不動産の税金

REIT 広島で始める分散投資入門:地元物件の魅力と最新動向

広島での不動産投資に興味はあるものの、「多額の自己資金は不安」「物件管理の手間が重い」と感じる人は少なくありません。実は、上場不動産投資信託(REIT=リート)を活用すれば、数万円から広島の商業施設やオフィスビルに分散投資できます。本記事では、2025年10月時点の最新データを基に、REITの仕組みから広島エリアの市場環境、活用できる制度までを総合的に解説します。読み終えるころには、初心者でも具体的な投資判断に役立つ視点が身につくはずです。

広島でREITが注目される背景

広島でREITが注目される背景のイメージ

重要なのは、広島が観光と製造業の両面で安定した需要を持つ点です。観光面では原爆ドームや宮島といった世界遺産が国際的な集客を支え、2024年度の県内宿泊者数はコロナ前比108%まで回復しました。さらに、マツダや関連部品企業が集中する製造業は、県内総生産の約19%を占めています。こうした多様な産業基盤がオフィス需要と商業需要を下支えし、広島を投資先として魅力的にしているのです。

一方で、個別物件を購入するとなると、広島市中心部のマンション価格は平均4,000万円前後と全国平均よりやや高めの水準にあります。また、築年数が浅い物件ほど利回りが下がる傾向も見逃せません。そこで、少額から参加できるREITが「地元経済に投資しながらリスクも抑えられる選択肢」として脚光を浴びています。

REITの仕組みと個別物件投資との違い

REITの仕組みと個別物件投資との違いのイメージ

まず押さえておきたいのは、REITが多くの投資家から集めた資金で複数の不動産を保有し、賃料収入や売却益を分配金として還元する金融商品だという点です。証券取引所に上場しているため、株式と同じように市場価格が変動し、流動性も高い特徴があります。

個別物件投資では、修繕計画やテナント募集を自分で行う必要があります。しかし、REITでは専門運用会社が管理や修繕を一括で行うため、手間と管理コストが大幅に軽減されます。つまり、不動産のメリットを享受しつつ、株式並みの売買容易性を手にできる点が最大の違いだと言えるでしょう。

さらに、広島エリアを含む複数都市の資産に分散投資しているREITを選べば、地域リスクを低減できます。物件ごとの空室や賃料下落が、ポートフォリオ全体に与える影響を緩和できるためです。

広島物件を組み込む主な上場REITの特徴

ポイントは、どのREITが広島にどれだけ投資しているかを把握することです。2025年10月現在、広島のオフィスや商業施設を一定割合で保有する上場REITは十数銘柄ありますが、ここでは代表的な三つを紹介します。

・日本ビルファンド投資法人は、広島駅前の大型オフィスビルを含め、地方中核都市の賃料収入比率を約15%に設定しています。ポートフォリオ全体の規模が大きく、安定した分配金が魅力です。 ・ジャパン・リアルエステイト投資法人は、広島紙屋町エリアの商業ビルを組み込み、平均賃料の底上げに寄与しています。物件の築年数を15年以内に保つ方針を採用し、修繕リスクを抑えている点が特徴です。 ・ケネディクス商業リート投資法人は、郊外型ショッピングセンターを幅広く保有し、広島においても生活密着型の施設を取得しています。生活必需品テナントが多いため景気変動耐性が高いと評価されています。

これらのREITに共通するのは、広島市中心部の集客力と交通網を活かしつつも、全国物件でリスク分散を図っていることです。分配金利回りは年4%前後が目安で、個別物件を上回る場合もありますが、価格変動リスクは忘れずに確認しましょう。

分配金とリスクを左右する地域経済の動向

実は、REITの分配金はテナント賃料に直結するため、地域経済指標のチェックが欠かせません。広島市のオフィス空室率は、国土交通省「不動産価格指数」によると2025年第2四半期で4.2%と、東京23区(6.1%)より低い水準を維持しています。この数値は、オフィス賃料が堅調であることを示し、分配金の安定性を裏付けています。

一方、観光需要に依存する物件では宿泊税の強化やインバウンドの変動が収益を左右します。広島県は2024年秋から宿泊税を一泊200円に設定しましたが、国内客比率が高いため影響は限定的と見る向きが多いです。ただ、世界遺産を抱える地域は災害リスクにも注意が必要で、火山活動や豪雨の影響を受けやすい点も頭に入れておくと良いでしょう。

金利動向も無視できません。日本銀行が2025年4月に政策金利を0.1%引き上げて以降、REITの資金調達コストは緩やかに上昇しています。ただし、広島物件を多く含む大型REITは、長期固定金利で調達している割合が高く、急激な利息負担増になりにくい構造です。つまり、地域経済の底堅さと資金調達戦略が相まって、分配金の安定度が保たれていると考えられます。

2025年度に活用できる税制・制度と今後の展望

まず利用したいのは、「NISA成長投資枠」です。2024年に恒久化された新NISAは2025年度も上限1,200万円まで非課税投資が可能で、REITも対象となります。配当・譲渡益が非課税となるため、長期保有を前提とした広島REIT投資と相性が良い制度です。

また、iDeCo(個人型確定拠出年金)では、一部金融機関がREITインデックスファンドを提供しています。掛金が全額所得控除となり、運用益も非課税になるため、節税と資産形成を同時に進められます。2025年度の掛金上限は企業年金の有無により変わりますが、個人事業主なら月6.8万円まで拠出可能です。

このほか、地方創生を目的とした「地域特化型ファンド支援事業」が2025年度も継続中です。広島を含む中核市で運用される不動産ファンドに地方公共団体が補助金を交付する仕組みで、間接的にREITの物件取得コストを下げる効果が期待されます。期間は2026年3月末までの予定です。

展望として、2027年開業予定の広島駅南口再開発や、広島空港アクセス鉄道の延伸計画が進行しています。これらの大型プロジェクトが賃料水準を押し上げ、REITの分配金にもプラスの影響を与える可能性が高いと見込まれています。

まとめ

広島の多角的な産業基盤と観光資源は、REITを通じて安定した賃料収入を生み出す土台となっています。少額から分散投資ができ、管理の手間も省ける点は初心者にとって大きなメリットです。まずは、広島物件を一定割合で組み込む上場REITのポートフォリオを確認し、NISAやiDeCoなど2025年度に利用可能な非課税制度を併用すると良いでしょう。地元経済とともに資産を育てるイメージで長期保有を検討すれば、将来的なインカムとキャピタルの両面で着実なリターンが期待できます。

参考文献・出典

  • 国土交通省 不動産価格指数 – https://www.mlit.go.jp
  • 広島県 観光統計データ – https://www.pref.hiroshima.lg.jp
  • 日本取引所グループ 上場REITデータ – https://www.jpx.co.jp
  • 日本銀行 金融政策決定会合資料 – https://www.boj.or.jp
  • 厚生労働省 iDeCo公式サイト – https://www.ideco-koushiki.jp

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