不動産投資に興味はあるものの、マンションやアパートは金額が大きすぎて踏み出せない――そんな悩みを抱える方は少なくありません。実は一戸建てを活用した収益物件なら、初期費用を抑えつつ安定した家賃収入を狙える可能性があります。本記事では、一戸建て投資の基本から物件選び、運営のポイント、2025年時点で利用できる制度までを丁寧に説明します。「何から手を付ければよいか分からない」という初心者でも、読み終えたときには具体的な行動イメージが描けるようになります。
一戸建て投資が注目される背景

まず押さえておきたいのは、一戸建てが収益物件として見直されている理由です。国土交通省の賃貸住宅市場データによると、2024年度から地方中心に一戸建て賃貸の成約件数が毎年4〜6%伸びています。背景には、テレワークの普及で郊外や地方に移住する30〜40代ファミリー層が増えたこと、ペット飼育や庭付き住宅へのニーズが高まったことが挙げられます。つまりマンションでは満たしにくい“戸建てならでは”の居住価値が、安定した入居率を支えているのです。
さらに、2025年度の住宅ローン金利は歴史的な低水準が続き、固定1%台の商品も珍しくありません。比較的少ない自己資金で購入できる築古戸建てをリフォームして貸し出す手法は、実需だけでなく投資家にも選択肢を広げました。一方で、改修コストやエリア選定を誤ると家賃下落のリスクもあるため、後述するチェックポイントが欠かせません。
購入前に確認すべき「立地」と「土地」の価値

重要なのは、家賃を支える需要が将来も維持されるかどうかです。都心に近い駅徒歩圏の戸建ては価格が高いものの、人口流入が続くエリアなら空室リスクは低めです。一方で郊外でも、商業施設や小中学校が徒歩圏にそろう住宅団地では家族層の長期入居が期待できます。国勢調査の自治体別人口推移を確認し、2040年時点で人口が維持または微増の市区町村を選ぶと安心感が増します。
土地の資産価値も見逃せません。建物が老朽化しても、更地として売却できる広さや形状であれば出口戦略の幅が広がります。たとえば接道条件が道路幅4m以上で間口2m以上あれば、一般的な分筆や再建築がしやすく評価が下がりにくい傾向にあります。加えて、都市計画法上の用途地域を調べ、将来的な建ぺい率・容積率の変更がないか役所にヒアリングしておくと、長期保有でも安心です。
キャッシュフローを左右するリフォーム戦略
ポイントは、家賃水準と改修費用のバランスを見極めることです。築30年超の木造戸建ては購入価格が1,000万円以下でも、耐震補強や屋根・外壁修繕が必要になる場合があります。2025年度の「住宅省エネ改修補助金」は個人投資家も対象となり、断熱窓や高効率給湯器など省エネ性能向上工事費の上限60万円(申請期限: 2026年3月末)を活用すれば、表面利回りを1〜2ポイント上乗せできるケースもあります。
改修計画は、入居希望者が最も気にする水回りを優先するのがコツです。キッチンと浴室を低コストのユニットへ交換し、内装はクロスとフロアタイルで統一感を出すだけでも、家賃を8〜10万円に設定できる例があります。このとき、工事期間を2カ月以内に収めると機会損失を小さくでき、年間キャッシュフローが安定しやすくなります。
運営管理で差がつく入居率アップの秘訣
実は、一戸建てはマンションより入居期間が長い傾向にあります。国土交通省「賃貸住宅市場の実態調査」では、戸建て賃貸の平均居住年数は8.3年と、マンションの5.7年を大きく上回りました。長期入居を前提に、ターゲット層に応じた設備と賃貸借契約を設計すると効果的です。
たとえばファミリー層には、インターネット無料よりも駐車場2台分を求める声が多く聞かれます。また、ペット飼育可にする場合は敷金を1カ月分上乗せし、退去時の原状回復費用を確保しておくと収益を圧迫しません。管理会社選びでは、戸建ての修繕ネットワークを持つ業者を選ぶと、屋根や外壁のトラブルにも迅速に対応できます。
2025年に使える税制・融資制度を押さえる
まず、2025年度も住宅ローン控除が継続しており、認定長期優良住宅を取得した場合は、最大控除期間が13年に延びます。投資用でも自宅併用物件なら適用対象となるため、ハウスメーカーの仕様を満たすか確認すると良いでしょう。さらに、新築から3年間は固定資産税が2分の1になる軽減措置(二戸以上の貸家は対象外)が一戸建て投資の初期負担を下げます。
融資面では、地域金融機関が提供する「空き家再生ローン」が拡充され、購入・改修費の8割まで年利1.2〜1.8%で借りられる商品が登場しました。事業計画書に空き家活用の社会的意義を盛り込むと審査がスムーズになるため、市区町村の空き家バンク制度と連動した提案が有効です。これらを組み合わせることで自己資金比率を10%程度に抑え、手持ち資金を残しながら投資を始めることができます。
まとめ
本記事では、「収益物件 一戸建て」に焦点を当て、立地選びからリフォーム、運営管理、2025年度の制度活用までを解説しました。一戸建ては初期費用を抑えやすく、長期入居が期待できるためキャッシュフローの安定性に優れています。ただし土地の資産価値を見極め、適切な改修を行わなければ収益性は低下します。この記事で紹介したチェックリストを活用し、金融機関や専門家へ相談しながら第一歩を踏み出してみてください。安定した家賃収入と資産形成を同時に叶える可能性が、一戸建て投資には眠っています。
参考文献・出典
- 国土交通省 賃貸住宅市場データ集 2025年版 – https://www.mlit.go.jp
- 総務省統計局 国勢調査 2020・2025年結果 – https://www.stat.go.jp
- 環境省 住宅省エネ改修補助金事業 2025年度概要 – https://www.env.go.jp
- 財務省 税制改正のポイント2025 – https://www.mof.go.jp
- 各地方銀行 空き家再生ローン商品概要(例:○○銀行) – https://www.examplebank.co.jp