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収益物件 掘り出し物を見極める秘訣

初心者の方ほど、「利回りの高い物件はすでにプロが押さえているのでは」と不安になります。確かに情報量で劣ると感じる場面は多いものの、視点を変えれば掘り出し物は今も市場に眠っています。本記事では、収益物件 掘り出し物を見つけるために欠かせないデータの読み方、現地確認のコツ、そして2025年10月時点で利用可能な資金調達策までを丁寧に解説します。読み終えたとき、自分の判断軸を持って物件を選べる状態になっているはずです。

掘り出し物が生まれる背景を知る

掘り出し物が生まれる背景を知るのイメージ

まず押さえておきたいのは、掘り出し物が誕生する大きな理由が「情報の非対称性」にあることです。売主が物件の潜在価値を十分に理解していない場合や、相続など急いで現金化したい事情がある場合、価格は相場より下がります。さらに、築年数が古いだけで需要が落ちると誤解されたマンションも狙い目です。実は、国土交通省の2025年地価調査では、主要都市の駅近築30年超区分マンションでも賃料が安定している事例が報告されています。つまり、単に古いという理由だけで敬遠される物件の中に、収益性の高い候補が紛れているのです。

一方で人口減少やインフラ老朽化のリスクが高いエリアでは、安くても長期的な空室リスクが大きくなります。価格の安さだけに飛びつくのではなく、将来の需要を支える要素―駅からの距離、再開発計画、大学や病院の存続―を確認する視点が欠かせません。掘り出し物を探す際は、値段の背景にどんな事情が潜んでいるかを推測する姿勢が第一歩となります。

市場データから読み解く見極め方

市場データから読み解く見極め方のイメージ

ポイントは、公的データと民間ポータルの両方を組み合わせて相場を可視化することです。例えば国土交通省の「不動産取引価格情報」では、過去の実売価格が閲覧できます。ここで対象エリアの㎡単価を把握し、民間サイトで掲載中の売出し価格と比較すると、割安度が一目で分かります。また、東京都の「都市計画情報閲覧システム」には再開発や用途地域の変更計画が掲載されており、将来的な賃料上昇要素を先取りできます。

さらに、総務省の「住民基本台帳人口移動報告」を使い、直近5年の転入超過数を調べると、人口トレンドが読み取れます。転入超過が続く市区町村は賃貸需要が底堅く、多少利回りが低くても空室リスクが抑えられる傾向があります。一方、転出超過が続くエリアは高利回り表示でも実質利回りが下がりやすいので注意が必要です。データを使えば、価格の魅力と将来リスクを客観的に天秤にかけられます。

実地調査で差がつくポイント

重要なのは、データで絞り込んだ後に現地で「肌感覚」を得ることです。物件に着いたら、まず昼と夜の雰囲気の違いを確かめましょう。昼は静かでも、夜は飲食店の騒音があるエリアでは入居者層が限られます。また、ゴミ置き場の管理状態をチェックすると、管理会社や住民の質が分かりやすいものです。

実は、最寄り駅から物件まで歩く速度もヒントになります。JRE総研の調査では、駅徒歩表示より実際の体感距離が長いと感じると入居申込率が15%下がるという結果が出ています。坂道や信号の多さが原因の場合、空室リスクを見積もる際に賃料を2%程度下げるシミュレーションが妥当です。現地調査は手間がかかりますが、数字に表れない要素を把握する唯一の方法と言えます。

数字で判定する適正価格の作り方

まず、物件価格に対して年間家賃収入が何%かを示す「表面利回り」は、あくまで入り口の指標です。固定資産税、管理費、修繕積立金、空室損を差し引いた「実質利回り」を算出し、6%以上を目安にすると安定しやすくなります。ここで、空室率はエリア平均より2ポイント高めに設定しておくと、想定外の下振れを吸収しやすいです。

次に、金融機関が重視する「DCR(Debt Coverage Ratio)」を把握しましょう。DCRは賃貸純利益÷年間返済額で求められ、1.2以上あれば返済に余裕があると判断されやすいとされています。投資家側もこの数値を確認すれば、借入金利が1%上昇しても返済が回るかシミュレーションできます。つまり、収益物件 掘り出し物を見つけても、数字が合わなければ買わないという姿勢が長期安定への近道です。

2025年度に活用したい資金調達策

まず、2025年度も引き続き日本政策金融公庫の「中小企業事業資金」はアパート経営に利用可能です。固定金利で最長20年、融資上限は7,200万円ですが、自己資金1割以上の条件を満たせば民間より低金利で組めます。また、地方銀行の一部では、環境性能の高い賃貸住宅に対し金利を0.2%下げる「グリーン投資ローン(2027年3月末申込分まで)」を継続中です。

一方で、民間金融機関は融資姿勢を選別型にシフトしています。総務省の住宅・土地統計調査によると、空室率が20%を超える市町村では審査が厳格化される傾向が見られます。そのため、物件評価書を自ら作成し、前述したDCRや実質利回りの試算を提示すると交渉が有利になります。結論として、資金調達は「安い金利を探す」より「説得力ある事業計画を示す」ほうが融資承認への近道なのです。

まとめ

記事全体でお伝えしたように、掘り出し物は価格の裏側にある事情を読み解き、データと現地調査で裏付けることで初めて姿を現します。さらに、実質利回りやDCRといった指標を用いて数字で合理的に判断し、2025年度の低金利融資を上手に組み合わせれば、初心者でも安定した投資が可能です。迷ったら「価格が安い理由は何か」を問い続けることを習慣にしてください。行動を重ねるほど、掘り出し物を見逃さない目が養われます。

参考文献・出典

  • 国土交通省 不動産取引価格情報検索 – https://www.land.mlit.go.jp/webland/
  • 国土交通省 2025年地価調査報告書 – https://www.mlit.go.jp/
  • 東京都 都市計画情報閲覧システム – https://www.toshikei.metro.tokyo.lg.jp/
  • 総務省 住民基本台帳人口移動報告 – https://www.stat.go.jp/
  • 日本政策金融公庫 融資制度一覧 – https://www.jfc.go.jp/
  • JR東日本総合研究所 駅徒歩と入居率の関係調査 – https://www.jres.or.jp/

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