論として、運用と出口を投資前から決めておくことで、キャッシュフローと資産価値の両面でブレない判断が可能になります。不動産投資は「買ったら終わり」ではなく、むしろ購入後の管理こそが成否を左右するのです。
まとめ
ここまで、不動産投資のデメリットを中心に、初心者でも実践できるコツを整理しました。空室・修繕・金利という三大リスクを正しく把握し、自己資金と予備費を充実させれば、大きな失敗は避けられます。さらに、青色申告特別控除や耐震改修補助など2025年度に利用できる制度を賢く取り入れることで、キャッシュフローは一段と安定します。まずは立地と間取りを見極めた上で、小さく始めてデータを蓄積し、長期的な出口戦略まで描いてみてください。行動に移すことでしか得られない学びがあり、次のチャンスをより大きく育てられるでしょう。
参考文献・出典
- 国土交通省 不動産価格指数 – https://www.mlit.go.jp
- 総務省統計局 住宅・土地統計調査 – https://www.stat.go.jp
- 日本銀行 金融経済統計月報 – https://www.boj.or.jp
- 国税庁 青色申告制度のあらまし – https://www.nta.go.jp
- 東京都 都市整備局 空き家利活用等促進事業 – https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp
- 不動産流通推進センター 不動産市場動向レポート – https://www.retpc.jp