不動産の税金

年収300万でも無理なく始めるREIT投資の手順

年収が300万円前後だと「投資はまだ早い」と感じる人が少なくありません。しかし、上場不動産投資信託(REIT)は1口数万円から買えるため、毎月の家計を圧迫せずに資産形成を進めやすい選択肢です。本記事では、初心者が抱きがちな不安に寄り添いながら、年収300万 REIT 始め方を具体的に解説します。読み終えるころには、必要な資金計画から銘柄選び、税制優遇の活用まで一連の流れをイメージできるはずです。

REITは少額から始められる理由

REITは少額から始められる理由のイメージ

まず押さえておきたいのは、REITが株式と同じように証券取引所で売買できる点です。一般的な不動産投資では数百万円単位の自己資金が必要ですが、REITなら1口あたり2万円前後の銘柄も珍しくありません。日本取引所グループの2025年7月データによると、東証REIT指数の構成銘柄の約6割が投資単位10万円以下で取得できます。つまり、毎月の貯蓄から少しずつ買い増す積立投資が現実的に可能です。

さらに、物件管理やテナント対応は運用会社が行うため、オーナー業務に時間を割けない会社員でも運用負担はほぼありません。一方で、賃料収入や売却益が分配金として配当される仕組みは、不動産収益の魅力をそのまま享受できます。加えて、複数物件への分散投資が1口で実現するので、個別物件に比べて空室リスクが軽減される点も見逃せません。

年収300万円でも資金計画は立てられる

年収300万円でも資金計画は立てられるのイメージ

重要なのは、生活費を削らずに投資原資を確保することです。家計調査(総務省2025年版)では、単身世帯の平均可処分所得が約20万円、消費支出が17万円前後となっています。つまり、月3万円の黒字を確保できれば、年間36万円まで投資に回す余裕が生まれる計算です。

具体的には、固定費の見直しが最優先になります。通信費や保険料を月5千円下げるだけで、年間6万円の追加原資が得られます。仮に毎月2万円をREITに積立購入し、分配利回り4%を再投資した場合、複利効果を踏まえると10年後の資産は約300万円に達する試算です。これは元本240万円に対して60万円のリターンとなり、利回りと時間の掛け合わせがいかに重要かを示しています。

一方で、余剰資金の安全網として生活防衛資金を3〜6か月分は別途確保しておくと、市場変動時も冷静に判断できます。資金計画と生活費の線引きを明確にすることで、年収300万でもREIT投資を継続できる体制が整います。

NISAを活用したREIT購入のステップ

実は、2024年から始まった新しいNISA制度は2025年度も有効で、年間360万円までの投資枠に対して分配金・売却益が非課税になります。非課税期間は恒久化されているため、長期保有を前提とするREITと非常に相性が良い制度です。

ステップはシンプルです。まず、NISA対応口座を取り扱う証券会社で口座開設を行います。次に、一般投資枠でREITをスポット購入するか、積立枠で毎月定額買い付けを設定します。定額積立にすると価格変動を平準化できるため、年収300万の家計でも相場急落時に過度なストレスを感じにくくなります。

ポイントは、非課税枠を使い切ることよりも、無理なく続けられる金額で設定することです。金融庁の統計では、つみたてNISA口座の平均積立額が月1.8万円となっており、これは年収300万円層の家計バランスとほぼ一致します。制度をフルに活用しながら、将来の税負担を抑える効果を得ることができます。

銘柄選びとリスク管理のコツ

まず押さえておきたいのは、利回りだけで銘柄を選ばないことです。東証REITの平均分配利回りが3.7%(2025年9月末時点)である一方、個別銘柄では5%を超えるものも存在します。しかし、高利回り銘柄はテナントの退去や資産の売却損リスクを抱えているケースが多いため、物件の用途と立地を確認することが欠かせません。

用途はオフィス、住宅、物流、商業施設、ホテルの五つに大別されます。たとえば、オフィス特化型は景気変動の影響を受けやすい一方、住宅特化型は賃料変動が小さく、コロナ禍を経ても安定した分配を維持しています。用途分散型の総合REITを選び、さらに異なる運用方針の複数銘柄を組み合わせると、ポートフォリオ全体の価格変動が抑えられます。

加えて、借入比率(LTV)も重要です。LTVが50%を超えると、金利上昇局面で分配金が圧迫されるリスクがあります。2025年4月に日銀が緩やかな利上げを示唆した状況下では、LTV40%前後の銘柄が守りの選択肢になります。つまり、利回りと財務健全性のバランスを見ることで長期運用の安定性を確保できるわけです。

安定運用のために押さえたい税金と手数料

ポイントは、投資収益を目減りさせない仕組みを整えることです。通常の特定口座では、分配金と売却益に対して20.315%の税金がかかりますが、前述のNISA口座を利用すれば非課税となります。税引き後利回りを考えると、NISAを使うかどうかで10年後の手取り額に数十万円規模の差が生じることも珍しくありません。

一方で、売買手数料や信託報酬にも目を向ける必要があります。大手ネット証券では、現物株と同様にREITの売買手数料を無料化する動きが広がっています。信託報酬は年間0.3%前後が平均的ですが、低コストを重視した新規銘柄も増えています。手数料が0.1%下がるだけでも、長期では利回りに直結するため見逃せません。

また、分配金の再投資を自動化できるDRIP(Dividend Reinvestment Plan)は、海外REIT ETFで一般的ですが、国内REITでは手動再投資が基本です。分配金が入金されたら即日で追加購入するルールを決めておくと、複利効果を最大化できます。税金とコストを抑え、再投資を徹底する仕組みづくりが安定運用の鍵となります。

まとめ

この記事では、年収300万 REIT 始め方の具体的な流れを紹介しました。少額から投資でき、運用負担が小さいREITは、資産形成のスタートとして非常に適しています。家計を見直しながら無理のない積立額を設定し、2025年度NISAの非課税枠を活用すれば、税負担を抑えつつ複利運用を実践できます。銘柄選びでは用途の分散と財務健全性に注目し、分配金の再投資をルール化することで、時間を味方にした資産拡大が期待できます。まずは証券口座を開き、少額でも一歩を踏み出してみましょう。

参考文献・出典

  • 日本取引所グループ – https://www.jpx.co.jp
  • 金融庁 NISA特設ページ – https://www.fsa.go.jp/policy/nisa/
  • 総務省 家計調査 2025年版 – https://www.stat.go.jp
  • 一般社団法人投資信託協会 REITデータ – https://www.toushin.or.jp
  • 日本銀行 金融政策決定会合資料 2025年4月 – https://www.boj.or.jp

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