多くの人が「新築は高くて手が出ない。でも中古マンションなら何とかなるかも」と感じています。しかし実際に物件を探し始めると、築年数や管理状況、そして見落とされがちな土地の権利関係など、判断材料の多さに圧倒されがちです。本記事では、マンション投資 中古 土地という三つの視点を組み合わせ、初心者でも損をしない物件の選び方を分かりやすく解説します。読み終えたころには、収益シミュレーションの基礎と最新の税制優遇策まで俯瞰できるようになります。
マンション投資と中古市場のリアル

重要なのは、中古マンション市場の特徴を正しく捉えることです。国土交通省の2025年版「不動産市場動向調査」によると、首都圏の中古成約件数は直近五年間で約1.4倍に増えました。背景には新築価格の高騰と、リノベーション技術の普及があります。つまり、供給が増える一方で買い手の選別眼も厳しくなっているのです。
次に利回りを見てみましょう。不動産経済研究所のデータでは、東京23区の中古ワンルーム平均利回りは2025年上期で4.2%でした。同等立地の新築が3.5%前後にとどまることを考えると、初期投資を抑えながら収益性を高められる点が中古の強みと言えます。ただし築20年を超える物件は管理費や修繕積立金が上昇しやすく、実質利回りが低下するケースもあるため注意が必要です。
一方で地方都市の中古マンションは表面利回りが7%を超える物件も珍しくありません。しかし総務省の人口推計が示すように、地方圏は世帯数の減少が続いています。高利回りに飛びつく前に、長期的な需要と入居者属性を確認することが欠かせません。
土地価格と中古マンションの関係

まず押さえておきたいのは、区分所有マンションであっても土地の価値が収益と出口戦略に影響する点です。区分所有者は敷地権(しきちけん)という形で土地を持ち分比例で保有します。土地価格が上昇すれば、物件売却時の評価額も底上げされるためです。
日本不動産研究所の「都市土地価格指数2025」によれば、東京23区の住宅地は前年比で3.0%上昇しました。一方、築古マンションの価格上昇率は平均1.8%にとどまっています。この差は建物評価の減価が大きいためであり、土地の比率が高い都心立地ほど資産価値を保ちやすいことを示しています。
また、マンション建替えの可否も土地の評価と密接に絡みます。建替え決議には区分所有者の5分の4以上の賛成が必要ですが、立地が良く再開発メリットが大きいほど合意形成が進みやすい傾向があります。将来の出口戦略として「建替えによるキャピタルゲイン」を視野に入れるなら、土地価格の推移を常にチェックしておきましょう。
利回りを左右する三つの指標
ポイントは、表面利回りだけでなく実質利回りとキャッシュフローを組み合わせて判断することです。表面利回りとは年間家賃収入を購入価格で割った単純な指標ですが、諸費用を考慮しません。そのため固定資産税、管理費、修繕積立金、さらに空室損などを差し引いた実質利回りが投資判断の軸になります。
次にインカムゲインとキャピタルゲインのバランスを確認しましょう。総務省「住宅・土地統計調査」では、築30年超の区分マンションでも主要駅徒歩5分以内の物件は賃料下落率が年1%未満に抑えられるとの結果が出ています。安定したインカムが期待できる一方、売却益は土地価格次第で大きく変動します。投資期間と目標リターンを明確にし、出口シナリオを複数用意しておくことが賢明です。
最後にローン金利がキャッシュフローを左右します。2025年10月時点、都市銀行の投資用ローン固定金利は1.8%前後で推移しています。金利が1%上昇すると、ローン残高5,000万円・残期間25年の場合、年間返済額は約28万円増加します。シミュレーション時には金利上昇リスクを最低でも1.5%程度織り込んでおくと安心です。
2025年度の税制と資金調達のコツ
実は、税制優遇の活用が資金計画を大きく左右します。2025年度も住宅ローン減税は投資物件に適用されませんが、区分マンションを個人名義で所有する場合、減価償却費を活用した所得税・住民税の圧縮が可能です。建物部分の法定耐用年数は鉄筋コンクリート造で47年ですが、中古購入時は残存耐用年数を直接法で計算できます。例えば築25年なら残存年数は22年となり、年間償却費が大きく取れる点が魅力です。
融資面では、ノンバンク系を選ぶ前に地方銀行や信用金庫を当たるのが得策です。金融庁のモニタリング資料によると、地域金融機関は地元の賃貸需要を踏まえた物件評価を行い、金利1.5%台を提示する事例も報告されています。一方、ノンバンクは金利が2.5%を超えることも多く、キャッシュフローを圧迫します。
補助金制度については、投資用区分マンションに直接適用できる助成は2025年度現行では存在しません。リノベーション工事を個人が発注する場合、「既存住宅の省エネ改修補助」(期限2026年3月末)が利用できるものの、賃貸目的の場合は対象外です。制度をあてにせず、自己資金2割以上を用意し堅実に計画したほうが長期的に安全と言えるでしょう。
失敗を防ぐ物件選定プロセス
まず検討すべきは立地の将来性です。国土地理院の「人口推計メッシュ」を重ねると、駅徒歩10分圏かつ昼夜人口が増加傾向にあるエリアは、首都圏では7%しかありません。希少立地は購入価格が高くても空室リスクを大幅に抑えられます。
次に管理組合の健全性を確認します。総会議事録と長期修繕計画書は必須書類で、直近の修繕積立金残高が目標の70%以上なら合格ラインです。逆に不足が続く物件は近い将来、一時金徴収や大規模修繕の遅延が発生し、入居者離れを招く恐れがあります。
最後に売買契約前のデューデリジェンス(物件調査)を徹底しましょう。専門家によるインスペクション費用は10万円前後ですが、給排水管の劣化や外壁クラックを事前に把握できます。仮に将来50万円の修繕費を見込めば、購入価格交渉でその分を差し引く材料になります。初期段階のコストを惜しまない姿勢が、長期的なリターンを守る鍵になります。
まとめ
本記事では、中古マンション投資を成功させるために土地価格の動向、利回りの三つの指標、2025年度税制のポイント、そして物件選定の具体的プロセスを紹介しました。結論として、立地と管理体制を最優先にチェックし、保守的なキャッシュフロー計算と金利上昇シナリオを必ず組み込むことが重要です。今日得た知識を活かし、まずは気になるエリアで実際に空室率や家賃相場を調べる行動から始めてみてください。堅実な準備があなたの不動産投資を着実に前進させるはずです。
参考文献・出典
- 不動産経済研究所 – https://www.fudousankeizai.co.jp
- 国土交通省「不動産市場動向調査2025」 – https://www.mlit.go.jp
- 日本不動産研究所「都市土地価格指数2025」 – https://www.reinet.or.jp
- 総務省「住宅・土地統計調査」 – https://www.stat.go.jp
- 金融庁「地域金融機関モニタリング」 – https://www.fsa.go.jp