不動産の税金

マンション投資1000万円売却で失敗しない秘訣

マンションを購入したときは「家賃収入でローンを返し、いずれ高く売れるはず」と期待していた人も多いでしょう。しかし実際に売却を考え始めると、価格の妥当性や税金、仲介会社の選び方など不安は尽きません。この記事では、1000万円台で購入した投資用マンションを2025年10月時点で売却する際のポイントを丁寧に解説します。読めば「いくらで売れるのか」「手取りはいくら残るのか」「次の投資にどう活かせるのか」が具体的にイメージできるはずです。

市場価格を把握するための第一歩

市場価格を把握するための第一歩のイメージ

まず押さえておきたいのは、売却価格の相場を正確に知ることです。2025年10月の不動産経済研究所の調査によれば、東京23区の新築マンション平均価格は7,580万円で前年比3.2%上昇しています。中古市場にもこの上昇傾向が波及しており、築15年以内・駅徒歩10分以内の物件は平均6,100万円で成約する事例が増えています。

とはいえ、1000万円で購入したワンルーム投資の場合、立地や築年数によって価格は大きく変動します。たとえば同じ23区でも城東エリアの築20年超物件は実質利回りを重視する投資家向けに1,300万〜1,500万円で流通する一方、千代田区や港区では築25年でも2,000万円を超える例が珍しくありません。この差を生むのは駅距離や将来的な再開発計画など「需要の厚み」です。

実は、売却査定で重要なのは表面利回りよりも空室リスクの低さです。管理会社の入居率データや周辺の賃料相場を提示できると、買主の安心感が増し査定が上振れする傾向があります。つまり、まずは自分の物件が「どのエリアで、どの家賃帯で、どの入居率なのか」を整理し、不動産ポータルの成約事例やレインズの統計を照合して相場観を養うことが不可欠です。

1000万円台物件の売却で課税される税金

1000万円台物件の売却で課税される税金のイメージ

重要なのは、売却益を計算する前に取得費を正しく把握することです。取得費とは購入価格に加え、仲介手数料や登記費用、耐用年数に応じて償却した設備費なども含めた金額を指します。さらに譲渡費用として仲介手数料や印紙税が控除できるため、見落とすと税額が膨らみます。

売却益(譲渡所得)が発生した場合、所有期間で税率が変わります。所有5年超なら長期譲渡所得となり、所得税15%・住民税5%・復興特別所得税0.315%を合算した20.315%が適用されます。たとえば購入価格1,000万円、譲渡費用70万円、売却価格1,600万円のケースでは、譲渡所得は530万円となり税額は約108万円です。

一方で損失が出た場合は不動産所得とは分離されますが、給与所得など他の所得との通算は認められていません。ただし2025年度も継続している「譲渡損失の繰越控除」は自宅売却に限定されるため、投資マンションでは利用できない点に注意が必要です。言い換えると、投資物件の売却では「いかに損しないか」が節税の第一歩になります。

売却益を最大化するタイミングと交渉術

ポイントは、買いたい人が多い時期を狙うことです。2023年以降、都心部のワンルーム投資はインバウンド需要の再拡大とともに賃料が上昇し、利回り低下を許容する買主が増えています。とくに1月〜3月は転勤や進学による入居需要が高まるため、家賃が上がりやすく投資指標が見映えします。

さらに、空室期間をつくらずに売り出す戦略が効果的です。満室運営中の物件は「収益が即日発生する」というメリットが強調でき、価格交渉でも優位に立てます。その際、最新の賃貸借契約書や入金履歴を整理し、買主に提示できるよう準備しておくと信頼性が高まります。

また、専属専任媒介ではなく一般媒介を選び、複数の仲介会社に同時依頼する方法もあります。競争原理が働き、査定額が上がりやすいからです。ただし情報が拡散し過ぎると「売れ残り感」が漂うため、価格設定と販売期間を仲介会社と綿密に相談し、最長3カ月程度で結果を出すプランを立てると良いでしょう。

売却後の資金をどう再投資するか

基本的に、手元に残ったキャッシュを次の投資に回すまでがマンション投資のサイクルです。仮に売却益を含む1,200万円が手元に残った場合、フルローンを併用して3,000万円クラスのファミリータイプへステップアップする選択肢があります。ファミリー物件は居住ニーズが安定し、長期入居が期待できるためキャッシュフローが読みやすくなります。

一方で、REIT(不動産投資信託)など流動性の高い金融商品へ分散する方法も有効です。日本銀行の統計では、2024〜2025年にかけてREITの平均分配利回りは4%前後で推移しており、実物不動産と比較しても競争力があります。分散投資は資産全体のリスクを下げ、再び好況が訪れた際に実物投資へ戻る柔軟性を保てます。

ただし、売却資金を再投資するまでの間は普通預金で寝かせると機会損失が大きくなります。短期国債や期間1年以内の定期預金に一時的に振り分けて金利を確保しつつ、次の物件選定を進めると効率的です。

2025年度の制度と手続きのポイント

実は、2025年度税制改正で投資マンションの売却に直接かかわる大きな変更はありません。ただし、インボイス制度が不動産賃貸業にも段階的に浸透し、課税事業者に該当するオーナーは売却の際に課税売上割合の調整が必要になる場合があります。税理士へ早めに相談すると手取りの計算が明確になります。

また、譲渡所得税の申告期限は売却した翌年の3月15日です。国税庁の電子申告システムe-Taxを利用すると添付書類の一部省略が認められ、還付金が早く振り込まれるメリットがあります。特例の適用漏れを防ぐためにも、売買契約書や領収書など証憑をスキャン保存し、提出データと整合させておきましょう。

さらに、2025年10月時点で継続している「住宅ローン控除」は自己居住用住宅が対象ですが、買い替えで新たに自宅を取得する場合には適用可能です。投資マンションの売却資金を頭金に充てると、控除額が増えるためキャッシュフロー全体の改善につながります。

まとめ

1000万円で購入した投資マンションを売却するには、相場の把握、税金の計算、販売戦略、そして売却後の資金活用という四つのステップを丁寧に進めることが大切です。市場価格を知ることで無用な値下げを防ぎ、取得費と譲渡費用を正確に計上して税負担を軽減できます。さらに、需要が高まる時期を選び満室状態で売り出せば、交渉を有利に進めることが可能です。最後に、得たキャッシュを次の投資や分散運用に活かせば、資産形成のスピードは加速します。行動を先延ばしにせず、今日から情報収集と書類整理を始めましょう。

参考文献・出典

  • 不動産経済研究所 – https://www.fudousankeizai.co.jp/
  • 国税庁 – https://www.nta.go.jp/
  • 日本銀行「資金循環統計」 – https://www.boj.or.jp/statistics/
  • 国土交通省「不動産取引価格情報」 – https://www.land.mlit.go.jp/
  • 全日本不動産協会「レインズデータライブラリー」 – https://www.reins.or.jp/

関連記事

TOP